奥多摩は東京都の最西端。

あのコロナ禍でも感染者ゼロでした。

 

奥多摩は別荘地としても知られています。

別荘地も高齢化で、

老人一人住まいが多い中、

夫は一人のお婆さんと知り合いました。

 

おばあさんちの敷地内には

竹林があります。

竹林は手入れをしないと「竹やぶ」

になってしまいます。

竹の子を採らないとどんどん

竹の林が密集してしまうのです。

 

「お願いだから竹の子を採って下さい、

掘った竹の子はあげます、

持って行って下さい」

と言われ、

数年前からこの時期は竹の子狩りを

させていただいています。

主人が数人の仲間と採ってきます。

 

町には無人販売所で

売られているのもあります。

200円とか250円ですよ!

スーパーでは580円から大きいのは

800円。

 

先日、友人と八王子の公園を

散歩していたら、

おじさんから声をかけられました。

「さっき、竹の子見ていたよね?」

「買わない? 買ってくれない?」

 

公園の脇にある民家の軒先に、

竹の子が売られていたのです。

近所の竹林で掘ってきたというその

竹の子は長さ30cm、胴回り直径10cm

くらいの大きな竹の子でしたが

1000円と書かれていました。

『高い!』と思いながら眺めただけで

通り過ぎたのです。

 

その様子をおそらく家の中から

見ていたのでしょう、

おじさんは私たちを

追いかけてきたのです。

 

「これから長野に帰りますので」と

お断りしました。まんざら嘘ではない、

上手い断り方だったと自分に感心して。

 

それからしばらくして、いよいよ

奥多摩も竹の子シーズンに。

 

いつもはこの時期長野にいるので、

夫はデカい竹の子を10個も

運んできていたのです。

長野の山には炊き出し用の大きな鍋が

あるのでそれであく抜きをしました。

竹の子ご飯にしたり、

柔らかい穂先は天ぷらに、

夫は土佐煮が好きでした。

母も喜びました。

近所にも配りました。

 

でも東京のマンションに竹の子を

持ってこられると本当に困ります。

大きな鍋がありません。

いくつかに分けて、

小さな鍋で何度も何度もあく抜き作業。

竹の子にはもう本当に

うんざりしていました。

 

なのに、今日また、

夫が竹の子を持ってきたのです。

「鍋に入るような小さいのだけ

持ってきたよ」

 

「もうこれっきりにしてください。

とるのは楽しいかもしれないけれど、

もう料理が面倒くさいのです」と

言えない自分にうんざりしています。

 

あっぽ