製麺 | ラーメンを作る

ラーメンを作る

うまいラーメンを自分で作る。
番外編で、信州上田(地元です…)のあんかけ焼きそばとかもつくりたいなぁ。

中華麺を製麺するにあたって考慮すべき事項をまとめました。参考ソースは個別に《》で記し、また文末にも整理してあります。

◎材料
中華麺に最低限必要なものは小麦粉かん水です。それぞれ個別に記事があるので詳細はそちらにて。あとは水。その他の材料に付いては添加物の項目で考えます。
・水…水については、硬度を変えての製麺実験はしたことがないのですが、一般的には金属イオン等の少ない軟水の方がグルテンの形成も親水性も良いようです。

参考】製麺過程における温度
それぞれの項目でも触れていますが、麺のおかれた温度によってさまざまな影響が生まれます。
温度が高い…生地が柔らかくなる、酵素の活性がたかまり熟成しやすくなる。
温度が低い…生地が硬くなる、酵素の活性が抑えられ熟成しにくくなる。
ようするに両天秤なわけです。では温度によって誤差が発生したその天秤を釣り合わせる為にはどうすれば良いか、それがかん水濃度や塩濃度、加水率、熟成期間になるというわけです。それならばそれらをどれだけ調整すれば良いか、それは数値化が難しく、結果として調整には知識や勘、蓄積された経験などが重要となるのでしょう。

参考】留意すべきグルテンの性質
酸性だとグルテンの結合が切断され、伸展性が増す。アルカリ性ではグルテンの結合が強化され、固く強くなる。また温度が高い程グルテンの分子が流動性を持ち、伸展性が増す。茹でられると加熱ゲルとなり、グルテンの分子同士が強く結合した弾力のある物質となる。加熱ゲルはpHが高い程(=アルカリ性)固くなり、低い程(=酸性)伸展性(のび)が大きい。アルカリ性ではグルテンの分子同士の結合が作られやすく強固になるため。《グリコ栄養食品食べ物辞典》

◎添加物
創作麺を除いて、一般的に中華麺に使用されることのありそうな添加物と、その効果をまとめます。
卵黄…麺に光沢や滑らかさを与え、鶏卵の風味が加わる。《生中華(生ラーメン)のお話》
卵白(卵白粉)…麺の食感をプリっとしたものにし、茹で伸びしにくくする。
全卵…卵黄、卵白をあわせた効果。
グルテン(小麦タンパク)…麺にコシをだす。
澱粉…保存安定性、食感の改善、麺の色味向上と透明感の付与、茹で時間の短縮。また結果的に加水の増量やグルテンの添加が必要となることも。《澱粉のご紹介》
日本酒…かんすいによる臭いを抑えるといわれる。また、日本酒は酸性の為、グルテン結合を切断し麺の伸展性を増す(逆に言えば、コシがなくなる)。
にがり…含まれているミネラル成分が熟成を助ける。本来は塩に含まれる成分。
ジェファー液…佐野実氏がたどり着いた麺質を向上させるクロレラ液。詳細は分かりませんが、クロレラエキスや塩が主成分のようです。クロレラは成分の半分がタンパク質で、澱粉質も多く、その他にも多様な成分を含んでいます。《クロレラの効果・効能と副作用などのまとめ情報!》
その中でも二大成分のタンパク質と澱粉質、これが麺と共通なわけで、実際効果もあるようです。《麺屋にゃみログ》

参考】麺生地への酢の添加~うどんの場合~
麺生地への酢添加の役割
保存と艶のため《母の郷土料理!小麦粉編》
熟成のコンディションを整え、生地の持ちを良くし、茹でる時には麺の肌あれを防ぎます。《大和製作所 麺づくりに関して(うどん)》
殺菌作用に夜保存性の向上。茹で湯を酸性にし茹で上りを良くする。《えーじゃんのうどんについて》
生地へ酢を入れるというやり方は伝統的な讃岐うどんにはあるようですが、その根拠というか具体的な科学的効果は調べてもわかりませんでした。「茹で湯を酸性にする」とありますが、これは生地にではなく茹で湯に直接酢を入れて酸性にした方がよいはずなので妥当な説とはいえません。推測の域はでませんが、自然塩を使用した生地の場合、pHがややアルカリ性に傾くため、そこへ酢を投入することによって生地の中性が保たれ、結果として熟成中の酵素活性がよくなるということかもしれません。また、アルカリ性だとグルテンの結合が強化され、固くなるため、太いうどんには不向きだから、という考え方もできます。ただし、これはうどんの場合に限るもので、中華麺に酢を入れるという手法は見たことがありません。これはアルカリ剤であるかん水の効果を生かすためであると思われますが、では酢を入れちゃったらどうなるのか、分かりません。こんど時間があったら試してみたいものです。

◎塩
製麺における塩の役割《小麦粉のおはなし》
※自然塩での塩水は弱アルカリ性(pH8程度)となり、かん水と似た働きをする。ちなみに精製塩は中性。
グルテンを引き締め、生地の弾性と伸展性を増す。ただし多すぎるとグルテンが変性して弾力が低下する。
酵素の活性を抑制し、生地熟成中の変化を少なくする。
浸透圧の作用で麺内部に水が入りやすくなり、麺の茹で時間を短くする。
茹で時に塩の90%程度は湯中に溶出するが、ほのかな塩味が麺の風味を引き立てる。
水分活性を下げ、日持ちを良くする。
実際の塩濃度の決定…これは無塩から、標準的な3%(かん水中の濃度)、またはそれ以上と選択肢は限りなくあります。かん水と同様、夏は食塩量を増やして生地を締め、冬は少なくして締まりすぎないようにコントロールする事もあるようです。塩の効果はかん水と重なる部分もあるので、あまり実際の製麺では実感しづらいのですが、塩味についてはその限りではありません。実際、麺をゆでると塩分は流出するため、ほとんど感じられなくなりますが、極細麺のバリかたなんて茹で加減であれば、十分塩分の流出がなされず、塩味が残ることも考えられます。そんな理由からか、博多ラーメンの極細麺は塩分が一般的な麺の1/3ほどなのだそうです。茹で時間や麺の太さに応じて、適量入れるのが無難なのでしょう。《究極ラーメン 麺を科学した新製麺術》
また、塩は自然塩の方が良いようです。グルテンの形成がより良く、コシの強い麺となり、茹で伸びもしにくいとのこと。また、ニガリ成分により塩の塩辛さがマイルドになり、小麦の風味をひきたてるようです。《自家製麺の技術》

