5.4 ピッツバーグ

 

ほっといてエコノミー

13時前にパリCDG発UAで、15時前に米国ワシントンダレス(Washington Dulles)空港着、時差が6時間あり、8時間かかった。UAの機内食も立派で、見るからに美味しそう、、、野菜サラダ、若鳥ローストか牛肉煮込み、デザートはブラウニーケーキ(って何だったかな?)と淹れたてのスターバックスコーヒー、そしておやつにカップヌードル!到着前にクレープとフルーツ盛り合わせ。因みに、飛行機で食べる肉料理は結構ジューシーで美味しいのです。UAのメニュはBAより素っ気ない、表現も割と直接的でロマンが薄いけど、内容はみな工夫してましたね。

ところで、私の席は二人掛けのエコノミー席の通路側で、窓側は高校生くらいの金髪のお嬢さん、一人で窓際に肩肘ついて眼を閉じている。搭乗したときから、ずっとそんな恰好。座ってしばらくして声掛けようと思ったんだけど、まったく眼を開けようとしないので、声掛けづらくて、なんかヘンな感じ、まったく会話のないのも気まずい。幸いなことに、すぐにランチタイムで機内食が配られてきた。私は牛肉煮込みの方をテーブルに置いてもらったのだけど、隣のお嬢さんは眼を閉じたまま、自分の前のテーブルを出そうともしないので、お節介とは思ったが、私が隣のテーブルを出してあげた。スチュワーデスは、「Thank you」と言いながら、どちらにしますか?とは聞かずに、適当に置いたが、お嬢さんはやっぱり眼を開けない。こういう場合、どこか具合が悪いのか?と聞いてあげてもよさそうなものだけど、特にそういう問い掛けもなく、スチュワーデスは行ってしまった。いくら何でもヘンだよ、、、食事ですよ、食べないの?遂に私は声を掛けた。すると、お嬢さんは少し頭が動いたような気もするが、眼を閉じたまま、肩肘ついたままの格好で「I’m not hungry.」と寝言のようにボソッと、だけどはっきりそう聞こえた。ほっといて、と言われたような気がした。

う~む、楽しいエコノミーのはずが、こういうこともあるんだなあ。飛行中、トイレに1回だけ「Excuse me」と言って私の前を通ったが、席に戻るとまた肩肘ついて眼を閉じてしまった。機内食はそのまま下げられ、その後のおやつもフルーツも、もうスチュワーデスは置かなかったけど、お嬢さんはずっと同じ恰好だった。凄いなあ、、、機内食が楽しみなんて自分が、ちょっとみじめったらしく思えてしまった、、、

 

米国のスチュワーデスはフレンドリー

15時半にダレス空港で入国手続きをして、16時にUAの乗り継ぎゲートへ、地面から歩いて搭乗、ここも30人乗りくらいのプロペラ機だった。この写真を撮っていたら、スチュワーデスが近寄ってきて、「撮ってあげましょうか?」と声をかけてくれて、飛行機の前で自分の写真を撮ってもらった。搭乗時間になんでスチュワーデスが外にいるんだ?きっと外の監視役だったんでしょう、フレンドリーですねえ。でも残念ながら、撮ってもらった写真は後で見たら、フラッシュの関係か自分は写っているけど、背景は真っ暗でイマイチ、、、

17時半にダレス空港発、50分ほどの飛行、時差はないので、18時半前にはピッツバーグ(Pittsburgh)空港着。都合、パリから11時間半かかったことになる。

 

 ワシントンダレス空港での乗り継ぎ

 

ホテルの部屋係もフレンドリー

ホテルは、タクシーで20分ほどのグリーントゥリー(Green Tree)というところにあるマリオット(Marriott)、コンファレンス会場のある市街までの途中、郊外のレジャー施設という感じの、プールやテニスコートもある大きなホテルで、気配りが感じられて居心地がいい。ここに6泊するんだけど、3日目には、部屋係からのメッセージが置いてあった。メッセージはその後毎朝、いろんな筆跡で置いてあった。私も、朝出掛けに、感謝のメッセージを残しました。欧州のホテルの温かみとはまた違う、米国流の親近感を感じました。メッセージの内容自体は大したことないけど、嬉しいじゃないですか。このホテルは現在はHiltonになっているようです。

 

 ホテルのロビー

 

 ホテルの部屋

 

 メッセージ

 

 ピッツバーグ地図

 

コンファレンス

翌日から5日間は、朝8時くらいにみな揃ってシャトルバスで会場に行き、帰りも基本的にはみなシャトルバスでホテルに戻る、というまるで修学旅行。ホテルの周辺には何もないので、散歩する気にもならず、私は部屋に戻ってから概略のまとめを記録して、1時くらいに寝る、というパターン。最初のうちはよかったが、数日経つと時差ボケが酷くなってきた。

