ボイストレーニング。こんなことに興味を持つとは、自分でも意外でした。私は楽器も苦手、歌うことも苦手。断れないようなカラオケに誘われると憂鬱でした。

 

母が80歳の頃から声がか細く、かすれてきたのです。腹筋がなくなったせい?ただの声の老化?私が耳が遠いこともあって、「もう一回言って」「もっと大きい声で言って」を繰り返すようになっていました。テレビを見ていたら、「声の老化は防げます」「声帯の筋肉も筋トレで復活します」「何歳からでもできます」という情報番組でした。

 

それで歌を上手くなろうという欲はゼロ。とにかく老化を防ぎたい一心でした。いい先生に巡り会えて、声の筋トレに通うようになりました。いつもは発声練習、喉の筋トレです。高い声も出るようになりました。大きな声も出るようになりました。

 

その先生が、「歌を歌ってみませんか」と私に勧めたのです。私はどうも低い声が得意だという先生の判断で、中島みゆきの「時代」か「糸」がいいんじゃないかと選んでくれました。先生とはすっかり打ち解けて、先生の前で緊張するということがなくなっていました。

レッスン場(スタジオ)は先生と私だけです。私が歌い始めると先生がハモってくれます。

私が主役、先生は伴奏者です。(私の通うスタジオ↓)

 

そして「糸」を歌いました。

♪♪♪

なぜ めぐり逢うのかを
私たちは なにも知らない
いつ めぐり逢うのかを
私たちは いつも知らない
どこにいたの 生きてきたの
遠い空の下 ふたつの物語

縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない

なぜ 生きてゆくのかを
迷った日の跡の ささくれ
夢追いかけ走って
ころんだ日の跡の ささくれ
こんな糸が なんになるの
心許なくて ふるえてた風の中

縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かの
傷をかばうかもしれない

縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます

♪♪♪

 

中島みゆきはなぜ「仕合わせ」と表現したのでしょう。「幸せ」では不味かったのでしょうか。それで、学研の古語辞典で「しあはせ」を調べてみました。

その意味は:

[一]名詞

めぐり合わせ。運。事のなりゆき。

という意味のようです。

 

そして注意書きが。

注意:

今日「しあはせ」は「幸せ」と書いて、もっぱら運のよいことにいうが、古くは[一]だけの意味で、運のよい場合にも悪い場合にも用い、「しあはせよし」とか、「しあはせ悪(わろ)し」のように言い表した。

 

いい事悪いことに関わらず、あらゆる巡り合わせのことなのでしょうか。仕合うこと→→誰かと何かをし合うこと。という事でしょうか。

 

生まれた場所も行きてきた場所の違う人と人がある時巡り会って、一人が縦の糸に、もう一人は横の糸になって、織っていくと一枚の布になるのですね。

そして、その布は誰か傷ついた人を包みくるんで癒してあげられるかもしれないのですね。誰かを癒す布を折るためには一人ではできないのです。誰かと仕合わなければ。

 

いい歌なので、これからこの歌を歌ってみようと思います。

 

あっぽ