vast.aiでRTX 5090を貸していますが、他に貸し先がないか調べていてRunPodに行き当たりました。

取り分は93%だそうです。でも、新規で入れないようです。

 

きっかけは、ホストの取り分を比較した記事です。

vast.aiが85%、RunPodが93%、io.netが80%と書かれていました。

 

8ポイント差。同じ機材、同じ電気代でこれだけ違うなら、乗り換えか併用を考える価値はあります。

  

RunPodの公式ページを見ると、Community CloudのRTX 5090が1時間$0.69。Secure Cloudだと$0.99。

 

当方がvast.aiで出している価格は$0.32です。借り手側の負担は倍以上。

 

これは期待できるんじゃないでしょうか、と思ったところまではよかった。

 

公式ドキュメントにホストの項目がない

 

docs.runpod.io を一通り見ましたが、ホスト側の説明が見つかりません。マシンの登録手順、必要な回線、審査の有無、どれも書かれていない。あるのは借りる側の情報だけです。

 

日本語の解説記事も探しましたが、ホスト側の話はゼロでした。

 

vast.aiは公開情報だけで登録まで辿り着けたので、この時点で少し嫌な予感がします。

 

問い合わせた内容

 

サポートのリクエストフォームから聞きました。

 

■ 個人ホストを受け付けているか、データセンター事業者限定か

■ 最低基準があるなら何か(GPU枚数、コロケーション要件、回線)

■ Community Cloudに並んでいる5090は、第三者ホストのものか

 

機材構成と、vast.aiでのVerified実績(2026年8月取得、Reliability 99%)も添えました。住宅設置でGPU 1枚である点は、こちらから先に書いています。隠しても後で落ちるだけなので。

 

回答

 

まずAIのテンプレート回答が返ってきました。内容は3点。

 

■ Community Cloudのホストプログラムは新規受付を停止している。既存ホストは継続できるが、新規の個人ホストの受け入れは閉じている

■ 現在の新規供給はSecure Cloudパートナープログラム経由。最低構成は100kW以上のGPUサーバー容量

■ Community Cloudに並んでいる機材は、既存ホストのもの

 

人間の担当者にも確認した

 

AIの回答は、それ自体は筋が通っています。とはいえ100kWという数字が公開ドキュメントで裏を取れなかったので、人間の担当者にも投げ直しました。例外を求めているわけではないこと、数字を正確に書きたいだけであることを添えて。

 

返ってきた回答は2点。

 

■ Community Cloudの個人ホスト受け入れは、実質的に無期限で閉じていると考えてよい。再開するかどうか、時期も含めて社内に見通しはない

■ Secure Cloudパートナープログラムの最低構成が100kWであることは、その通り

 

技術サポートの担当者名まで入った、きちんとした返信でした。断られた側ではありますが、聞いたことにはまっすぐ答えてもらえた印象です。

 

100kWという数字

 

当方のホスト機は、ワットチェッカーの壁実測で約400Wです。

 

100kWだと250倍。桁が2つ違います。

 

 

 

 

これは交渉や工夫でどうにかなる差ではないので、この時点で終わりでした。RTX 5090が1枚あるかどうかは、向こうから見れば誤差でしょう。

 

Saladとio.net

 

貸し先の選択肢は、これで一通り潰したことになります。

 

Saladは4月から5月に試して、$300ほど稼いだところでやめました。

 

公式の価格は悪くありません。RTX 5090が1時間$0.27から、RTX 5080が$0.195からと発表されています。当方がvast.aiで出している$0.32と比べて、額面では大きく劣らない。

 

とはいえ、実際に回してみると、稼働していても報酬が発生しない時間がありました。額面と実入りは別ものです。普段使いのWindows機の空き時間を回す用途なら有りだと思いますが、専用機を用意してまでやるものではないでしょう。

 

報酬の受け取りも違います。SaladはSalad Balanceとして貯まり、PayPal送金やデジタルVisaに交換する形。ドルでそのまま受け取れるvast.aiとは、ここも別ものです。

 

io.netは報酬がトークン払いです。為替リスクに加えて仮想資産の値動きが乗るので、電気代が円で出ていく以上、当方は避けています。

 

 

 

 

結局、個人が1枚のGPUを貸すなら、いまはvast.aiでいいということみたいですね。

 

(RunPod側は「再開の見通しは無い」との回答でした。動きがあれば追記します)

  

vast.aiのホストを実際にやった記録は、noteの有料記事にまとめています。

https://note.com/saranwrap/n/n85eaa70872ad


結論から

  • 認証基準を満たしたのは 7月中旬
  • 実際にVerifiedになったのは 8月30日
基準を満たしているのに、1か月半も認証が下りませんでした。設定の問題ではありません。vast.aiの認証の仕組みそのものに理由があります。
何が起きていたのか、それとReliabilityが60%から99%になるまでの実際の推移は、noteの有料記事にまとめました。
第2章までは無料で読めます。

最終回です。電気代の話を実践的に掘り下げます。

24時間つけっぱなしの運用では消費電力の1Wが効いてきます。

 

nvidia-smiには-pl(power-limit)という消費電力の上限を設定するオプションがあります。

普通ならこれで一発、のはずでした。

ところがRTX 5090の場合、パワーリミットは70%までしか下げられないので、400W未満に下げられませんでした。

400Wによる室温上昇はなかなかのもので、連続稼働なら冷却もギリギリです。サーマルパッドの劣化も早まりそう。

 

この400Wの壁をどう越えたか、そのとき打ったコマンド、クロックを絞っても収益が落ちなかった理由、再起動で設定が消える問題への対処。このあたりは長くなったので、noteの有料記事にまとめました。

vast.aiでRTX 5090を貸して月2万円 個人ホストの実績と全手順

第2章までは無料で読めます。電気代だけでなく、回線とポート、損益分岐、出金まで入っています。

前回はエアライナー、コンバットシム、ジェネラルアビエーションの3ジャンルを扱いました。

 

今回は残る2ジャンルと、全ジャンルに共通する視界の話でしめます。第1回/第2回。

 

編隊飛行(集団での曲技飛行)

 

ここからは私のメインジャンルです。

 

Microsoft Flight Simulatorで、複数人が編隊を組んで曲技飛行を行うジャンルです。

 

私が使っているのはMB-339という有料の機体で、スモークの色や発生を自由に変更するためのプラグインを別途導入しています。

 

必要な操作は驚くほど少ないです。エアライナーやコンバットシムとは違って、限られた入力操作しか要りません。具体的には以下だけ。

 

■ エルロン、エレベーターの操作

 

■ トリム、スロットルの操作

 

■ フラップ、エアブレーキ、ラダー、ギアの操作

 

■ スモークのオンオフ

 

■ ノーズステアリングのオンオフ(離陸時のラダー操作で、ギアの向きを固定するために使用)

 

これ以外の操作はほとんど必要ないので、機材の入力ボタン数としては限られたもので十分です。

 

一方で、精度は全ジャンル中で最も要求されます。

 

スロットルやスティックについては話が別で、非常に繊細かつ細かな微調整の連続が編隊飛行の基本になります。前を飛ぶ機体との相対位置をミリ単位で維持し続けるわけですから、スティックのセンター付近の分解能が全てを決めます。

 

バネ式のThrustmaster HOTASや、ロジクールのX56などでは、センター付近での微調整が非常に難しいです。バネの反力が強すぎて、細かい入力が入らないのです。

 

