アキの提案により、大和はアキ達と共に行動することになった。

その提案に千里は少なからず反対したのだが、


「どうして?」


と、疑いのない素直なアキからの質問に答えることができず、結局そのまま流されてしまったのだ。



大和とアキの背中を疑い深い目で見つめながら、千里は2人の少し後ろを歩いていた。


それは、アキに対してではない。大和に対して、だ。



先程聞こえていた足音はもう聞こえなくなった。やはり、あの足音は、大和だったのだろうか。

しかし何故、わたしたちをストーカーするような行為を行ったのかが解らない。ましてや、ばれないように慎重に慎重に。あの足音だって、時たま微かに聞こえるくらいのものだったから、よほど神経を使って歩いていたんだと思う。







…時たま、微かに、聞こえる?




先程から私は、あの足音が大和であること前提に話をしている。

確かに、私は足音を聞いた。記憶も鮮明に残っている。




しかし、もし、それが聞き間違いなら?




例えば、誰かの足音が反響して私たちまで届いて、それを聞いて勘違いしてしまったとか。それなら、それは大和であると言いきることはできない。

しかし、それならアキだって気付いていたはずだ。何故、アキは気付かなかったんだろう?



いやいや、たとえば、例えばの話だ。




アキは時々変なところで鈍いから、そのときも、話に夢中で聞こえなかったのかもしれない。


聞こえていれば、私と同様、背後から声をかけてきた大和に警戒心を抱くはずだ。



しかし、今見ている限り、アキは大和に警戒心のカケラすらも抱いていない。

むしろ、仲間とでも思っているのでは。


そう思ってしまうほど、目の前の2人には笑いが絶えず、とても楽しげな雰囲気を醸し出していた。






やはり、私の勘違いなのかな。



でも、あの足音は絶対…





不安が徐々に想いを掻き消していく。

自問自答を繰り返してばかりでは、何も解決しないことはわかっていた。


だからって、この2人に聞くのはあまりにも、



酷すぎた。




はあ、と溜息を吐く。



考えすぎだ、わたし。


もうちょっと楽にいこう。




顔を上げると、大和がこちらを見ていた。




「どうした?疲れた?」




優しげな声色。


嘘か真か、今の私には考える余地もない。


ならば、



「ううん、なんでもない。何々、なんの話してたの~?」



飛び込むように大和にぶつかり、大和は笑いながら話の内容を話してくれた。


アキが付け加えて、身振り手振りをしながらハイテンションで跳びはねたりしている。


あはは、あははは。













私は、嘘を選ぼう。