ここ数年、一部ゲーム開発者から聞こえてくる台詞。
「日本のゲーム開発は海外に後れをとっている」
これ、すごい疑問なんです。別に感情的にというわけではなく。
市場規模と、それに伴う開発規模から考えても日本とは違うし、開発のアプローチの仕方も違うわけだし
文化的背景による違いもあるだろう。
まず海外の大手ソフトメーカーってのはそりゃもう開発規模がケタ違いにデカい。特にアメリカはゲームに限らずエンターテイメントにかけるお金が半端ない。ハリウッド的な文化の土壌がある。
だからゲーム開発にしても映画を作るのかってくらい莫大に金をかけて作る。それだけ市場も大きいからハイリスクではあるけどハイリターンが見込める。だから何百人というスタッフ抱えて数年かけてソフトを作る体力がある。その分どでかい赤字抱えてしまってるところもあるけど。
プログラムにしろグラフィックにしろ人的コストの面で余裕があるからとんでもないクオリティに仕上げることができる、と言える。
日本と向こうの開発規模の差を考えず、単純に「遅れている」とガッカリするのはちょっと短絡的なんじゃないかな、とは思う。
それに日本でも分野によっては海外では真似できないような開発力がある。向こうはFPSとかオープンワールドゲームが得意で目立ってるから見た目にも凄いと感じるけれども、日本だってアクション、RPG、格闘、シミュレーション、など海外に負けない確かな技術と培った経験がある。あるんだけど、それが世界規模で売れるかどうかは別の話なんでここんとこが難しいところではある。
まあ海外の市場でウケのいいFPSとか見てたら「すごーい、海外の技術ってすごーい」ってなるけど、日本国内だけしか受けないから日本の技術力が低いってことにはならないと思う。思うんですって。日本が強い分野では負けてないんだから。
じゃあ日本でも海外並みの規模で世界で勝負できるソフトを作ろうじゃないか!と拳をあげたところで現実的に見てそんな余裕のあるソフトメーカーがどれだけあるだろうか。
仮に余裕があったとしても、日本のメーカーである以上日本市場は絶対無視できない。となるとやはり日本人好みのものを作る必要性が出てくる。となると海外で受けるかどうかは未知数。割り切って海外で受ければいいと思っても、既に大手ライバル達が軒並み根をはっている。どの道バクチだろう。
「世界で勝負する」って点で言えばいろんなアプローチのやり方があるとは思う。
任天堂の場合は、ご覧の通りWiiやDSで、これまでの日本人受けするもの、海外で受けるものという考え方とは違った新しい形でどちらにおいても受け入れられることに成功した。そこが任天堂が頭ひとつ出てるところだと思うし、それが任天堂が持っている「娯楽体質」による強みなのかな、とは思う。というか任天堂ってこれまでも国内外の枠にとらわれずにやっていた。
SCEの場合は、世界で受けるなら日本だけで作ったんじゃ足りない、外国でも作らねば!ってことで海外にも開発スタジオを作り、現地で優秀なスタッフを雇いゲームを開発することにした。これは世界的企業であるソニーだからこそできる強みだと思う。海外で受けるなら、実際海外にいて、当然好みもわかってる人間に作ってもらうのが一番だ。また、日本においても受けそうな形にすることもできる。正統なやり方ではあるけど、グローバルな企業でないとなかなか難しい。ソニーだからできる。
カプコンの場合は、バイオハザードなど日本で開発を行いながらムービーシーン等をハリウッドで実際に映画を作っているスタッフに作成してもらうという方法を採用している。日本の技術の中に海外の優れた技術を取り入れた上で勝負するという形だ。
世界で勝負するやり方はこのようにいろいろある。
しかし。
しかしながら・・・。
当然のことながら世界で勝負するには、コスト面での基礎体力がやっぱり必要だ。
となると規模のでかい、いわゆる「大作」と呼ばれるソフトを作ることができるメーカーは限られてくる。
しかも。
しかもである。これまで国内で大作ソフトを発売することで大きくなることができた国内市場が、変化をしている。
ひとつの要因はユーザーのライト化。ライト層の増加。コア層の減少。
それによるソーシャルゲームの台頭。
これまでは「ユーザーはソフトを遊ぶために仕方なくハードを買う」ことにより大きくなった国内ゲーム産業だったが、「ハードを買わなくてもゲームが遊べる」という時代がやってきた。つまりどういうことか。「手軽にゲームで遊ぶんなら、わざわざ何万円もするハードを買ってその上何千円というソフトを買わなくても済む」ようになった。
当然ソフトメーカーに影響が無いはずがない。これまで何百万本というソフトを出してきた大手ほどその影響はとても大きいだろう。となると無視はできない。開発規模も小さくて済むし、その割に利益は大きい、お手軽ゆえに新規ユーザーの伸びしろもある、ウィンウィンの関係を築くことができる。新しい市場として参加するのは当然だ。
国内はまさにDS、Wiiの時以上にお手軽さが求められる市場が大きくなってきている。
ちなみに時々みかける「DSとWiiがコア市場をめちゃくちゃにした」って意見、これ大きな間違いだから。市場の変化はもっと前から要因があって、そこにベストのタイミングで投入できたのが二つのハードだったというだけで。任天堂が流れを捻じ曲げたわけではない。
閑話休題。そうなるとソフトメーカーは世界で勝負するどころか、これまでの国内規模での「大作ゲーム」すら続けられるかどうか、ということになってくる。どれだけ体力を残せる企業があるだろうか。
実際にPS2の時代まではミリオン、ダブルミリオンを発売していたソフトの続編が、現在どれくらいの売り上げになっているか。
ヒットメーカー任天堂とて例外ではない。国内1200万台を売り上げたハードで出された新作ゼルダがハードのロンチで出した前作よりも売れていない現実。これはWiiがゲーマーには不向きなハードであるという理屈だけでは片づけられない理由があるだろう。
僕が以前のゼルダに関する記事の中で、これほどのゲームが今後どれだけ出るかわからない、と書いたのはこういう事情もあるからだ。
どうだ、暗くなったろう・・・(泣)
ソーシャルゲームが今後どう進むのかはわからない、ゲーム文化の中で確固たる地位を築けるかどうかはわからないが、少なくとも現在においての影響力を考えれば、ソフトメーカーのあり方に変化をもたらすのは確実だし、実際に変わってきている。
この先コンシューマーゲーム業界がどうなるかなんて話は専門家でもなかなか予測しにくいだろうし、ましてや僕みたいなアンポンタンが語れる内容なんて持っていない。
ただただハードメーカーには、ハードを買わないとこの体験は得られない、という魅力にあふれた指針を示してもらいたいし、ソフトメーカーにでかいビジネスチャンスをアピールし、共にその市場を形成してほしいと願う。しかない。それしかない。
やはり娯楽とは「驚き」とそれを創り出すため地道に努力してきた者にしか作れないと思うから。
遊ぶ側の手前勝手な戯言ではありますが。