そのため、カム式あるいはジンバル式と呼ばれるものが必要になります。VKBのGladiatorなどが値段と性能のバランスが良いと思います。

 

追加機材は、パネル類を買い足す必要がありません。全ジャンル中で、追加機材への出費が最も少ないジャンルです。

 

視界確保には2つの流派があります。

 

1つ目がVRで、私がたまに参加させていただいているMAT-Jの場合は、Quest 2あるいはQuest 3を利用する人が多い印象です。

 

2つ目がマルチモニタ。ワイドモニタ1枚の人もいますし、私のようにトリプルモニタにする人もいます。どちらが優れているということはなく、完全に好みと環境の問題です。この選び方については記事の最後にまとめます。

 

ソフトはMSFS2020/2024かDCS World。

 

私が参加しているのはMSFSのほうで、機体はMB-339(IndiaFoxtEcho製)、加えてスモーク制御のプラグインが実質的に必須です。ソフト側の費用は数千円程度で済みます。

 

一方でDCSでも同様の集団での編隊曲技飛行が行われているようで、特にMB-339を使ったものについては日本人のコミュニティも存在すると聞いています。

 

MSFSとDCSの接触判定

 

ここが両者の決定的な差なので、書いておきます。

 

MSFSでは、機体同士が接触しても何も起きません。当たり判定がないので、すり抜けるだけです。

 

もちろん気持ちの良いものではありませんし、編隊の完成度が下がるので悲しくはなります。故意にやれば迷惑です。

 

ただ、初心者が一生懸命頑張った結果として他の人と被ってしまうことは、割と許容されている雰囲気があります。みんな初心者に優しいのです。

 

私自身、これに何度も助けられました。ぶつけても大丈夫という安心感があるからこそ、思い切って機体を寄せていける。編隊飛行の練習環境として、これは大きな利点です。

 

一方でDCSは違います。機体同士が接触すれば、それはそのまま墜落を意味します。1機のミスが編隊全体を巻き込むこともある。当然、非常に緊張感を持った飛行になります。

 

だとすれば、MSFSで練習してDCSで本番、というやり方もありでしょう。

 

まずは当たり判定のない環境で位置取りの感覚を身につけ、それができるようになってから緊張感のある環境に移る。上達の順序としては理にかなっているはずです。

 

とはいえ、私はDCSをやったことがないので、あくまで外から見た印象です。

 

買い足す順番については、このジャンルに限っては1本目のジンバル式スティックがそのまま答えになります。他のジャンルのように次に何を買うかで悩む必要がありません。次に買うとすればスロットルです。

 

ヘリコプター

 

ここまでの4ジャンルは、機材がある程度は流用できる関係にありました。エアライナー用のヨークをGAで使う、コンバットシムのスティックを編隊飛行に転用する、といったことは可能です。

 

ところがヘリコプターだけは違います。固定翼で揃えた機材が、原則としてそのまま使えません。

 

私も手元にある固定翼用の機材で飛ばしてみましたが、本格的に楽しむためには専用機材を購入することになるでしょう、というのが正直な感想です。飛ばせないわけではないのですが、これは本来の操作感ではないな、という感覚が最後まで消えませんでした。

 

ヘリコプターの操縦は、以下の3つを常時同時に動かし続けることで成立します。すべてアナログ軸である必要があり、キーやボタンでは代用できません。

 

① サイクリック(右手)

 

機体の前後左右の傾きを操作するスティック状の操縦桿です。固定翼のスティックとの決定的な違いは、センターへの復帰バネがあってはならないという点。

 

実機のサイクリックは手を離した位置にとどまります。バネで中央に戻る固定翼用スティックでこれをやると、常に力を入れて位置を保持し続けることになり、ホバリングのような微細な操作は事実上不可能です。

 

編隊飛行のところでバネ式では微調整が難しいと書きましたが、ヘリコプターではそれが難しいではなくできないになります。

 

② コレクティブ(左手)

 

ローターのピッチを一括で変え、上昇・下降を司る左手のレバーです。スロットルとは別物である点に注意してください。

 

こちらも構造上の要件があって、節度(ディテント)があってはなりません。エアライナー用のスロットルクアドラントはアイドルやリバースの位置でカチッと止まる作りになっていることが多く、そのままでは代用しづらいです。

 

実機ではグリップ部分をひねってスロットルを操作するため、ツイストグリップ付きの製品もあります。

 

③ アンチトルクペダル(両足)

 

メインローターの反トルクを打ち消し、機首の向きを制御します。GAのところでラダーは必須級と書きましたが、ヘリコプターはそれをさらに上回ります。

 

コレクティブを上げればトルクが増えて機首が振られるので、左手を動かすたびに足も動かす。3つの操作が完全に連動しているのがヘリコプターの難しさであり、面白さです。

 

ヘリコプターには2つの楽しみ方があって、コンバットシム的に楽しむ場合と、ジェネラルアビエーション的に楽しむ場合とで必要な機材が変わります。

 

コンバットシム的に楽しむなら、DCS WorldのKa-50 Black Sharkなどの戦闘ヘリで、兵装系のパネルが追加で必要になります。

 

ジェネラルアビエーション的に楽しむのは、MSFSで民間ヘリを飛ばす場合です。遊覧飛行、山岳地帯への着陸、MSFS 2024のキャリアモードにある消防・救難・吊り下げ輸送といった任務が中心になります。

 

兵装がない分、必要なボタン数は大幅に減ります。3つの操縦系統が正しく動くことのほうがはるかに重要で、ボタンの数は二の次です。

 

つまりヘリコプターの機材選びは、どちらの遊び方をするかを先に決めてからということになります。

 

専用品はこのあたり。

 

■ Pro Flight Trainer PUMA:サイクリック・コレクティブ・ペダルのセット。折りたたみ収納できる設計

 

■ Komodo Simulations(英国):受注生産のハンドメイド。グリップが交換式で、EC135/145、OH-58、AH-64などに対応

 

■ MaxFlightStick:モジュラー構成で、サイクリック単体、コレクティブ単体といった買い方ができる

 

いずれも海外通販になり、セットで数十万円規模を見込む必要があります。

 

現実的な選択肢は汎用スティックの流用です。

 

VIRPILやVKBのスティックベースはバネを抜いてフリー化できる設計になっており、これでサイクリック代わりにできます。VIRPILやWINWINGはコレクティブ単体も出しています。

 

編隊飛行のためにVKBやVIRPILを持っている人であれば、追加投資を抑えてヘリコプターに入っていけるというのは、知っておいて損のない話です。

 

まず試してみたいだけなら、ツイストグリップ(ひねりラダー)付きのジョイスティック1本とスロットルレバーでも飛べます。スティックをサイクリック、ひねりをアンチトルク、レバーをコレクティブに割り当てる形です。

 

感触は本物と程遠いですが、ジャンルの雰囲気を掴むには十分でしょう。私が試したのもこの延長線上の構成です。

 

視界用の機材は、ヘリコプターでもVRを使う人とマルチモニタを使う人の双方がいます。どちらが正解ということはなく、好みと環境次第です。

 

ただヘリコプター特有の事情として、ホバリングや着陸時に真下や斜め下を見る必要があるという点は挙げられます。頭を動かして下を覗き込めるVRやヘッドトラッキングには、この場面で明確な利点があります。

 

ヘリコプターは合う合わないがはっきり分かれるジャンルで、しかも専用機材は数十万円規模になります。

 

