帝國ノ犬達
昔々あるところに
こんな犬達がいました

という内容のブログです。






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ノモンハン事件中の満州軍用犬協会ラジオ放送・その6

【シエパード犬とは何ぞや】
シエパード犬は作業犬であつて決して愛玩犬ではないと言ふお考へを以て見られたいのであります。所謂シエパード犬の本質と其の表現を稱揚されねばなりませぬ。
彼のシエパード犬の大研究家フオン・ステフアニツツ氏が「役立つ事が美の眞の標準である」と喝破されたのは、使役犬の全貌をよく言ひ現はしたものと言へるでせう。
言を變へて申すと、役に立たない犬は如何に美しくても肥えて居りましても何ものゝ價値はないと申す事であります。
本質の表現とは第一に氣質が剛健であつて勇猛なること。第二には感覺が極めて鋭敏なる事。第三には運動が活溌で敏捷なる事。第四には忠實にして從順性に富み且つ忍耐強き事、第五には警戒心深くみだりに他人になれ親しまぬ事等であります。
又以上の本質をらはすには體格上より均り合ひのとれた構成、即ち組立であります。
又申分のない筋肉の發達並に作業犬トシテ能力發揮する上、についての大なる骨格、風雨に堪へ得る被毛の密生、そうして活溌なる歩様であります。
尚此の上「犬は自然の鋭さをもたねばなりませぬ」が獰猛にならぬ程度のものでよろしいのであります。温順性はあつても卑屈であつてはならない。その上姿態美は剽悍なる野生美であるが優美なる女性美であつてはいけないと云ふことであります。
 
【最後に犬の三大病について一寸付加へて置きませう】
(1)狂犬病
これは世界の國々の大都會には自然に發生する疾病でありまして、各國共狂犬病の豫防注射を致しましてからこの病氣は姿を消したのであります。ですから豫防注射をしない犬があると危險であります故、大都市には畜犬税を拂はない犬は畜主のなき犬と見做して撲殺處分にいたして居る次第であります。
でありますが狂犬病は警察署から御通知の通りに豫防注射さへ實行して居れば何等心配はいらぬのであります。
 
(2)犬瘟熱
ヂイステンパーと申す仔犬、特に氣候の變り目に發生する傳染病であります。これも現在日本では此の豫防注射液を製造しまして、春秋二期に注射いたしますれば相當の効果を呈すのであります。
眼やにが出たり、股間に發疹が出たりしてからでも早く注射さるれば効力はありますが、かゝる徴候の出ない前に注射することが必要であります。
 
(3)フイラリア症や腸内寄生蟲症に就て
成犬になりますとこのフイラリアと申す小さい虫が血中に蚊によつて媒介されまして發生するのですから、蚊を豫防すること。又發生せば注射劑によつて今日は相當な成績を現はして居りますが、御心配なく。早い目に専門獸醫師や軍犬相談所へお連れください。

又仔犬の腸内には蛔虫、十二指腸虫、條虫などが發生し易いのであります。

なぜならば不潔な水を飲む、湿潤せる處の土をなめる等からして又不潔なる生肉を與へる等してゐるうち寄生虫は發生するのでありますから、一ヶ月に一回位相談所にお連れになれば簡便駆虫劑の投藥も致しますし、又御家庭でも御實施なされる様にお教へ致しますから是非々々軍犬相談所を御利用下さい。

 

社団法人満州軍用犬協会 東條向陽 『家庭と軍犬』より

新京市中央放送局 康徳6年9月14日放送

 

一万数千名が死傷したノモンハン事件。その結末は満州国内にも報じられましたが、停戦前はこのような雰囲気でした。改組強化に伴う軍犬報国運動に力を入れていた満州軍用犬協会としては、ソ連との国境紛争やドイツ軍ポーランド侵攻も会員の緊張感を高めるためのネタ扱い。

むしろ当時は、泥沼化した日中戦争にあえぐ日本犬界の方が切迫していました。

軍需原皮の確保に走る官僚は犬皮の統制を目論み、オノレの無能無策を責任転嫁する政治家は「この非常時に無駄飯を食む駄犬は毛皮にしろ」と公言するようになり、体制に組したマスコミは「畜犬撲滅」を叫び、扇動された一般市民は隣近所の愛犬家を「非国民」と罵ります。

日本犬界の惨状を対岸の火事と眺めていた満州国犬界も、昭和20年夏のソ連軍侵攻によってあっけなく崩壊しました。

 

