8.2 ホノルル空港

 

真珠湾

帰国日、8時にホテルをチェックアウトして、タクシーでヒロ空港へ。9時ヒロ発のHAで、9:40にホノルル着。帰国便のJALに搭乗手続きして、お土産のチョコレートを10,000円も買って、だいぶ時間があるので、空港ロビー内の太平洋宇宙航空博物館(Pacific Aerospace Museum)に入った。入館料は$3.00、バーチャルな展示が中心だが、展示内容は、映画館顔負けに楽しかった。

「空中探索劇場」はハワイが孤島だったころからの技術の進歩、「鷲の夏」は1927年の太平洋飛行記録、本命の「真珠湾」は1941年12月7日の真珠湾攻撃を高台から眺めているように再現、とどれも当時のサラウンド音響とマルチメディア技術の粋を集めた迫力満点の展示だった。更に、自分で飛行機を設計して、本当に飛べるかどうか、フライトシミュレータを使って実験するコーナとか、スペースシャトルの実物大の機内展示や、月着陸船での月面着陸まであり、当時の映像技術を駆使した、臨場感溢れるものだった。

現在のホノルル空港は、名称も施設も変わってしまって、もうこんな楽しい展示が見られないかも知れないが、真珠湾のフォード島(Ford Island)には、博物館や戦艦アリゾナ(Arizona)の沈没場所に建てられたアリゾナ記念館(Arizona Memorial)がある。「Remembering Pearl Harbor」という写真集を買ってきたが、生々しい戦争記録の中に、人間の行いを深く考えさせる、真珠湾は重い記憶を留める場所だ。アメリカ人にとっては、日本人が広島の原爆記念館を前にするのと同じ、永く記憶に留めておくべき場所なのだ。これらを政治の駆け引きではなく、人間の行いの記憶として真摯に受け止めるべきだと思う。

 

 Remembering Pearl Harbor

 

BINGO

12:50ホノルル発のJALで、日付変更線越えて、翌日 16:00 成田着、時差が5時間なので、帰りは8時間以上かかった。

帰りのJAL機内で、BINGOゲームがあって、普段当たったことがないのに、10番目くらいに当たった。景品は、ファーストクラスで配られる化粧品セットで、オシャレなバッグにいろいろ小瓶が詰まっていて、妻へ良いお土産になりました。出張慣れしてきて、お土産に苦労するのにも飽きて、チョコレート大量に買い込んでお終い、という感覚になっていたから、よかったよ。

恒例の帰国ラーメンは東京駅まで来てから食べたけど、やっぱり日本の醤油ラーメンは旨い。

 

国民性について

今回の出張では、セミナを通じて、国民性ということを感じた。個人の性格もあるので、数少ない経験で断定することはできないが、議論でもプレゼンでも、何となく話し方で国籍が分かる気がした。

前回の出張で、ドイツ人とフランス人では、同じように親しくなっても、接し方に違いがあると感じたが、これはセミナでのプレゼンにも現れていると思った。フランスのお客さんは、まるで友だち相手のような気軽な話し方なのに、ドイツのお客さんは几帳面で丁寧だ。イギリスのお客さんは一段高いところから威厳をもって説教するようで、国の縮図を見ているようで面白い。今回はアメリカ人のプレゼンもあったが、これはお客さんではなく、コンサルタントだったのかもしれないが、威圧的でまるで機関銃の弾みたいにことばが飛んでくるので、頭で咀嚼する暇も無く圧倒された。が、飛んで来た単語を振り返ってみると、憶えておかなければならないようなキーワードがほとんど無いのだ。例えば、この花は美しい、きれい、心が和む、癒やされる、、、、というような感覚的な話ばかりで、この花はどういう花でどうしてこういう風に咲いてどう育てれば良いか、というような肝心なことがない。ちょっと例えが悪かったかも知れないが、技術セミナなんだから、上っ面のことは各自の感覚に任せて、中身の理屈を話して欲しいのに、ただただ、美しいから見ろ、ということを、ことばを替えて連発してるだけなのだ。

米国では、学校の授業で論争(debate)の訓練をする、と聞いたことがある。現在はどうか知らないが、相手を説得するには、相手が反論意欲をなくすくらい、相手を洗脳する勢いで、やっつけてしまえ、ってことですかね?ことばをじっくり選んで話すよりも、直接的な美麗字句を連呼する方が効果的なのか?そういえば、テレビなどのインタビューでも、流暢に次から次へとことばが出てくるが、学校でそういう訓練を受けてるからかもね。でも、日本人は違う。そういう訓練を学校で受けないどころか、相手の言うことを良く聞いて、相手の立場に立って考えて発言しなさい、と教わる。島国日本では、そうしないと、あちこちで軋轢が起こってしまうからね。

でも日本でも、中身よりも話し方が重視されるようになってきたような気もする。私も会社時代に面接試験とか社員の研究発表会とかに立ち会ったことがあるが、人事部門の人だけでなく、技術部門のお偉いさんも、いくら中身が良くても、話し方が下手だと評価しない傾向にあった。口達者な人の方が有利なのだ。だが、1973年にノーベル賞をとった物理学者の江崎玲於奈博士の教育ビデオを観たことがあるが、とつとつもいいとこで、聞く方の息が詰まるくらい聞きづらいが、ことばには無駄がなく、すべて聞き逃せない、と思った。

自分がプレゼンするときは、流暢に話すことよりも、憶えてもらいたいことばだけを真摯に語ることに留意しよう、押しつけでも媚びでもなく、伝えたい核心を一生懸命話せば、分かってくれる人もあるはずだ。これが日本人の国民性だ、とは言いませんが、少なくとも自分らしさ、Identityということにつながるような気がする。