手持ちの固定翼機材でしばらく飛ばしてみて、それでも続けたいと思えたなら、そのときに専用機材へ進むのが賢明です。順番を付けるなら、サイクリック(バネ抜きできるスティックベース)が最優先。

 

VRとマルチモニタ、どちらを選ぶか

 

視界の確保方法はどのジャンルでも話題になるので、最後に個人的な考えをまとめておきます。

 

大前提として、VRで酔ってしまう人にはそもそもVRという選択肢が存在しません。性能や価格を比べる以前の問題なので、ここが最初の分岐点になります。

 

こればかりは体質なので、可能であれば購入前にどこかで試すか、返品可能な条件で買うことをおすすめします。

 

マルチモニタの弱点は、設置面積が非常に大きいことです。トリプルモニタとなれば机の幅をほぼ占有します。専用の部屋やコーナーを確保できるかどうかが現実的な制約になります。

 

費用もモニタの選び方次第では相当な額になります。ウルトラワイドの高リフレッシュレートモデルを選べば、それだけでVRヘッドセットを上回ることも珍しくありません。

 

さらに見落とされがちなのが、手放すときの大変さです。モニタ複数枚とモニタアームという構成は、設置も大仕事ですが売却も大仕事。梱包も面倒で、バラバラに売ることになります。

 

VRのほうは、Quest 3が8万円ほどしますから決して安い買い物ではありません。

 

ただ、それを差し引いても利点があります。まず場所を取らないこと。使わないときはしまっておけます。マルチモニタとの最大の差はここです。

 

もうひとつがリセールで、中古相場が安定していて値崩れしにくいのに加え、単一の製品なので売るのが簡単です。箱に入れて出せば終わり。モニタ3枚とアームを売却する手間とは比較になりません。

 

高いけれど合わなければ売ればいいと考えられるのがVRで、高いうえに合わなくても抱え込むことになるのがマルチモニタ。初期投資額だけでなく、手放しやすさまで含めて比較するというのが個人的な視点です。

 

ちなみに私自身はトリプルモニタ派です。VR酔いするため選択肢がありません。

 

3回にわたって書いてきましたが、主張は2つです。

 

1つ目。1本目はジャンルを問わず3-in-1のスティックで構いません。VKB GladiatorかWINCTRLのURSA MINORです。

 

2つ目。最初はジェネラルアビエーションをおすすめします。機材の要求水準がそれほど高くなく、標準機体だけで完結するのでソフト代もかかりません。

 

そこで飛ぶことの楽しさを知ってから、どの方向に深めていくかを決めれば十分です。

 

私はそこから編隊飛行に進みました。皆さんがどこに向かうのか、その参考になれば幸いです。

第1回では全体像と、ジャンルを問わず共通する最初の1本について書きました。第1回はこちら。

 

今回はそこから先、ジャンルごとの詳細に入ります。

 

エアライナー(定期旅客機)

 

エアライナーは定期旅客機のことです。定期的に運航して旅客を運ぶ飛行機で、一般にジェット機やプロペラ機を指します。

 

楽しみ方は、実際の運航手順をそのままなぞること。

 

運航の計画を立てて、管制とやり取りをして、プッシュバック、エンジンスタート。管制とやり取りしながらタキシングをして離陸。

 

そのあとは計器飛行でオートパイロットを活用して目的地まで飛び、着陸して、スポットまで機体を導く。

 

一連の手順を正確に踏んでいく積み重ねが楽しいジャンルです。

 

ヨークかサイドスティックかは、機体に合わせるのが大前提。エアバスならサイドスティック、ボーイングやエンブラエルならヨーク。

 

私はHoneycomb AeronauticalのAlphaヨークを使っていました。

 

スロットルは、その機体のエンジン数に合わせて軸数も揃えていると良いです。双発機なら2本、四発機なら4本という具合。

 

さらに、ジェット機やリバースを備えたプロペラ機の逆推力が使えるスロットルであれば、雰囲気はより高まります。着陸後にリバースレバーを引き上げる、あの動作が手元で再現できるかどうかは大きな差です。

 

私はHoneycomb AeronauticalのBravoスロットルを使っていました。レバーヘッドが交換式なので、エアライナー構成にも小型機構成にも組み替えられるのが便利です。

 

ラダーは想像以上に重要です。

 

離陸の際は横風によって針路がずれるので微調整が必要になりますし、着陸時も同様。

 

横風が吹いているときに機体の軸を風上にずらしたまま進入して、接地の寸前で滑走路の方向に合わせる。このデクラブという技法で着陸する場合には、繊細なラダー操作が要ります。

 

巡航はオートパイロットにすることが多いので、その数少ない手動操縦の場面をどれだけ味わえるかが満足度を左右します。

 

追加機材は、計器飛行をやるならオートパイロットの入力パネルがあると気分が高まります。

 

私はMiniCockpitのオートパイロットコントロールパネルを使っていました。高度や速度、ヘディングを物理的なノブで回せるようになると、操作の質が変わります。

 

さらに拡張するなら、無線用のパネルや、運航経路の入力用のパネル(FMS/CDU)も販売されています。

 

視界用の機材については、エアライナーでは素早い視界移動は必要ありません。

 

飛行時間が長くなるので、VRを使う人は少ないジャンルです。数時間のフライトの間ずっとヘッドセットを被り続けるのは現実的ではないので、マルチモニタやワイドモニタを使う人が多いでしょう。

 

ソフトはMSFS2020/2024か、X-Plane 12。

 

いずれも標準機体で飛べますが、このジャンルは有償アドオン機体が事実上の前提になりがちです。PMDGの737、FenixのA320などが定番。

 

まずは無料のFlyByWire A32NXから始めてみるのも良い選択です。

 

買い足す順番は、スティックのまま行くか、ヨークに進むかで必要な出費が大きく変わります。

 

エアバス系の機体を飛ばすのであれば、3-in-1スティックをそのままサイドスティックとして使い続けられます。ひねりでラダー、小さなレバーでスロットルが操作できるので、最初の段階では追加購入なしで飛べます。

 

ただし、ひねりのラダー操作ではデクラブ着陸の醍醐味までは味わえません。なくても飛べるが、楽しむためには必要。ラダーペダルはそういう位置づけです。

 

ボーイング系に進む場合はヨークが必要ですが、ここで話が変わって3点セットになります。

 

ヨークにはひねりラダーが存在しません。構造上、ヨークを回す動作はエルロンに割り当てられているので、ラダーの入る余地がないからです。そのためラダーペダルとの同時購入が必須になります。

 

3-in-1スティックはスティック・ラダー・スロットルが1台に統合されていますが、そちらのラダーは指で操作する方式でペダルではありません。デクラブを足で味わいたい向きには、結局ペダルが必要です。

 

エアバス系なら追加出費は少なく、ボーイング系なら覚悟が要る。機体の好みがそのまま予算の話に直結するのが、このジャンルの特徴です。

 

コンバットシム(軍用機での戦闘)

 

※第1回で書いたとおり、私自身はこのジャンルを未経験です。以下は調査に基づく整理になります。

 

DCS WorldやFalcon BMSで、空対空戦闘、空対地攻撃、空対艦攻撃を行うジャンルです。戦闘機や攻撃機に乗り、素早い戦闘を行うことを想定しています。

 

操縦系統としてはHOTASを購入することが多いです。

 

HOTASとはHands On Throttle And Stickの略で、手を操縦桿やスロットルから離さずに個別のボタンを操作できる専用のスティックとスロットルのこと。戦闘中に手を離してキーボードを叩く余裕はありませんから、これは必須の考え方です。