ノモンハン事件中の満州軍用犬協会ラジオ放送・その5

【滿洲軍用犬協會への入會の手續に就て】

入會の申込は葉書に其旨御通知下さるか、又近くなれば早速犬をつれてお出まし下さらば其犬の登録も致しますし、登録済みの會員犬は犬税は無料で御座います。
 
【仔犬の飼方に就て申上げませう】
仔犬は骨格を大きくし筋肉の發達をよくせねばならぬので、それが爲には骨質分に相當する飼料、即ち小さい魚を骨ぐるみ與へる、又魚の頭、獸肉の内蔵すなわちカルシウム鹽類等の缺乏を來さないやうに心掛け日光浴をさせる、犬小舎は朝から晩まで日光を受ける干燥地においてやる等の注意が必要であります。かくして適當な運動は必要であるばかりでなく運動と食物は平衡してやらねばなりませぬ。
日光浴をさゝないとクル病にかゝり易いのであります。
要するに成犬も未成犬も殘飯に味噌汁をかけて特にダシガラを與へて下さい。内臓の安い肉も結構ですが、お勝手の殘肴をよく御利用になれば結構で御座います。
野菜も非常によろしいのですが、これも殘り物で澤山であります。仔犬を澤山又成犬を澤山飼ふお家では春から夏にかけて生長する野生の草で「あをゆび」「あかざ」と申すのがありますが、これは豚等には生で與へても喜んで食べる草であります。犬には雑食と共に細く切りまして、煮て與へれば野菜を買はなくてもよろしいのであります。
目下此の草は澤山穂状に實をつけて居ります。この實を春さきにお蒔きになれば他の雑草は此の草の爲めに壓倒されまして、この草ばかり生えるので肥料も要らぬ重寶な草であります。
 

(長くなるので次回へ続く)

 

社団法人満州軍用犬協会 東條向陽 『家庭と軍犬』より

新京市中央放送局 康徳6年9月14日放送

 

 

 

ノモンハン事件中の満州軍用犬協会ラジオ放送・その4

【滿洲軍用犬協會の任務に就て】

協會の主任務は澤山の會員を得まして、會員犬の中に種牝犬所有者には協會の立派な種犬の種付を無料で致しまして、その仔犬の分譲の斡旋、登録、共進會、競技會を支部に於ても春秋二期に開催し、又本部では全滿の内から特に優秀犬の共進會、競技會をやり、會員諸君の智識の向上を期する次第であります。
又八月十二日兒玉公園で催しました様な「軍犬の夕」の如き催もやり、訓練犬の實演、口演、映畫等を公開して會員以外の方々にも此の方面の智識の向上に資したく催したのであります。
又小學校、中學校、女學校に於ても同様の催を致しまして、第二國民にこの方面の智識の扶植に念願致して居る次第であります。
其他の團體方面の御希望によりましてかゝる催も致しますからどし〃お申込み願ひたいのであります。
其他本協會は犬に關する出版物の公刊、取次、毎月機關雑誌を發行しまして會員に無料で配布するので御座います。又其内には肉類の安價な取次を致したいと考へてゐる次第であります。
尚軍犬相談所は本部並に各支部に設けてありまして、軍用犬の問題なら何事でも無料で奉仕し且つ會員犬の診療にも從事して居る次第で御座います。
場所は寶山百貨店より大經路南へ三百メートル参りますと滿人小學校の角に軍人後援會の立札が立つて居りますから、それから西へ入りまして百メートルもゆかない内に右側に本協會の入口があります。

(長くなるので次回へ続く)

 

社団法人満州軍用犬協会 東條向陽 『家庭と軍犬』より

新京市中央放送局 康徳6年9月14日放送

 

 

