北海道本選日から今日まで | I think I have a good chance.Yuka Watanabe

I think I have a good chance.Yuka Watanabe

渡邊優香(わたなべ ゆうか)のブログ


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決勝戦の日から、あっという間に十日余りが経ちました。

25日のブログに書いたように、あの日は私にとって、いろいろな意味でとても濃い、特別な日でした。

一緒に本選を迎えた仲間と一緒に過ごした時間は短かったけど、この出会いはこれから先もずっと宝物だなと思っています。
そして、あらためて、ミスユニバースの選考大会ってすごく難しいんだなと実感しました。

私が専攻している歌などの芸術もそうですが、このミスユニバースにしても、これを決めるのは、人の主観。
ペーパーテストとは違ってはっきりとした点数の出るものではありません。

人生において、必ずしも、
努力をした人
才能がある人
選考基準に適った人
が何かに選ばれるわけではなく
’運’  ってとても大きく左右するものだと私は思います。

私はこのようなミスコンテスト大会に出場するのは、初めてです。
私が頂いた二位の結果は、仲間のみんなの
「努力」と「涙」と「思い」
を受け継ぐ、大きな責任と考えています。

一次、二次の審査発表時、ステージの上で自分の名前が呼ばれた後に感じたのは、安堵感と、そしてまた別の意味の緊張と不安感の入り混じった、複雑な思いでした。

もしかしたら全員の名前が呼ばれるのかもしれない!
なんてことを、ステージの上で本気で期待しました。
なぜ
誰かが去らなければならないのかが、なんだか悔しくて悔しくて。

努力は美しいです。
懸命に何かへ向かう姿は美しいです。
そして、みんな本当に心の優しい、愉快で、かわいらしくて、カッコ良くて、良い子たちですから。

コンテストの意味は充分に理解しているものの、控室に戻った時に、審査に通った者も通らなかったの者も抑えきれない悔し涙を流しました。
私は何度も涙で流れたお化粧を直してもらい、目の赤みをひかせてから控え室を出てステージに向かう!!
その気持ちと頭の切り替えが、この日一番に難しかったことです。

自分以外はライバル!
と割り切れるのがプロフェッショナルの意識、なのだとしたら、私がこの先その意識を持つことはありません。
ただし、控室を出たその時から、私はプロフェッショナル。
お客様には、最高の笑顔をお届けします!
そう前夜祭でお約束した通り、お客様の前へ向かう最初の一歩を踏みだす時、
感情のスイッチの切り替えをするプロフェッショナルです。

私はこの日、ふたつのエピソードを思いだしていました。
ひとつは、私がスピーチでお話しした、9歳の頃。
弟の骨髄移植で入院した時のことです。

6人の女の子部屋でした。
私が入院したのはたった10日間くらいの期間でした。
私は健康体で入院し、ドナーとして骨髄液を背骨から抜き取る手術をしただけです。
それでも術後の痛みで不安いっぱいになり、
家の自分のベッドで眠りたい
早く病院から出て外へ行きたい
と思いました。

その病室には、すでに何年も入院している、私よりも二歳幼い女の子がいました。
彼女は小学1年生でしたが、私と同じ小学3年生の教科書を広げて、勉強していました。

「いつまた治療に入って、薬の副作用で具合が悪くなって、勉強出来なくなるかわからないから、こうして具合の良い時に勉強しておくの。いつ学校に行っても、困らないように。早く学校に行きたい」と言って毎日、漢字の勉強や算数の計算練習をしていました。


彼女が小学3年生になることはありませんでした。


小児科病棟の日常は、私が当たり前に感じていた生活とは全く違っていました。
ニガくて気持ち悪くなる薬を我慢して飲んで、痛い検査を受けて、遊びたい欲求も抑えて、ワガママも言わずににこやかで、仲間に優しく思いやりを持って。
それでも、そんな辛さを経ても、必ず皆が望んでいた治癒につながるわけではないのでした。
なぜ
それはとても悲しく理不尽な結末が多くありました。


もうひとつ思い出したのは、その時の看護婦さんたちのエピソードです。

優しい看護婦さんばかりでした。
悲しい結末が起こったあと、看護婦さんは休憩室に入って行き、そしてすぐにまた笑顔で、いつも通りに患者のこどもたちに接して、テキパキと仕事をしていました。
当時の私は、それに気が付いていませんでしたが、のちに母から、
「看護婦さんたちは、休憩室で思い切り泣いて、そして気持ちを切り替えてあのドアをあけて、いつも通りのお仕事を続けていたんだよ」
と聞いて、胸がキュンとなる痛みとショックと一緒に、

プロフェッショナルとは、仕事を遂行するために、感情を押し殺すのではなくて、
そのお仕事を誇りにした上で、優しさや、共感する気持ち、受け入れる気持ち、そういうものを持ち続けながら、ある時はそれを切り替える強さが必要。
それがプロフェッショナルなのだと思いました。

あの9歳の日々から14年が経ちました。

私は今、こうして私自身の経験と、私にプロフェッショナルの後ろ姿を見せて、学ばせて下さった方々を思いだして、素敵な人間として生きたいと思っています。