 

このスロットルも機体ごとにボタン配置が違うので、実機と同じものを購入する場合があります。

 

分岐点になるのは、機体専用にするか汎用にするかです。

 

実際の飛行機はスティックやスロットルだけではなく、コックピット中にたくさんのボタンがあります。実機を忠実に飛ばそうと思うと、その周辺のパネルも追加購入しなければならず、全て再現しようとすると費用は相当かさみます。

 

一方で、WINWINGなどから兵装・エアブレーキ・フラップといった具体的な操作パネルが比較的安く販売されています。ただしF-15、F/A-18、F-16といった専用の機体単一のものになってしまうので、汎用性は下がります。

 

とはいえDCSは機体をアドオンとして5,000〜10,000円で購入する必要があるので、乗る機体を決めてから、それに合わせた環境を構築するのが合理的でしょう。

 

複数の機体を楽しみたい場合は、最初からVIRPILやVKBなどの汎用的なスティックやスロットルを選ぶのも良いと思います。

 

ただし汎用品には欠点もあって、スイッチに名称が書いていないため、どれが何の操作か覚えておく必要があります。

 

パネルの必要度は全ジャンル中で最も高くなります。ただし、どこまで再現するかは完全に本人次第でもあります。

 

視界用の機材は、戦闘するジャンルですから素早い視点移動が必要です。VRを使うか、モニタの場合もTrackIRやAITrackで顔の向きによって視界をコントロールする人が多くなります。

 

指でハットスイッチを操作して視界をコントロールしていては戦闘に支障をきたしますし、そのハットスイッチも兵装や機体の操作に使うので、視点移動に割り当てる余裕がありません。ここがエアライナーとの決定的な違いです。

 

逆に省略してよさそうなのはラダーです。

 

多くの軍用機はプロペラ機ではないので、離陸時にトルクによるモーメントを調整する必要がありませんし、横風の影響も受けにくい。ただし空母への着艦時や、横風が強いときには重要になります。

 

なお旅客機の場合はタキシングに使う軸が尾翼のラダーとは別で、前輪の向きを操作する専用のティラー(ハンドル)を別途購入する場合があります。戦闘機の場合は足のラダーで尾翼の舵と前輪の向きの両方を操作するのが一般的です。

 

ここまでは現代のジェット戦闘機を前提に書いてきましたが、第二次世界大戦機(ウォーバード)を扱うフライトシムも存在します。IL-2 SturmovikシリーズやDCS Worldの大戦機モジュールなど。

 

こちらはレシプロ機ですから、必要な機材の傾向はジェット戦闘機よりもジェネラルアビエーションに近づきます。今回は詳しく触れませんが、そういうジャンルもあるということだけ紹介しておきます。

 

ソフトについて。DCS Worldは基本無料で、Su-25TとTF-51Dが最初から飛ばせます。乗りたい機体をモジュールとして買い足す方式で、1機5,000〜10,000円程度。セールの頻度が高いのも特徴です。

 

マルチプレイのサーバー環境が整っており、機体の選択肢もかなり広い。

 

Falcon BMSはFalcon 4.0(1998年)の大規模改造MODで、MOD自体は無料。ただし正規のFalcon 4.0ライセンスが必要で、GOGなどで10ドル前後です。最新は4.38系。

 

F-16に特化した作りで、戦況が自動で推移するダイナミックキャンペーンが最大の特徴です。1万円台で最新レベルのコンバットシムが手に入るという点で、BMSのコストパフォーマンスは頭ひとつ抜けています。

 

買い足す順番はHOTASですが、乗る機体を決めてからです。順序が逆になると、専用パネルへの投資が無駄になる可能性があります。

 

まずDCSの体験版なりBMSなりで機体を決めて、それから機材を選んでください。

 

ジェネラルアビエーション(小型機での自由な飛行)

 

軍用を除いた、すべての民間航空を指す言葉です。エアラインでも軍でもない飛行機がまるごとこのカテゴリに入ります。

 

自家用機での飛行、操縦士の訓練飛行、ビジネスジェット、遊覧飛行、農薬散布、航空測量、報道取材、ドクターヘリなど。裾野が非常に広いのが特徴です。

 

フライトシムの文脈でGA機と言った場合、多くは単発から双発の小型プロペラ機を指します。MSFSの標準機体で言えば以下あたり。

 

■ Cessna 172 Skyhawk(世界で最も生産された機体。教習機の定番)

 

■ Cirrus SR22(サイドスティック+ガラスコックピット)

 

■ Diamond DA40/DA62

 

■ Beechcraft Baron G58(双発レシプロ)

 

■ Cessna 208 Grand Caravan(ターボプロップ)

 

レシプロ単発から、TBMのようなターボプロップ、サイテーションのようなビジネスジェットまで、定義上はすべてGAに含まれます。

 

エアライナーが手順を正確に踏む楽しさだとすれば、GAは目的地も高度も自分で決める自由さが魅力です。

 

基本はVFR(有視界飛行方式)で、地上の川や道路、鉄道、山の形を見ながら地文航法で飛びます。高度1,500〜5,000ft程度、速度100〜150ktというゆっくりした飛び方なので、MSFSの美しい地形をじっくり眺められます。

 

自宅の上空を飛んでみる、という遊び方をする人も多いです。

 

管制のない小さな飛行場に降りたり、離島間を飛んだりといった、エアライナーでは絶対に行けない場所へ行けるのもGAならでは。

 

MSFSのブッシュトリップ(紙の地図を頼りに長距離を区間分けして飛ぶモード)や飛行訓練、MSFS 2024のキャリアモードのミッションも、基本的にはこのジャンルの遊び方です。私自身、これらを進める中で短距離の運航や遊覧飛行を経験してきました。

 

機材はヨークが基本ですが、機体次第です。

 

セスナ172やビーチクラフトといった伝統的な機体はヨークですが、シーラスSR22やDA40、TBMはサイドスティック。乗る機体がそちらに寄るなら、無理にヨークを買う必要はありません。エアライナーでエアバスとボーイングを見分けるのと同じ話です。

 

スロットルは3本必要です。

 

ここがGA特有のポイントで、レシプロ機のパワー操作はスロットル(吸気圧)、プロペラピッチ(回転数)、ミクスチャー(混合比)の3本を組み合わせて行います。

 

巡航高度が上がれば空気が薄くなるのでミクスチャーをリーンにする、といった操作が飛行の一部になっている。ジェット機のスロットル1本とはまったく別の作法です。

 

そのため、レバーが複数本あるクアドラント型のスロットルが向いています。レバーヘッドを交換できる製品なら、GA構成とエアライナー構成を使い分けられます。

 

ラダーはGAでは必須級です。

 

コンバットシムのところでラダーは省略してよいと書きましたが、GAは正反対。

 

単発レシプロ機は、エンジンのトルク、Pファクター、スリップストリームの影響で常に機首が左へ振られようとします。これをラダーで踏んで打ち消し、旋回計のボール(スリップインジケーター)を中央に保ち続ける。これがGAの操縦そのものです。

 

上昇中も旋回中も常に踏み続けることになるので、ペダルへの投資対効果はエアライナーよりさらに高い。

 

追加機材は、エアライナーほど複雑なパネルは要りません。

 

ただしマグネトー(イグニッションキー)、燃料ポンプ、ライト、ピトーヒートといったスイッチ類は頻繁に触るので、スイッチパネルがあると便利です。ヨーク本体にスイッチパネルが付属している製品もあります。