ノモンハン事件中の満州軍用犬協会ラジオ放送・その3

次に兒童の軍犬觀察文を一つ御紹介して見ませう。
次ぎの作文は大連常盤小學校三年生新妻八郎君のものであります。
 
今度の支那事變の時、三十人足らずの日本の兵隊さんが大事な陣地を守つてゐました。其處へ敵が我軍の何千倍と言ふ兵隊で押寄せて來ました。
重機關銃で「びん〃」射つて來ました。我軍は「何をこしやくな」と戰ひましたが、多勢に無勢でもう此れまでと覺悟しました。
この時部隊長はそばに居た櫻號と言ふ軍用犬を引き寄せて後方連絡の手紙を首にむすび付けて、「しつかりたのむぞ」と頭をなぜ、「それつ」と櫻號の體を押しやりました。部隊長の心がわかつたのでせう。櫻號は物すごい勢ひで砂けむりを立てゝ走り出しました。
敵はこれを見付けると「どん〃」と射つて來ましたが、うまくあたらず櫻號はまつしぐらに走つて行きました。此の時はもう夕方で、お日様が西の空に沈みさうでした。
日がくれました。お月様がかゞやいて居ます。
櫻號は犬ながら部隊長の心がわかつて居るのでせう、少しも休まずお月様に照らされて走つて行きました。
お月様も「櫻號よおまへも日本の軍犬だ、がんばれ、がんばれ」とはげましてくれる様にます〃かゞやき出しました。
すると何處からか「うお〃」と言ふ物すごい聲がして來ました。ぐーつと様子を伺つて見ますと、あつちからこつちから、たくさんの狼が櫻號めがけてとびかゝつて來ました。
櫻號はつかれも忘れて「何くそ」とじやまをする狼共を次々にかみたほしましたが、櫻號もついに傷ついてしまひました。然し狼共も忠義な櫻號の勢の物すごさにたじ〃となりました。
櫻號は其のすきを見てかけ出しました。「後百米」「九十米」、日本の陣に近づきました。
櫻號は流れる血をものともせず陣にかけこみました。「あつ櫻號だ」と叫ぶ兵隊の聲を聞くと同時に軍犬櫻號はたふれました。
隊長は首の手紙を見て我が軍の危急を知り、すぐ救援隊が出動しました。櫻號は病院に運ばれました。
救援隊のおかげで全滅から助かり、敵を討破り大勝利をしました。これは皆軍犬櫻號の人間に負けない働きによるものだと我兵は一斉に櫻號萬歳と叫びました。
犬でさへ自分の體を棄てゝお國の爲にはこの様な立派な働きをします。人間の僕達も負けない様にしつかり銃後を守らなければならないと思ひました。
 

(長くなるので次回へ続く)

 

社団法人満州軍用犬協会 東條向陽 『家庭と軍犬』より

新京市中央放送局 康徳6年9月14日放送

 

 

櫻號については、上記の紙芝居『僕の奮戰』が元ネタとなっております。戦ったのはオオカミではなく野犬群ですけど。

同じく紙芝居やレコード化された『勇犬軍人號』も似たような筋書きですね。

この話が放送された頃、ノモンハンに配備された日本軍犬たちもオオカミの襲撃に悩まされながら伝令任務を続けていました。多くの犬はノモンハンから生還できた模様ですが、その戦訓を総括した関東軍軍犬育成所のレポートが存在するかどうかは不明。

対ソ戦に備えていた関東軍上層部ですが、ソ連国境警備犬への対抗策を訴える現地レポートを無視し続けました。結果、満ソ国境への潜入偵察はことごとく妨害され、情報戦はソ連側の圧勝となっております。

 

満州国の児童向け軍犬教育は日本と比較しても遜色がなく、しかも普及をはかるため満語(中国語)と日本語で並記されていました。

五族協和の建て前上、ロシア語やモンゴル語の軍犬教材もあったのかどうかは不明。

 

 

