今頃気がつきました、ノーベル賞作家大江健三郎さん(88歳)が3月3日に亡くなられていたんですね。朝日新聞の天声人語で知りました。

 

「知る」と「分かる」の違いについて、大江さんによると、「知る」から「分かる」に進むと、自分の知識として使いこなせるようになるということらしいです。さらにその「分かる」の先には「悟る」があって、まったく新しい発想が生まれるんですって。

 

私は好奇心が強いから、あれもこれも知りたがるけれど、「分かる」にさえ至ってません。

しかも「知る」という経験さえその場限り。記憶に残らないのです。

 

そう言えば、思い出せないエッセイ(詩だったかもしれません)があります。中学校だったかな、国語の教科書か、道徳の教科書かそれすらも覚えていないのですが、そこに大江健三郎さんの文章があったのです。それは大自然の中で少年が鳥の声に反応して言葉を発したというような内容でした。両親は長男(脳ヘルニアで生まれてきた「光(ひかり)」くんは手術を受けました、その後、脳に障害が残りました)を連れてよく軽井沢の森を訪ねていました。鳥が鳴くと、どこからともなくその鳥の名前を言う声が聞こえました。まるでNHKのアナウンサーかと思うような澄み切った声でした。それがひかるさんが初めて発した声でした。両親は光さんに鳥の声の入ったテープを聴かせていたんだそうです。

 

何年か前、私は大江さんが光さんのことを話している番組を見ました。その中で聴いたお話が、かつて中学校の頃の教科書で読んだエッセイだったのです。いまだにそれがなんというタイトルだったのか覚えていません。そして何をそこから得たのか?多分「分からなかった」のでしょうね。

 

あの時、教科書には森の中の少年のイラストだけ書かれていましたが、もしも写真だったら。もっとインパクトがあって覚えていたのではないかと思うのです。

 

これはネット上からお借りした写真です↓

大江健三郎さんの奥様(大江ゆかりさん)は伊丹十三↓の妹さんなんですってね。知らなかったわ。

 

あっぽ