 

G1000搭載機を飛ばすなら、GPS操作用のパネルを追加する人もいます。

 

視界用の機材について、GAは外を見る飛行です。

 

低高度・低速で景色を楽しむジャンルなので、VRの没入感が最も活きます。場周経路(トラフィックパターン)を回るときは滑走路を横目で見続ける必要があるため、頭を動かして見られるVRやヘッドトラッキングには実用面でも利点があります。

 

一方で、G1000のような小さな文字を読む必要がある場面ではVRの解像度がネックになります。ここはウルトラワイドやマルチモニタにTrackIR・AITrackを組み合わせるのも十分に有力です。

 

飛行時間はエアライナーほど長くないので、VRの装着疲れが問題になりにくいのも利点でしょう。

 

ソフトはMSFS2020/2024か、X-Plane 12。

 

このジャンルの大きな利点は、標準機体だけで十分遊べることです。ソフト側の追加投資がほぼ不要なので、最初に踏み込むジャンルとしてはありがたいところ。

 

買い足す順番は、あえてラダーペダルを推します。

 

一般的にはまずヨークと言われますし、それも間違いではありません。とはいえGAの飛行の本質はボールを中央に保つことにあり、そこを味わえるかどうかはラダーの有無で決まります。

 

次にスロットルクアドラント、ヨークは最後で構わないと思います。

 

次回は私のメインジャンルである編隊飛行と、機材が根本的に別物になるヘリコプター、そして全ジャンル共通のVRかマルチモニタかについて書きます。第3回はこちら。

フライトシムを始めたいので機材を教えてください。

 

そう聞かれたときのために、頭の中で答えを用意していました。

 

結局、一度も聞かれていません。フラシム人口は非常に少ない。

 

とはいえ、せっかく用意した答えです。これから始める方の遠回りと余計な出費が少しでも減れば、ということで書いておきます。

 

ジャンルで揃えるものが変わる

 

フライトシムと一口に言っても、ジャンルによって必要な機材が全く違います。

 

エアライナーを飛ばしたい人がHOTASを買っても宝の持ち腐れ。戦闘機に乗りたい人がヨークを買えば、ほぼ確実に後悔します。

 

同じ3万円でも、スティックに使うべき人とラダーペダルに使うべき人がいます。

 

この話を正面から扱ったブログを、あまり見かけません。だいたいは「おすすめフライトスティック10選」の形で、ジャンルを問わず横並びになっています。

 

そこで5つに分けて整理してみます。

 

■ エアライナー(定期旅客機)

 

■ コンバットシム(軍用機での戦闘)

 

■ ジェネラルアビエーション(小型機での自由な飛行)

 

■ 編隊飛行(集団での曲技飛行)

 

■ ヘリコプター

 

見る観点は3つ。

 

① 操縦用の機材(スティック、ヨーク、スロットル、ラダー)

 

② 追加機材(オートパイロットや兵装などのパネル類)

 

③ 視界用の機材(モニタやVR)

 

長くなるので3回に分けます。今回は全体像と、ジャンルを問わず共通する最初の1本まで。

 

先に断り

 

5つ扱いますが、全部を同じ深さで経験しているわけではありません。

 

■ 編隊飛行:メインで取り組んでいるジャンル。MB-339。

 

■ ジェネラルアビエーション:比較的短距離の運航や遊覧飛行がベース。

 

■ ヘリコプター:手元にある固定翼用の機材で飛ばしてみた範囲の感想。

 

■ コンバットシム:DCS WorldもFalcon BMSもプレイしていません。調べた内容の整理です。

 

コンバットシムの機材は特に高額になりがちです。買う前に、実際にプレイしている方の情報を必ず併せて確認してください。

 

① スティック/ヨーク・スロットル・ラダー

 

詳細は次の記事に回して、全体像だけ先に。

 

■ エアライナー:機体に合わせます(ボーイング・エンブラエル=ヨーク、エアバス=サイドスティック)。スロットルはエンジン数と軸数を合わせて、リバース対応が望ましい。ラダーは重要で、横風時の微調整とデクラブ着陸で使います。

 

■ コンバットシム:HOTASのスティック。機体専用か汎用かの二択です。スロットルはHOTAS一体で、機体ごとにボタン配置が違います。ラダーの優先度は低め。ただし着艦と横風では重要。

 

■ ジェネラルアビエーション:機体次第で、ヨーク(C172、ビーチクラフト)かサイドスティック(SR22、DA40)。スロットルは3レバーのクアドラント型。ラダーは必須級で、プロペラ機のトルクを常時打ち消す必要があります。

 

■ 編隊飛行:精度の良いスティック。バネ式は不可で、カム式・ジンバル式かFFB。スロットルはセンター付近の微調整精度が最優先。ラダーも必要で、操作量が多いです。

 

■ ヘリコプター:サイクリックのためバネ抜きが要ります。コレクティブは飛行機用機材の流用が難しい。ラダーは常時操作するので最重要。

 

② 追加機材

 

■ エアライナー:必要度は高い。オートパイロットパネルが最優先で、あとは無線パネルとFMS入力パネル。

 

■ コンバットシム:非常に高い。兵装、エアブレーキ、フラップ等のパネル。完全再現は費用がかさむうえ、機体専用になります。

 

■ ジェネラルアビエーション:中くらい。スイッチパネル(マグネトー、燃料ポンプ、ライト)とGPS操作パネル。

 

■ 編隊飛行:ほぼ不要。限られたボタン数で足ります。

 

■ ヘリコプター:遊び方次第。民間機なら少なく、DCSの戦闘ヘリは兵装系が要ります。

 

③ 視界用の機材

 

■ エアライナー:モニタ(ワイドかマルチ)。素早い視点移動が要らず、飛行時間が長いからです。

 

■ コンバットシム:VRかTrackIR/AITrack。戦闘では素早い視点移動が要ります。

 

■ ジェネラルアビエーション:二流派。外を見る飛行なのでVR適性は高いですが、計器の文字はVRだと読みにくい。

 

■ 編隊飛行:二流派。VRとマルチモニタが拮抗しています。

 

■ ヘリコプター:二流派。ホバリングと着陸で真下を覗くので、頭を動かせる利点があります。

 

ソフト代

 

機材の話をしていると見落とされがちですが、ソフト側の出費もジャンルでかなり違います。

 

■ エアライナー:高い。有償機体が1万円前後で、シーナリーも買い足すことになります。

 

■ コンバットシム:DCSは機体ごとに5,000〜10,000円。BMSは実質1,500円程度。

 

■ ジェネラルアビエーション:ほぼ不要。標準機体で完結します。

 

■ 編隊飛行:MSFSならMB-339のみで数千円。DCSでやる場合は機体代が別途。

 

■ ヘリコプター:MSFSは標準機あり。DCSなら機体代が必要。

 

最初の1本は、どのジャンルでも同じ

 

ここまでジャンルで必要な機材は違うと書いてきました。

 

とはいえ、最初の1台に限ってはどのジャンルでも同じ結論になります。

 

カム式・ジンバル式の良いスティックだけを買っても、ヨークを買っても、スロットルとラダーの操作ができないからです。

 

飛行機を飛ばすには最低でもエルロン・エレベーター・ラダー・スロットルの4軸が要ります。スティックやヨーク単体では2軸しか賄えません。

 

