◎ブル 長田氏愛犬
◎太郎 鈴木氏愛犬
ブルと太郎、聞く所に拠ればブルの爲めには復讐戰とやら。前回にはブル、太郎に爲て遣られて、堪らず笑ひを漏したとのこと。
今度こそは百戰百勝を期したと見へて、勢好く登場した。
太郎も返打思ひ知れやと續ひて登場、阿吽の挨拶で勢好く打突つた。第二回闘犬會の時は双方中々取組なかつたが、尻を押されて漸く戰ひ、曲面の變転に目を見張って居る其刹那、審判より引分の聲があつたと斗り、別にブルの笑ひも無い様だつたが、後から聲けば過般はブル笑ひ、今度は太郎の笑ひであつたとの、頗る愛嬌のある話であつたが、打突るや太郎素早くブルの横顔に一本参ろふとしたが、左様はさせじとブル下から太郎の耳下に咬ひ付た儘、暫しが程は振り立つた。
太郎も首を右に左に振り放さうと焦つたが、ブル何條放さばこそ日頃の仇思ひ知れやと斗り、一層力を込めて振り立てれば、太郎堪らず遂に一本参つたと挨拶の聲いて、引分けは誠に興ある勝負であつた。