犬猫病院の記録を探していたら、何だか面白いのを見つけました。

 

「心身健全社長として久しく感化教養に盡瘁せられつゝある精神治療家神田區三崎町三丁目一番地心身健全社高橋天啓氏は、此程來家畜一般に對しても自然療法食餌療法等を以て、普ねく犬族の治療救済に従事せられつゝあるが、性格の變化、悪癖の矯正、扨ては内外の疾患に至るまで、頗る成績よろしき由、報酬等は随意として直接申込に應ずるとのことである」

『家畜にも精神療法の應用が出來た』より

 

同年には、「精神修養や堕落の矯正のため、パリでは犬に映画を見せている」などという海外ニュースが紹介されています。

結果はといいますと「劇場は巴里第一の目抜きの場所シヤンゼルゼエの横町に在る。第一回の開場の際には見物の犬共は幕の上に映寫された出來事に對して非常な興味を覚えたらしく、彼等に特有な吠え聲で盛んに喝采の意を表したさうである。何分御客が御客なので、劇場の騒しさと云ふたら非常なもので、隣の犬と喧嘩を始める奴もあれば御主人の云ふ事を聴かないで飛び廻る奴もあると云ふ有様で、一方ならぬ喧噪であると云ふことである(木村豊吉『犬に診せる犬芝居の興行』より)」ということで、時代を先取りし過ぎて成果ナシといったオチでした。