しかも厄介なことに、本格的な金属製カム式スティックほど、ひねりラダーが付いていません。ひねり機構を入れると剛性が落ちるので、精度を追求した製品ほど省かれる傾向にあります。

 

上位機を買うほど追加で買うものが増える、という構造です。無駄買いを避けるために最初から本格的なものを買って少しずつ足していく、という買い方が成り立ちません。

 

そんなわけで、1本目はスティック・ひねりラダー・スロットルレバーが1本にまとまった製品になります。

 

現実的な選択肢は2つ。

 

■ VKB Gladiator シリーズ

 

■ WINCTRL(旧WINWING)URSA MINOR シリーズ

 

どちらを選ぶかの基準は、性能そのものよりも、将来どちらのスロットルとラダーを買うかです。同じメーカーで揃えたほうが、操作感も設定回りも統一しやすいので。

 

■ スロットルの方向性:VKBは汎用性重視のSTECS(編隊飛行向けにはWWIIスロットルもあり)。WINCTRLは実機レプリカで、機種ごとの再現度が高いです。

 

■ ラダー:VKBはブレーキが付いていません。WINCTRLはブレーキ付き。

 

■ スイッチの感触:VKBは良い。WINCTRLはあまり良くない。

 

個人的な結論

 

スティックはVKBを推します。

 

スイッチの感触が明確に良いからです。WINCTRLのスイッチは正直あまり良くありません。毎回触る部分なので、ここの差は長く効いてきます。

 

ラダーはWINWINGのほうが良いでしょう。VKBのラダーにはブレーキが付いていないためで、タキシング時の差動ブレーキが使えないのは、ジャンルによっては実用上の問題になります。

 

ラダーペダルにはそもそもスイッチがないので、さっきの欠点は出ません。

 

スロットルは目的次第です。実機レプリカをほかの機体に使っても全く問題ありませんし、逆に色々な機体を飛ばすなら、VKBのSTECSのような汎用品のほうが潰しが効きます。メーカーを跨いでも動作上の問題はありません。

 

当方は、スティックはVKB、ラダーはWINWINGという組み合わせです。

 

次はエアライナー、コンバットシム、ジェネラルアビエーションの3ジャンルについて。第2回はこちら。

フラシム用のデバイスを買っては売ってきましたが、その回数と金額を一度きちんと数えてみました。

 

買った総額がおよそ52万円、売れた総額がおよそ32万円、今も手元にある機材が13万円分。実際に消えたお金は7万円ほどでした。5年半分なので、月にすれば千円ちょっとです。

 

数字を並べてみたら、回収率が94%のものから56%のものまでありました。その差がどこから来たのかを調べたら、思っていたより単純な話でした。

 

先に二つ断っておきます。転売の話ではありません。どれも半年から2年しっかり使ったうえで次の機材に移った結果で、高く売る目的で買ったものは一つもありません。もう一つ、以下の売却額はすべて手取りです。フリマの手数料と送料を引いた、実際に口座に入った金額で書いています。出品価格ではないので、そのぶん控えめな数字です。

 

全記録

 

■Honeycomb Alpha Yoke 94.2%:売却時に国内在庫が枯渇していた

 

■Honeycomb Bravo 93.6%:同上

 

■WINWING ORION 一式 88.9%:動作確認済みであることを示した

 

■PICO 4(VR) 88.8%:発売直後で人気。使用数時間の新品同様

 

■VKB STECS MAX 83.8%:動作確認済みであることを示した

 

■Thrustmaster Warthog 82.2%:売却時に国内在庫が枯渇していた

 

■ロジクール プロ ラダー 80.5%:大量生産の量販品。いつでも買えた

 

■WINWING ORION メタルラダー(旧版) 56.0%:新品が値下げされ、さらに改良されていた

 

初代のロジクールX56は初期不良で全額返金だったので、この記録からは外しています。

 

94%から56%まで、ずいぶん幅があります。そしてこの差は、製品の良し悪しとは一切関係ありませんでした。理由はタイミングと売り方の二つです。

 

売る時点の新品価格

 

まず、こちらが支配的でした。新品が買えないときは高く売れます。

 

ハニカムの2台は、ちょうど国内での取り扱いがなくなった時期に売りました。94%です。Warthogも、Amazonが売り切れていた時期でした。82%です。

 

在庫が枯渇していたのは運が良かった、と読まれそうですが、少し違います。フラシムの機材はそもそも品切れと生産終了が当たり前の世界で、市場が狭く生産数も少ないので、在庫が潤沢なほうが珍しいです。最強と言われるSlaw DeviceのRHラダーなど、今でも生産待ちの列に並びます。ほしいときに新品が買えないほうが標準なのです。

 

その中でロジクールのラダーペダルだけが80.5%でした。素の中古相場というより、大量生産の量販品でいつでも買えてしまったということだと思います。この業界ではこちらが例外です。

 

フラシム機材は総じて中古に強いので、高い機材を買うリスクは思っているより小さいです。

 

逆が起きたとき

 

WINWINGのメタルラダーは、2024年1月の受注開始と同時に注文しました。送料込みで6万4千円、これに消費税が3,600円で、合わせて67,600円。売れたのは37,850円で、回収率56%でした。

 

理由を分解すると4つ重なっていました。

 

①その年の9月にWINWINGの国内拠点ができ、送料分が浮いて新品が5万円ちょっとになった

 

②台座が変わった。私が買ったものはアルミブロックを自分で組む方式でしたが、その後一枚板になって安定性が上がり、組み立ても簡単になっています。中古で買う人から見れば、私の個体は組むのが面倒で安定性が劣る旧仕様です

 

③20か月使った。①と②が起きるだけの時間が経っていた、とも言えます

 

④買値に、早く買った分が乗っていた。受注開始と同時に飛びついたので、送料も為替も一番不利な条件で払っています。この上乗せ分は売るときに回収できません

 

物としては何も悪くなっていません。今でも良いラダーです。売る時点の新品の条件が変わっただけです。

 

買い手のリスクを消す

 

一方で、上に外れたものもありました。WINWING ORION一式(88.9%)とVKB STECS MAX(83.8%)です。共通しているのは、出品時に動作へ問題がないことをはっきり示したことでした。

 

海外メーカーから直接買う場合、買い手には送料・関税・納期・初期不良だったときに送り返す手間、という4つのリスクがあります。動作確認済みの国内在庫は、この4つを全部消せます。計算してみると買い手の手出しは公式通販とほぼ同じでしたが、それでも売れました。払われたのは、リスクが無いことに対してだったのでしょう。

 

PICO 4(88.8%)は事情が違います。2023年1月に買って、同じ月に手放しました。VR酔いが体質的に合わないと分かったからです。実際に使ったのは数時間で、ほぼ新品のまま次の方に渡りました。VRが自分に合うか試すのに払った金額は4,696円だったことになります。

 

月あたりで割る

 

■ロジクール プロ ラダー 約2年半 実質4,093円 月140円

 

■Honeycomb Alpha Yoke 約7か月 2,084円 月300円

 

■Honeycomb Bravo 約6か月 2,284円 月380円

 

■VKB STECS MAX 約16か月 8,077円 月500円

 

■WINWING ORION 一式 約8か月 約7,800円 月980円

 

■Thrustmaster Warthog 約8か月 月1,450円

 

■WINWING ORION メタルラダー 20か月 29,750円 月1,490円

 

■PICO 4(VR) 1か月未満 4,696円(試用費用)

 