食事は、朝はホテルか会場のパンとコーヒー、どちらもタダ。昼も会場でタダで済ますことができたが、さすがに飽きて、外にスパゲティを食べに行ったりした。夜は、1回だけは会場でレセプションパーティがあったが、あとはホテルのレストランで食べた。

コンファレンスは聴講だけなので気楽と思ったが、毎日苦手なヒアリングで疲れた。自分の担当業務に直結する話は、まだ何とかついていけるが、困ったのはキーノート講演。講演者が、会社にとっての重要顧客なので、話をよく聴いて上司に報告しないといけないが、たぶん無理だと思ったので、カセット型テープレコーダを持って行った。当時のテレコの性能なんて知れてるし、席が遠いので、講演が終わってから巻き戻して聴いてみたが、まったく聞き取れない。そこで、Mr.Tの会社のイギリス人に、録音を聞き取って書き出してもらい、その文面を日本語に訳すことにした。しかし、イギリス人でも聞き取り難かったと見えて、滞在中に一生懸命書き出してくれたけど、ところどころ、聞き取り不可、という注が入っていた。

実は自分で聞き取れる所だけ日本語にして適当に報告してもよかった、会社の上司が一字一句読むわけではないし、要点が伝わればいいんだから。でも、そうはしなかったんだよね。昔のワープロでA4で3ページ、6500字以上の報告書は、貴重なキーノート講演の記録としては、最善のものになったと思う。今読んでも、生々しい。それにしても、手伝ってくれたイギリス人は、せっかくの滞在期間を棒に振ってしまったわけで、よくも面倒なことを引き受けてくれたよ。もちろん、報告書には、作成経緯とこのイギリス人への謝辞も入れました。

 

Dr.M

このイギリス人(Dr.M)も、Mr.Tの会社の従業員の中では、私と仕事の関係が深かった人です。特定分野の技術一本で世界中を渡り歩けるほどの凄腕エンジニアで、その後の出張でも一緒になることが多かったし、日本にも何回か来たので、その都度、精一杯のおもてなしをしました。

日本でそば屋に連れてったとき、ぎこちない箸使いで、そばを丸めてそお~っと口にもっていくので、食べ方を教えてあげた。そばは大きな音をたてて勢いよくすすって食べるもんだ、そんなお上品な食べ方じゃ不味くなる。そしたら、困ったような顔をして、「すするとそばが跳ねて、顔中おつゆだらけになってしまうんだ」、そりゃすする時に箸で押えなければ跳ねるさ、というわけでやって見せても、結局うまくできなかった。音をたてて食べる、という習慣がないんでしょうね。少しは美味い食べ方に挑戦したようだけど、やっぱり箸に慣れてないからだろう、日本人の箸は凄い。

箱根に連れてったとき、霧に包まれて視界が5mになってしまって、私が、まるで雲の中にいるようだ、と言ったら、怪訝な顔をして「誰もいないじゃないか、crowdではなく、cloudだよ」と言う。彼は真面目なタイプなので、茶化して言ったわけではなく、本当に私の発音がcrowdと聞こえたんだ。この一件は、英語の発音について、考えさせられたことです。

 

英語の発音について

日本語のラ行はrもlも区別がないので、日本人は普通、舌の先を上顎につけてラリルレロと言うが、英語ではrは舌の先をつけないし、lは上の歯茎の根元につけるので、両者は別の子音で、意外とlの発音は難しい。よく巻き舌でrの発音訓練をするが、lの発音訓練はしないよね、それで無意識に発音するとrに聞こえるんだ、気をつけないといけない。

Dr.Mは生粋のイギリス人なんだけど、あるとき私に「Your English is Queen’s English.」と言ってくれた。これは米国英語に対して、正統な英語、ということらしいのだけど、rとlの発音はまずかったのに意外だった。私は英会話学校とかは行ってないけど、中学1年生のとき、近在の牧師さんから、半年間ほど徹底的に英語の発音を習った。学校では教えてくれない発音記号も習ったので、英語力自体は大したことないが、喋り方が自然にそうなったのだろう。街の英会話学校などでは米国の先生が多いので、発音も米国式になるだろうけど、どちらが正しいということはないが、東京弁と名古屋弁の違いほどの雰囲気の差がある。更に、私の場合は、Dr.Pとのやりとりで、かなりフランス式の抑揚がついてしまったようで、仏語は肯定文でも最後を上げるので、東京弁どころか京都弁の雰囲気ですかね?下手な英語でも、発音で柔らかい感じになるのは悪いことではない。

学校でも発音と発音記号を教えるべきだと思いますね。In the crowdとin the cloudじゃまったく反対ですからね。