ノモンハン事件中の満州軍用犬協会ラジオ放送・その2

【軍用適種犬としての家庭犬】

このシエパード犬は軍用犬として今日各國とも最も多く採用され且つ役立つて居るのでありまして、此の犬は家庭に於ては如何なる御用をつとめるかと申すと、先づ第一に番犬として家を護る、晝夜家の内外に注意を拂ひ、盗難の豫防、火災の豫報、家人の不慮災難の報告をなすと共に、又お子さんの散歩の警戒、通學兒童の護衛、連絡通信、辨當の配達、お出迎、特に御婦人は買物にゆくときは其の伴侶として運搬警戒に任ずるのであります。
今例を申上げましやう。
(1)通學兒童の出迎、見送りに就て
學校と家庭との距離に種々の危險場所や又不慮の災害起り易き地區を通過する小學、幼稚園の兒童の伴侶とするならば萬一此等の地點に於て危險發生せば、この犬は死力をつくして危險の排除に努力し、若し自己の力及ばざる時は逸早く駈け歸り急を主人に告げるのであります。
そうしてその現場に案内する特性を持つて居るのであります。
又辨當を恰度よき時分に學校や幼稚園にお届けすることもなか〃敏速であります。又學校からお子さん方のお歸りには其の學校迄お出迎へして警戒しながらついていき、途中暴漢現はれたるときは直ちに防ぐと云ふ有様で、全く安全なものであります。特に雪降りなどの際に遠い學校へ御通學のお小兒さんにはなくてはならなぬ警戒犬であります。
かゝる訓練は最も簡單且つ容易でありますから、御家庭に於かれて御實施なさるのは最も妙を得たことゝ思ふのであります。
(2)家庭の急を主人に報告する
この話題は最近滿鐡方面に實在した事柄であつて、其の筋を申しますと、そこの夫人は夜勤の主人の歸宅の前に焜爐の木炭に火をつけ煽つて居るうちに突然倒れたのであります。
それを見たシエパードは早速主人の勤務せる役所へ行き、戸をたゝき入るや否や矢庭に主人の袴を喰へてグイグイと曳くので、何事が起つたかと思ひ、犬の行手に駈け歸つて見ると、いつもは表玄關に案内するのに今日に限つて勝手元の方へ案内するので、お腹でもすいたのかしらと考へて我家の勝手元へいつて見ると、家内は眞青になつて倒れてるぢやありませんか。
これはてつきり一酸化炭素の中毒と覺り、家の戸を開け人工呼吸をやり、ヤツト蘇生したと云ふ主人の急を救ひし實例であります。
以上の話題は數限りなくあるのであります。
 

(長くなるので次回へ続く)

 

社団法人満州軍用犬協会 東條向陽 『家庭と軍犬』より

新京市中央放送局 康徳6年9月14日放送

ノモンハン事件中の満州軍用犬協会ラジオ放送・その1

満州軍用犬協会で有名なのはドッグレース事業ですが、ギャンブルにかまけていた訳ではありません。

満州国における軍犬報国運動も、関東軍の資源母体確立のため幅広い層に向けられていました。勿論、内地の帝国軍用犬協会と同じく一般家庭や児童向けの宣伝活動も推進されております。

ノモンハン事件の停戦前日、昭和14年9月14日のラジオ放送をご紹介しましょう。

国境地帯で激しい攻防戦が展開されていた最中にも拘らず、結構呑気な内容となっております(新京市民には「ノモンハンの皇軍は順調に進撃中」と報じられていた様です)。

 

【家庭と軍犬】

本日は家庭と軍犬に就いてお話をすゝめて見たいと思ふのであります。

八月九日の放送に於きましては、人間の生活上犬は離すべからざる好き伴侶であると云ふこと、並に戰争にはなくてはならない軍の要素であることを申述べたのでありますが、それには澤山の軍犬候補、即ち軍用適種犬を國家が得らるゝには如何にせばよいかと云ふことは、當面の問題となるのであります。それには今日軍馬の候補馬を得るには國家が幾多の奨励規則を發布し、特に馬政局と申す大なる官衙を設け、種馬牧場、種馬育成所、種馬所を設けて、一方民間所有の牝馬に種付けさして着々此れが改良増殖に努めて居られるのでありますが、我が軍犬もこれと同じく國家や特殊團體の庇護の下に滿洲軍用犬協會と申す社團法人の團體は生れたのであります。

此の團體は滿洲國政府の保護の下に治安部大臣の指揮監督に属し、現在では大臣は會長にあられるのでありまして、如何にも國家は軍用適種犬即ち軍犬候補を必要とせるかは此の事にても明白であります。

それでありますから、各家庭に於かれても此の趣旨を能く御諒解くださつて犬を飼ふなら軍用適種犬、例へて申すならシエパード犬をお買ひになると云ふ事は犬の趣味と實用とを兼ね備へた一石二鳥の結果を得られる次第であります。

所謂「戸毎に軍犬 戸毎に會員」の標語のやうに御願ひするのであります。

 

(長くなるので次回へ続く)

 

社団法人満州軍用犬協会 東條向陽 『家庭と軍犬』より

新京市中央放送局 康徳6年9月14日放送

両国回向院犬猫供養塔のはじまり 昭和10年

両国回向院には様々な動物の慰霊碑があります。

その中で、三味線の皮に使われる犬猫を供養するため義太夫協会が建立したのが犬猫供養塔。三味線業界の犬猫供養は、野犬駆除業界とは別途に開催されていたんですねえ。

建立時の記録が出て来たのでご紹介します。

 

