東野圭吾『禁断の魔術』(文春文庫)
ミステリとしての消化不良感は否めないですが,教え子に対する責任と覚悟,ひいては科学のあり方を問う,メッセージ性の強い作品だと思いました.
帯に書いてある「シリーズ最高のガリレオ」と言うには誇張が過ぎるかな^^;
現代社会は多くのテクノロジーのもとに成り立っていますし,食やスポーツも科学する時代となっています.
最近のバレーやサッカーでは試合中に選手の心拍数をリアルタイムでモニターし,選手のコンディションを見極め,ベストなタイミングで選手交代をする指標にしているそうです.
本書に登場する「科学を制する者は世界を制す」とは,科学を駆使することであらゆる方面で優位に立てるとこを意味しているのでしょう.
ところが,科学とは恐ろしいもので「禁断の魔術」でもあるわけです.つまり,科学は兵器にもなりうると...
正しく原理を理解し,正しく取り扱い,そして何よりも正しい理性・道徳・倫理のもとで使用しなければ,人類に牙を向く危険なものでもあります.
科学の誤用による人災を繰り返さないためにも,指導者は責任と覚悟を持って後継者を育て,より良い世界を築き上げていかなければならないと思いました.
