これからも血のつながりの素晴らしさを話していきたい | 環の会 -Motherly Network-      育ての親と養子として育った子どもたちからの声

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環の会で子どもを迎えた家族からの声をご紹介します。
※子どもの名前はすべて仮名です。

健(たける)が小学生のころ、「ねえ、おれの(産みの)お父さんてどんなひと?」と聞いてきたことがあった。
「よく知らないんだ。○◯ママ(産みのお母さん)より少し年上で、◯◯ママが、昔とっても大好きだったひと。あとは〇〇ママに聞くしかないなあ」
それから健は想像で過ごすことになった。
中学3年の秋、産みのお母さんと2回目の再会をして、少し聞けたみたい。
私が「産みのお父さんてどんなひとだと思った?」と聞いたら、「やんちゃだったんだろ」と笑って応えた。
産みのお母さんには、「お父さんには別に会いたくない」一旦は、そう言ったものの、あとで書いた手紙に「やっぱり、ちょっと会ってみたいです」。
でも、産みのお父さんと会うことが、いかに多難かということを、「わかってる」と健は言った。
そして昨年、大学生になり、産みのお母さんとの3回目の再会で、「健は、(産みの)お父さんにそっくりだよ。友だちに健の写真を見せたら、間違いなく2人の子だって笑われた」そう教えられた。

産みのお母さんは、今はとても優しい男性と結婚して、男の子と女の子が産まれている。まだ健が兄だということを知らない。2人が成人してから伝えたいと聞いたことがあった。
産みのお父さんも、今は結婚して、2人、幼いお子さんがいるそうだ。
その話を聞いた健は、「おおー。おれの弟と妹がいっぱいいるー!」と喜んで笑った。
いつか健を息子として、産みのお父さんと会えたり、健を兄として、弟や妹たちと会える日は来るのか?
それはとてもせつない。
夢として描いていいのか?そう思うことさえ、途方もなく儚く感じる。
それでも、健は喜んでいた。嬉しそうに話を聞いていた。たぶん、「わかってる」と言うのだろうけど。
新しい生活の中から会いに来てくれた、産みのお母さんが、健を強くしてるのかな。
テリング、私は健と一緒に、これからも産みのお母さんの話をたくさんする。
そして、名前を知ってる弟、妹のこと。名前も知らない、お父さん、弟、妹のことも話すだろう。
何かの答えを探すためじゃない。健を迎えたときに、まるごと抱きしめてきたことだから。
健がこの世界に生まれる前から、ど真ん中に、真っ赤に流れているものだから。
血のつながりの素晴らしさを、これからも話していきたい。
血のつながらない素晴らしさは?それは、環の会の家族を見ていれば、話さずとも。
 
 

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