豊澤雷助、豊澤猿蔵兩氏肝煎りの三味觀世音、犬猫供養塔建立祝賀並に入佛式といふ風變りな式が舊臘十四日午前十一時から東兩國回向院で盛大に行はれた。

同院住職本田浄嚴師を導師とするおごそかな入佛式の後、別席にて祝賀式あり、終つて雷助、猿蔵兩氏に手を引かれた斯界の大元老豊澤松太郎師の手に依つて供養塔の幕が除かれ、一同参拝して午後一時散會した。

参觀者は浄曲協會専務理事柳原義光伯を始め、因會、浄曲協會、大東京素義聯審査會、東都五十義會等各會代表者その他關係者約三百名に上り、頗る盛會であつた。

『東京市に出來た犬猫供養塔』より

ポチ公(名犬)

生年月日 不明

犬種 不明

性別 不明

地域 大阪府

飼主 大西松次郎氏

 

六日午後八時ごろ、三島郡島本村大西松次郎さんが愛犬ポチをつれて尺代峠一軒茶屋にさしかゝると、突然ポチがワン〃吠え廻り、ただごとではなさそうなので松次郎さんがフト三丈下の谷間を見下ろすと崖の一本松に老爺がひつかゝつてもがいてゐた。

さつそく帶を垂らしてやうやく救助したが、頭や顔を岩にうちつけ血みどろになつてゐた。この老爺は古畑菊次郎(五七)で、家庭のいざこざから六日朝家出し、前記の谷に飛込み自殺を企てたものと分つた。

高槻署では松次郎さんとポチの表彰方を府知事へ具申した。

『ポチ公人命救助』より 昭和12年

モリ公(忠犬)

生年月日 昭和9年頃

犬種 日本犬雑種

性別 牡

地域 福井縣

飼主 内山進氏

 

いまは亡き主人の墓へ日参する忠犬モリ公のいぢらしい話。

福井縣大野中學校内山進氏は大野町清水區の新邸で愛兒代りに日本犬雑種の雄犬(三歳)を飼つてゐたが、内山氏は去る七日愛犬を遺して急死し、九日砂山洞雲寺墓所に埋葬された。

主人を亡くしたモリ公は校葬の日から主人の姿を求めて故校長の實家―清瀧神社司の十時家に生きクン〃と啼きながら家内をかけめぐり、時には故校長が散歩した砂山へかけのぼりなどして、二、三日間は歸宅せなかつたが、ある日早朝故校長の實母が墓参されたところ元氣のないモリ公が地下に眠る校長の盛土新らしい墓所に數ヶ所の穴を設け、鼻を突込んではクンクンと悲しげな啼聲をして新らしい墓標をぐる〃と廻り去らうともせない。雨に濡れたモリ公のいぢらしい姿に老母も感泣されて、モリ公を内山家に連れ戻せられたが、校長生前當時の元氣はなく、夜間は忠實に家守をなし、必ず朝早く校長の墓所へ駈出し、悲しい聲で叫び廻り、淋しげに戻る姿は町民に涙を絞らせ一つの教訓材料とされてゐる。

『忠犬の墓参り』より 昭和12年

2021年6月度月報

テレワークで自宅に閉じこもる日々、運動不足が祟って2年ぶりに痛風が炸裂しました。
アキレス腱が千切れるほどの痛みに七転八倒しつつ、気を紛らわそうとYouTubeを観たら、『これから麺カタコッテリの話をしよう~』がオススメに出ていて苦笑い。
前回の発作時もそうでしたが、痛風発作中にこの歌を聴くと最後のお説教シーンが身に沁みます。コロナは怖いですけど、尿酸値も怖いですねえ。

 

そういう気息奄々たる私のもとへ「ワクチン接種が始まったし、そろそろ実家へ立ち寄っても大丈夫ではないの?」などと母親からメッセージが届きました。
年寄りは何故そうやってすぐに気を緩めるのだ。
ワクチンを打っても感染はするんだし、もうしばらく我慢しろと連絡したところ「実は、漬物樽一杯分のラッキョウをいただいたので、皮むきを手伝ってほしい」とのこと。
「嫌だよ面倒くさい、そもそも足が痛くて動けないの」と伝えたら、「ラッキョウは痛風の薬になる」などと言い張られるワケです。初めて聞いたわそんな迷信。
まあ、平和で何よりですね。

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