今となっては分かる。
ボジョレーの正体は、“期待”だと。
昔、いつも私の恋バナを聞いてくれてた友人に、
「あなたの恋はいつもボジョレーヌーヴォーなのよ」
と言われました。
はい？
と聞くと、
「それ、ほんとに美味しいの？」
と言われたのです。
私にとっては、毎回新鮮で、毎回違う気持ちになり、毎回今回は違う、、！！！
と、毎度毎度、凝りもせず、なんだかさも新しい奇跡にであったなような気持ちでいたのです。
本人にとっては。
でも、側から見ると、私のやってたことって、
「今年は10年に一度の、、！」
「グレートヴィンテージを彷彿とさせる、、！」
「今世紀最高の出来！」
とか新しい人に出会うたびに、ただキャッチコピーをつけていたに過ぎないのです。
自分の期待を煽るために。
何を期待していたのか？
それは、これまでとは違う出来栄えであり、
運命の出会いでした。
それって、これまでは不作だったと言ってるようなものでもあり、
今回の本当の味を堪能もしていない。
そう、ただのキャッチコピー。
私の、理想を押し付けていたに過ぎなかったのです。
私のこれまでを帳消ししてくれ、2度と寂しい思いをさせない、
そんな理想を、毎夜毎夜出会う相手に重ねて、酔っていただけなのです。
ほんとうに美味しいワインは、
ゆっくり空気に触れさせ、香りを感じ、
じっくりと味わうものなのです。
もう、ボジョレーな恋はいらない。
私は、グランクリュがほしい。