◎加水率
一般に28%~40%ぐらいでしょうか。あくまで一般論なので、この範疇をこえて作られる中華麺もあると思います。では、この加水率の差は何なのか。多加水麺とか少加水麺などと言われる事もありますが、その基準が何%なのかの共通認識も曖昧なようです。少加水だと小麦粉の味が、多加水だと水の味が麺の味に影響するなんて意見もあるようですが、加水率よりも使う粉の質の方が当然重要であって、味(風味)そのものに加水率はあまり影響しないような気がします。普通に考えれば、加水率にかかわらず水は良質のものを使用すべきでしょうし。
少加水…水分が少ないということから、生地が粉っぽいという印象になりますが、実際の麺はやや固めでくっつきにくいもので、別に粉っぽいわけではありません。しかし「粉っぽい」のは内部的には間違いないので、茹でた瞬間からどんどん水分を吸っていきます。結果、シビアな茹で時間が要求されると考えてよいかと思います。また、ラーメン完成後も、内部への水分の浸透がどんどん進むので、伸びやすい麺になります。言い換えれば、スープを拾いやすい麺とも言えます。実際、少加水の極細麺でモタモタ作っていると茹ですぎたソーメンのように残念な仕上がりとなります。少加水麺を固めに茹でた場合、ザクッとした食感になります(いわゆる博多ラーメンの固め)が、この感じは乾麺と生麺の中間のような性質からくるのかもしれません。のびやすいという性質を補う為に、卵白粉や小麦タンパク(グルテン)を加えて製麺することが多いようです。また、水分量が少ないため麺を熟成しづらいという側面があります。
多加水…水分が多いということから、生地がしっとりしている印象になりますが、実際はくっつきやすく柔らかい麺となります。たいていはくっつき防止に打ち粉が必要です。内部的にも、上手に水分が行きわたった麺はしっとりと弾力のあるものとなり、十分に熟成させればより水分が均等に行き渡りしっかりとしたものになります。少加水の場合とは逆に、十分に水分が行きわたった生地は、茹でてからも内部への水分の浸透がゆっくりとなり、少加水麺ほどのシビアな茹で時間は求められません。麺は弾力のあるプリっとした仕上がりとなり、十分熟成させたものは透明感が出てきます。つるつる感が強く、スープに絡みづらい麺となる傾向があります。
実際の加水率の決定…これは完全に目指す麺によるので決まりはなさそうです。太麺はどのくらい、細麺はどのくらい、という決まりや推奨される加水率はありません。太麺で少加水ならラーメン二郎風、太麺で多加水なら六厘舎風、細麺で少加水なら博多ラーメン風、細麺で多加水なら…なんでしょうねw 最終的には目指すラーメンによる、ということでしょうか。ただ、気温によって生地の柔らかさは変わってくるため、生地が柔らかくなりやすい夏場はやや加水を下げ、冬場はやや増やすという工夫をしている場合もあるようです。麺の管理環境を一定にすれば年中一定でよいのでしょうけれど。

◎熟成
麺(そぼろ、麺帯、麺線)の熟成の効果《小豆島手延べ素麺のお話》
水和(水と小麦粉がなじみ麺生地が均一化される)。
水和によるグルテン生成の助成。
微生物や酵素による風味の付与。
脱気(麺生地中の気泡の解消)。十分に脱気された場合、麺に透明感が生まれる。
かん水特有の臭気を抑える。
構造緩和。(ミキシング、圧延で硬くもろい状態のグルテンを休ませ自然の状態に戻す)(成型時の外力によって不自然な規則的な配列をとった生地の内部構造を、時間をおくことによって自然の状態に戻し、次の圧延などに備えて生地を緩和させる)
実際の熟成時間について…構造緩和に関しては30分~1時間で安定状態になるが、通常は10分程度で十分な効果が期待できる(温度が高いほど、加水が多いほど緩和は早い)。混合(ミキシング)直後の状態では、水和を主な目的としたそぼろ熟成を、また麺帯もしくは麺線では構造緩和と水和を主な目的として熟成させる。常温で1~2時間、定温で4~5時間とも言われるが、熟成時間は任意。

◎参考サイト
小麦粉のおはなし
生中華(生ラーメン)のお話
澱粉のご紹介
グリコ栄養食品食べ物辞典
母の郷土料理!小麦粉編
大和製作所 麺づくりに関して(うどん)
えーじゃんのうどんについて
家庭で手打ちうどんを楽しむ(くらしと生協)
堀製麺Q&A
手づくりうどん、そば講座
小豆島手延べ素麺のお話
クロレラの効果・効能と副作用などのまとめ情報!
麺屋にゃみログ

◎参考書籍
究極ラーメン 麺を科学した新製麺術/株式会社大和製作所
自家製麺の技術―ラーメン・そば・うどん/旭屋出版MOOK


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