12.1続 大田(テジョン)

 

お昼の珍事

12時にきっちり午前の部が終わって昼食、なんと、正面主催者隣に私のVIP席が用意されていた。いいのかね、こんな偉そうな席で。それだけの役割は果たしたのかも、とちょっと嬉しかった。

席に座る前に忘れ物を思い出してセミナ会場に取りに行き、大会議室は鍵がかかってて入れなくて、10分以上経ってから食堂に戻ったら、何となんと、私の席でどなたか、もう食事を始めている。私がいなかったので、席を詰めちゃったんだね。食堂の席が足りなくて、別室で食べてる人も何人かいて、別室は主催者側の人だろうと思うが、私もVIP席から一転、別室で食べる羽目になった。時間に厳格なのはいいけど、少しくらい待ってくれればいいのに、と思いながら、当てつけに主催者の方に、遅れた旨お詫びして、一人で別室に向かった。

と、後ろから呼び止める声がする。私より少し若い好青年が親しく話し掛けてきて、「食事ご一緒しましょう」と別室まで付き添ってくれた。差し向かいに座って、自己紹介してびっくり、この方は、なんと何となんと、主催者側の技術部門の役員だった。別室で食事しながら、世間話以上の貴重な情報交換をした。差し障りない範囲の話だが、それでも相手にとっては、きっと頼りになったと思うし、私にとっても、お客様の意向が分かって、VIP席で世間話するより、ずっと大きな収穫だった。

瓢箪から駒、人間万事塞翁馬、どうしてこんなにうまく技術部門の役員とご一緒できたのか不思議だったが、思うに、VIP席に私が来ないので、もし私が遅れてきたら別室に案内するように、食事せずに待っててくれたのかもしれない。気配りに感謝。食事後、台湾の重鎮とこの若い好青年と3人揃って撮った記念写真は、私にとっては、背伸びなしの最高の思い出です。

 

Welcome to Taejon

セミナは午後も多くのセションがあったのだが、担当者がもう用済みとばかり、ソウルに戻ると言う。セションは、ほとんどすべてが韓国語なので、私は聴いてもわからないのだし、せっかく面識を得たお二人には名残惜しいが、私も一緒に戻るしかない。

テジョンは、ホテルとセミナ会場を往復しただけではもったいなかった。現在はずいぶん変わってしまったかもしれないが、当時は地方都市ののんびりムードが漂っていた。

自分で1枚だけ撮ったホテル周辺の写真を見ると、ホテルの白い建物が結構目立っている。深夜にホテルに着いて、だだっ広いだけの使い勝手の悪い田舎旅館、と思ったが、実は貴重なオンドル部屋に温泉付きの、高級ホテルだったようだ。

この辺りは儒城温泉(Yuseong spa)という温泉地らしい。ホテルでもらった地図付きのパンフレット「Welcome to Taejon」を見ると、温泉地といっても、日本の温泉街のような路地を浴衣で歩くような感じではなく、白い美しい街並みだ。近くに九峰山(Mt.Kubong)という標高500mもない低い山があって、9つの峰が連なって、奇岩や崖や南を流れる甲川(Kapch’on river)との調和が絶景だとか。低い山なのに中腹に雲が湧いて、紅葉時期はまるで山水画を思わせるような神秘的で美しい景色なんだそうだ。風光明媚な、のどかなところなんでしょうね。

 

 儒城温泉交差点(奥がHotel Riviera)

 

 テジョン地図

 

クルミ菓子

14時に、セミナ会場から、また担当者の目の回るようなハンドルさばきでソウルに戻った。途中、高速道路のサービスエリアで、クルミの入った一口サイズのお菓子を食べた。ホドカジャというらしい。素晴しく美味しいので、お土産用にいくつか買った。担当者が言うには、「これは熱いうちが美味しいんだ、冷めると不味いのでお土産には向かない」、もう買っちゃったよ。後日談ですが、帰国後チョコレートの代わりにメンバに配ったんだけど、なるほど、熱いときほど美味しくない、でも不味いというほど酷くはないので、メンバはこんなもんだ、と思って食べたと思う。値段は₩6,000だったから、チョコレートの1/10で済んでしまった。

 

本場の焼き肉

テジョンは快晴だったのに、ソウルに近づくと大雪でひどい渋滞、のろのろ走って、17時半にソウルの関係会社に着いた。事務所で出張報告書をまとめていたら、19時半に部長さんが戻ってこられて、夕食に本場の焼き肉をご馳走していただいた。前回のような石板ではなく、ひだのついた鉄兜のような形、このひだは余分な脂を流すためとかで、べとつかない真に美味しい焼き肉なんだそうだ。いろんな肉があったような気がするが、なるほど、旨いうまいと食べてたら、突然部長さんに電話がかかってきて、お客様対応の話がビンビン伝わってきて、緊迫感が漂い始めた。初日に、受付に誰も来ないし、事務所でも4時間ほったらかしにされたし、テジョンも終わったらさっさと切り上げたし、食事時間ものんびりできないほど、忙しいんですね。前回も忙しかったけど、食事は韓国流の杯交換でまいったけど、今回はそれもなくて、勝手に食べて、って感じ。逆に淋しいが、夕食気遣ってくれただけでも感謝かな。まあ、お客様扱いは期待してないけど、現地従業員並みの扱いに、これも国民性と割り切っていたが、杯交換なしの焼き肉は、私にとっては嬉しい限りでした。

ところで、本場の焼き肉は、前回は石板、今回は鉄兜で、日本では網焼きが普通なんだけど、煙が凄いし、燃えだして真っ黒になったりするから、鉄兜スタイルはなかなかよかった。

22時半、前回も泊まったマンハッタンホテルにチェックイン、0時には寝た。移動時間が長かったけど、技術者として、トゥルーズのスター気分よりしっくりくる、自分らしい出来栄えの一日だった。