ハニカムのヨークは月300円で7か月です。4万円のデバイスを買うのは勇気が要りますが、月300円のレンタルなら話は別。

 

注目してほしいのが、あれだけ損をしたWINWINGのメタルラダーです。回収率は56%でしたが、20か月使ったので月1,490円。8か月で手放したWarthogの月1,450円とほとんど変わりません。回収率で見ると大損に見えるものが、使った期間で割ると横並びになります。

 

もっと言えば、いちばん安上がりだったのは、質感が最悪だと文句を言い続けたロジクールのラダーペダル(月140円)でした。2年半、文句を言いながら使い切ったからです。

 

合わなければすぐ売る。合ったなら長く使う。どちらでも元は取れます。早く売れば状態で、長く使えば期間で。

 

買い戻した話

 

最後にもう一つ。売ったWINWINGのメタルラダーを、後日買い戻しました。なぜ買い戻したのかは別記事にて。ひとつだけ言っておくと、飛んでいなくても足元にラダーがあるだけで幸せなのです。オールメタルの剛性感と、ダンパの滑らかな動き。盆栽としての魅力があります。

 

52万円と言うと、たいてい呆れられます。ですが実際に消えたのは7万円ほどで、13万円分は今も足元と机の上にあります。5年半で割れば月に千円ちょっと。これだけ試したからこそ今の構成にたどり着けたので、スペック表を見ているだけでは一度も判断がつきませんでした。

 

買い替えを迷っている方は、月あたりで考えるといいでしょう。回収率だけ見ていると判断を誤ります。半分でしか売れなくても、長く使ったならちゃんと元は取れています。逆に、合わないと分かったらすぐ売る。私がVRを試した費用は4,696円でした。

かつて、WIWINGのフルメタルラダーペダルを購入しました。

WINWING SKYWALKERラダーペダルの購入レビュー 注文編【1/2】

WINWING SKYWALKERラダーペダルの購入レビュー 到着編【2/2】

こもりや仕事でフライトに向けたまとまった時間が取れなくなり、完全にフットレストと化していたこと、
中華ルンバの掃除の邪魔になることから、ラダーを売却しました。
 
いざラダーがなくなるとさみしいもので、脚持ち無沙汰となり、ラダーを買いなおしてしまいました。
アルミの足がプレートになっただけかと思っていましたが、いろいろ変わっていました。
 
これが箱だしの状態。
まず、ペダル周りが組み立て済みになっています。
楽ちん。台座を四本のボルトで固定するだけ。
 
ペダルも、前はヘアライン仕上げだったものがつやあり塗装に。
 
 
台座は重く、裏にしっかりしたゴムがついています。
従来品はゴムマットにアルミロッドを乗せる構造で、滑り防止はアルミロッドに張り付けたゴム板で担保していました。
ゴム板は両面テープでの固定だったので、これがずれて不満でしたが、この点が解消されました。
 
セールで5万円でした。
古いほうのラダーが37850円で売れたことを踏まえると、1万円ちょっとでアップデートされたことになります。
購入額が67,600円と、予約のプレミアがかかっていて手出しが大きかったのはありますが、これでも大満足です。
相変わらず、フライトに充てるまとまった時間はとれませんが、なにげないときにラダーを動かして悦に浸っています。
盆栽フラシムです。

フラシム用のコントローラを10台以上買っては売ってきました。

 

手元に残ったのは、性能が良かったものではありませんでした。置きっぱなしにできたものです。買う前に決めておくべきだったのは、どのHOTASにするかより、それをどこに置きっぱなしにするかでした。

 

常設できていると、座ればすぐ飛べます。30分だけ飛ぶ、が成立する。逆に飛ぶたびに出して固定して、終わったらばらしてしまう、という往復があると、その日の気力次第になります。気力のない日は飛ばない。飛ばない日が増えると、だんだん飛ばなくなる。上手くなる前に飛ばなくなります。

 

機材が悪いわけではありません。飛ぶまでの手数が多いだけです。ただ、結果は同じでした。

 

固定が要らない機材

 

Thrustmaster Warthogは漬物石みたいに重いので、そもそもマウントが要りません。飛び終わったら机の奥にずらすだけ。

 

VKB(私はGladiator NXT EVO premiumを使っています)は逆に軽いですが、操作系そのものが軽いので台座を押しのけるほどの力がかからず、動きません。

 

重さは正反対なのに、この二つは同じことができます。常設してもいいし、片付けてもいい。どちらでも手数が増えません。

 

「重い=不便」と書かれがちですが、置いておけてずらせるなら困りませんでした。

 

固定が要る機材

 

■ロジクール X56:軽くて出し入れは楽ですが、締めると台座ごと動きます。別売マウントを使えば固定できそうですが、追加投資。

 

■WINWING ORION:樹脂製で軽く、固定しないと動きます。吸盤が付属しますが、片付けのたびに剥がすのが面倒。

 

■Honeycomb Alpha / Bravo:ヨークのスプリングテンションが大きいので、自重での固定は最初から無理です。だからクランプが標準装備なのだと思います。常設すれば邪魔、片付ければ毎回固定。どちらに転んでも楽になりません。

 

ひとつ補足すると、Warthogが片付けられるのは机の奥にずらせるからです。持ち上げて別の場所まで運ぶ片付け方になるなら、重さはそのまま効いてきます。机の上に何も残せない環境なら、軽いVKBのほうが楽です。

 

常設と出し入れのしやすさ

 

■Thrustmaster Warthog:常設◎/出し入れ◎(奥にずらすだけ)/自重で動かない◎/固定手段は不要

 

■VKB:常設◎/出し入れ◎/自重で動かない◎(操作が軽い)/固定手段は不要

 

■ロジクール X56:常設◎/出し入れ◎/×(締めると台座ごと動く)/実質なし(別売マウントで可、追加投資)

 

■WINWING ORION:常設×/出し入れ×(吸盤の片付けが面倒)/×(軽量で動く)/△(吸盤)

 

■Honeycomb Alpha / Bravo:常設×(とても邪魔)/出し入れ×(着脱が大変)/×(スプリングテンションが強い)/クランプ標準装備

 

■ラダーペダル(ロジクール / WINWING):常設◎(足元に置きっぱなし)/出し入れは―(そもそも片付けない)/×(がたつき・ゆがみ)/固定手段は―

 

ラダーの場合

 

ラダーは唯一ずっと常設しているデバイスです。足元に置きっぱなしで、片付けたことがありません。ロジクールでもWINWINGでも、どうせ足元に置くものなのでこの点は変わりません。

 

正直に書くと、ラダーには不満があります。滑るし、がたつくし、ゆがんでギシギシ鳴ります。床置きなので汚れもたまる。今も解決していません。

 

それでも使い続けています。飛んでいないときでも、足を動かすとちょっと幸せです。これは常設しているからこそで、毎回セットアップが要るならこうはなりません。

 

椅子に付けた失敗

 

WINWINGをIKEAの椅子にタイラップで巻き付けたことがあります。今思えば、常設できる場所がなかったことへの苦肉の策でした。

 

結果は失敗。固定はできていたのですが、とにかく痛い。あの椅子は足を組んだり背もたれに体重を預けたりしてくつろぐための椅子で、そこにデバイスを縛り付けると足に刺さります。しかもタイラップなので外せない。リラックスしたいときに外したいのに外せません。

 

くつろぐための椅子に、緊張する操縦を持ち込んだのが間違いでした。常設場所を確保したつもりで、くつろぐ場所を失っています。

 

