関心領域 | 晴れ、ときどき観劇。

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30代OLの日常ときどき観劇、たまに旅行

 

 


壁の向こうは「人間が作り出した地獄」

 

 

 

 



隣のベッドに眠るのは「地獄を作り出した人間」


 

 

見ました。
アウシュビッツ収容所の隣に住む所長一家の穏やかで平凡な日常。壁の向こうから絶えず聞こえてくる機械の唸り声、人間の怒鳴り声、悲鳴、銃声。昼夜を問わず煙突から立ち上るどす黒い煙。毎日繰り返し荷を運んでくる機関車。試みとしては面白いんだろうけど、なにせ作品が面白くない…短尺の映画なのに長く感じて苦痛でした。
アウシュビッツの隣でさえ無関心でいられたように、収容所所長の家族たちが平然と平和な日常を謳歌していたように、人は他人に起きている悲劇にどこまでも無関心になることができる。ウクライナにも、ガザにも。次に起こる戦争にも。


でも、じゃあ、どうすればいいんだろうね。なんの実行力もない一般市民が関心を持ったところで、心を痛めて家に引きこもったところで、神に祈ったところで、虐殺を止められるわけでもない。なにもできない・しないことを罪であると糾弾したって、罪悪感を抱いて生きる人間が増えるだけで解決策にはならない。

ヒトラーが作り上げた地獄は加担する人たちがいたから完成したわけで、ものの良しあしの分からない・情報にリーチできない愚かで惨めな大衆が踊らされていたんだと思っていたけれど、過去の過ちから学び現在起きていることを瞬時に誰もが知ることのできる現代で戦争なんて起こらない、という期待は脆くも崩れ。情報統制されているんだかすべてを理解しても同意しているんだか知らないけれど数多くのロシア人男性(女性も少々)がウクライナ侵攻に従軍し、イスラエル軍は市民だと分かり切った相手に攻撃を繰り返し、米英は見て見ぬふり。人類は滅びるしかないのだろうか。自分の力でどうしようもないうねりに、関心を持たないことは罪なのだろうか。民衆に罪をなすりつけるより、その罪を今まさに犯している人間を糾弾すればいいのに。

 

 

書いてたらどんどんむかむかしてきた………

 

ということで、本作鑑賞後にあぶない刑事をおかわりして気分を爽快にさせて一日を終えました。爽快感って大事よ、本当に。ろくでもない日常を生きてるんだから創作くらい気持ちよくならせてくれ。パンとサーカス上等。

 

ではでは、次は……歌舞伎かな。