今は自動昇降デスク

 

今は自動昇降デスクに直置きしています。

 

フラシムデバイスを机上に常設するなら、デスクは一番下まで下げたいです。高いと手が疲れます。仕事や作業のときは上に上げる。これで一つの机で趣味と仕事が両立できています。

 

椅子でやろうとして失敗したことが、机ではうまくいきました。違いは高さで切り替えられること。椅子はタイラップで固定してしまったので切り替えられませんでした。

 

機材を買い替えて解決した話ではなく、置き場所のほうを解決した話です。私の場合はそちらのほうがはるかに効きました。

 

これから買う方は、その機材をどこに置きっぱなしにできるかを先に決めたほうがいいです。置き場所が決まらないまま買うと、評判の良い機材でもたいてい売ることになります。10台以上売ってきた人間が言うので、多少は当たっているでしょう。

 PICO 4を買ってフラシムをVRでやってみましたが、結局ディスプレイの前に戻ってきました。視点移動だけは文句なしに最高で、それ以外が全部だめでした。

 

VRヘッドセットを買おうか迷っている方のために、たどり着いてから戻ってくるまでを残しておきます。

 

先に前提をひとつ。私はMSFS2020でMAT-Jという編隊アクロチームに参加しています。編隊飛行はめまぐるしい機動飛行で、定期路線便のように風景を楽しみながら手順を操作していく遊び方とはまったく違います。ここが分かれ目で、フラシムをどんなスタイルで楽しむのかを先に整理しておかないと、機材選びは必ずどこかでズレます。以下は編隊アクロをやる人間の話として読んでください。

 

リーダー機を見失う

 

機動飛行中にリーダー機を見失う。これが課題でした。見失うと編隊が崩れますし、崩れると立て直すまで飛行が止まります。視点移動は快適さの話ではありません。飛べるか飛べないかの話です。

 

試した手段

 

①ハットスイッチ/アナログ軸

 

最初はこれです。ただ、機動中に指で視点を送るのは間に合いません。操縦しながら首を振る動作を指に肩代わりさせるには無理がありました。

 

②AITrack + OpenTrack(Webカメラで顔の向きを追う)

 

2022年11月に試して、当時は「これでええやんとなった」と書き残しています。思いつきの割にはよく動きました。ただ私は慣れませんでした。顔をその方向に向けながら、目だけはディスプレイの中心を見続けるという動作がどうしてもできないのです。慣れの問題で、習熟すれば問題ないという方もいます。私はできませんでした。

 

③Eyeware Beam(Webカメラで視線を追う)

 

顔の向きではなく、目そのものの動きを追うソフトです。きっかけは事故で、ELECOMのUCAM-CX80FBBKを買ったらAITrackで認識されず、がらくたになりかけたところ、Beamが対応していたので購入しました。2023年10月。結果はうまくいきませんでした。おそらく原因は私が眼鏡をかけていることで、カメラが目を認識しにくかったのだと思います。手段としては本来◎のはずなので、眼鏡をかけていない方なら評価はまったく変わる可能性があります。

 

④TrackIR(未導入)

 

赤外線を発するLEDを頭に設置するというところがハードルで、試していません。

 

解像度と視野は別物

 

ここは私が遠回りしたところなので、VRの前に書かせてください。

 

フルHDから4Kにしても、アスペクト比は変わりません。つまり視界の広さは変わりません。解像度が上がって、景色が見やすくなるだけです。

 

一方で私が困っていたのは、リーダー機が画面の外に出てしまうことでした。相手が動いても、自分が動いても起こります。そしてこれは、解像度をいくら上げても一切解決しません。

 

視野を広げたいなら、選択肢はアスペクト比の違うウルトラワイドモニタにするか、マルチモニタにするかの2つです。とりあえず4Kにすれば解決するだろうと考えている方は、一度立ち止まったほうがいいです。見やすくはなりますが、見失う問題はそのまま残ります。

 

PICO 4で分かったこと

 

画質:Virtual DesktopのGODLIKE設定まで上げても、計器の可読性は厳しかったです。景色は十分きれいです。ただ編隊では速度も高度も位置も合わせ続けるので、計器が読みにくいというのはそれだけで致命的でした。

 

酔い:これが決定打です。特にロールで来ます。編隊アクロはロールを多用するので、いちばん酔う動きをいちばん頻繁にやる遊び方だということです。相性が悪いという言葉で片付けるしかありませんでした。

 

被る手間:意外だったのがここです。30分だけ飛ぶか、と思ったときに、ヘッドセットを被るという一手間が想像よりずっと重い。性能の話ではありません。続けられるかどうかの話です。

 

マルチモニタに落ち着いた

 

現在の構成は、センターに32インチの16:9、左右に27インチの4Kを縦置きです。トリプルモニタ環境の記事はこちら。

 

サイズの違うディスプレイを混ぜると、同じ解像度でもPPIが変わるので、目で見たときの大きさが揃わないのではないかと心配していました。MSFS2020とMSFS2024では問題になりませんでした。モニタのサイズと解像度を考慮して、目で見たときにおよそ同じ大きさになるように表示してくれます。サイズも解像度も違うディスプレイを組み合わせて視野を広げられるということなので、手持ちの余っているモニタが使えます。

 

そしてマルチモニタの視点移動は、質が違います。視点を移動するのではありません。目をその方向に向ければ、そこにディスプレイがあるのです。操作が要りません。理屈を突き詰めれば、マシンのスペックが許す限り全周をモニタで覆ってしまえば全天周モニタになります。VRがやろうとしていたことを、別の方法で実現しているとも言えます。

 

導入の手軽さには二面性があります。設置の手間・費用・場所は、試した中で最も悪いです。一方で使い始めやすさは最も良い。座るだけで飛べます。VRとちょうど正反対でした。

 

もうひとつ。慣れるにつれて、リーダー機がモニタから外れにくくなりました。機材で解決しようとしていた問題の一部は、練習で減りました。これは正直に書いておきます。

 

視点移動の手段くらべ

 

■ハットスイッチ/アナログ軸:自由度×/可読性◎/酔いにくさ◎/設置◎/使い始め◎

 

■AITrack + OpenTrack(顔の向き):自由度△(慣れれば◎という人も)/◎/◎/△/◎

 

■Eyeware Beam(視線):自由度△(本来は◎。当方は眼鏡で誤認識)/◎/◎/○/◎

 

■PICO 4(VR):自由度◎/可読性×/酔いにくさ×/設置×/使い始め×(被る手間)

 

■大型・高解像度モニタ1枚:自由度×(解像度では視野は広がらない)/◎/◎/○/◎

 

■マルチモニタ3枚:自由度◎/◎/◎/設置×(大変)/◎(座るだけ)

 

これから組む方へ。3枚必要です。4番機なら1枚で足りるので、初心者の方は4番機に導かれがちですし、まずはこれでどんなものか知るのがいいでしょう。2番機・3番機はリーダー機をとらえる横方向のモニタが要るので、結局3枚になります。

 

個人差の話

 

MAT-JではQuest 3を使っている方が多く、皆さん普通に飛んでいます。私は酔いました。それだけの話です。VRが悪いわけではありません。私の三半規管と編隊アクロの組み合わせが悪かった。ここを一般論に広げるつもりはありません。

 

ただ、もし今このページをフラシム VR 酔いで検索して開いたのなら、戻ってきた人間もいるということは知っておいてもらっていいと思います。