5.3 2度目のパリ

 

モンマルトルの定宿

14時にパリCDG(Charles de Gaulle)着、30分ほどで入国と両替を済ませ、2度目で少しは余裕を持って周囲を眺めると、この空港ビルは吹き抜けの内部がエスカレータージャングルで、階を跨いで次の所に一発で行ける、日本人ではとても発想できない構造だ。凄い建築芸術に唖然。

今回のパリは、乗り継ぎのためだけで、どうせ休日中に米国に移動するのならパリに泊ろう、ということで、自分でモンマルトル(Montmartre)の手頃な値段のホテル(Timhotel Montmartre)を予約した。パリ中心街のホテルでもよかったのだが、何となくモンマルトルに憧れた。

ホテルの場所が分からないので、最初は空港からタクシーで行ったのだが、このホテルは、その後数回泊まることになり、場所も雰囲気も自分に合ってて、定宿になった感がある。部屋は質素な中にエレガントな雰囲気が漂い、温かみもある。独とはずいぶん違う。

モンマルトルの丘は標高100mあまりのやたら階段のある場所で、このホテルも急斜面の中腹の狭い広場を前にして建っていた。ホテルのすぐ隣には、ピカソなどのキュビズム(Cubism)発祥の地と言われている、洗濯船(Bateau-Lavoir)という史跡があった。建物には入れなくて、これが?と思うくらいのガラス窓を覗くだけだったけど。

 

 CDGのエスカレーター

 

 Timhotel Montmartre

 

 ホテルの部屋

 

 洗濯船(ホテルの隣)

 

ミロのヴィーナスとギリシャ彫刻

15時過ぎにホテルにチェックインして荷物を置いて、昨年見損なったミロのヴィーナス(Vénus de Milo)を見るために、何はともあれルーブル美術館へ。セーヌ川の北側は、歩いても4km四方ほどの範囲でたいしたことはないが、18時には閉館してしまうので、地下鉄で行った。幸い、パリの地下鉄は、昨年かなり乗ったので安心。ホテルから坂を南に少し下ると数分でアベス(Abbesses)駅があった。地下鉄は何回も乗るので、46Fでカルネ(Carnet)という回数券を買った。

16時過ぎにルーブル美術館に入った。今回は日本語のパンフレットをくれたのに、やはりどの方向に行けばよいのか迷ったが、見当つけて歩くと、遙か彼方にヴィーナスが見えた。途中にもいろいろ彫刻があったと思うが、立ち止まる人はいなくてみなヴィーナスに引き寄せられていく。正面まで来るとすごい人だかりで、順番に写真を撮っている。なるほど、これか、、、ヴィーナスは結構大きいが、遠巻きにして水平方向に見るので、威圧感もないし、肌具合もよく見れば穴だらけだし、特に溜息が出るような美しさを感じられなかったなあ。あまりに写真で見慣れているので、実物見て、ああ、写真と同じだ、くらいにしか感じなかった。

写真を撮るのは順番待ち、みな仲間同士で、ヴィーナスの前に並んで撮っているが、後ろは誰もいないので、普段見ることのない背中を撮ってきた。こうしてみると腕がない方が艶めかしい。腕がどこに伸びていたにしろ、かえってわざとらしい感じになりそうで、このままの後ろ姿が実に自然で美しいではないですか。

一方、サモトラケのニケは、昨年は階段の途中で見かけたけど、今回はすぐ傍で真下から見上げて、雄大さに驚嘆、写真で想像するより遥かに大きい。首から上はどんなだったのだろう?

ギリシャ彫刻はたくさん並んでいた。前回見損なって、夢にまで見て想像していたとおりの、壮観な美の競演だ。ヴィーナスの前の大混雑よりも、こんな彫刻群に囲まれて、しばし古代の雰囲気に浸る方がはるかにいいですね。レイ・ハリーハウゼン(Ray Harryhausen)の映画に出てくる神々の世界にいるようだ。地上階は彫刻が中心で、ルネサンス時代から近代までの彫刻もあるらしいが、古代にタイムスリップしているうちに、閉館のアナウンスが流れてきた。

そうだ、昨年見るには見たが写真も撮らなかったモナリザをもう一度見ておこう、と思い、2階に。この時撮った写真が、既載のものです。サモトラケのニケの既載の写真も、この時撮ったものです。

   

 ミロのヴィーナス

 

 ヴィーナスの背中

 

 ギリシャ彫刻群

 

シャンゼリゼで食事

ルーブル美術館から凱旋門まで、地下鉄で10分くらい。ロンドンの地下鉄はチューブ状だったが、パリの地下鉄は更に個性豊か、モンマルトルのアベス(Abbesses)駅の入口は、アールヌーボー(Art nouveau)の曲線芸術だし、どの駅も芸術的だ。地下鉄の駅巡りというのも楽しそうだ。

18時半に凱旋門駅(Charles de Gaulle-Étoile)に着いた。凱旋門(Arc de Triomphe)は、ルーブル美術館の前にあるカルーセル門とは、さすがに規模が違う、でかい。門はロータリー交差点の中心にあり、ここから12本の通りが出ている。高さが50mもあるそうで、上まで行けば、放射状に延びる大通りとパリの街並みを一望できるだろう。このうちの一本がシャンゼリゼ通り(Av. des Champs-Élysées)で、コンコルド広場(Place de la Concorde)まで2km、歩いて30分だ。更に1kmほど先にルーブル美術館がある。

歩道にはみ出してガラス張りで囲った一角、drugstore publicisと書いてあるが、外から丸見えのレストランは、要領が分からなくても入りやすかった。空いてる席に座ると、すぐに係の人が注文を取りに来た。だが、メニュは字ばかりの仏語で、さっぱり分からない。学生時代に少しは仏語を習ったのだが、食材も料理方法もよく分からない。訳分からず注文したら、出てきたものは、焦げ目のない、燻製だろうか?やや硬い歯応えの鳥料理だった。素材を楽しむというより、素材はなんでもいいからソースを楽しむ、という感じだった。

食べ終わって、さて、伝票持って、お会計は?と見回しても、入口近辺にそれらしき場所はない。通りかかった係の男性に、英語で、どうやって払うの?と聞くと、通じたのか、でも仏語で応えてくれても分からない。テーブルを手で指しているので、どうやら伝票どおりのお金をテーブルに置け、ということらしい。料金は71F、チップがよく分からないが、適当に小銭を余分に置いた。シャンゼリゼにしては安いが、正式なレストランというより、デパートがおまけにやってる食堂だったのかしら?

シャンゼリゼには有名な店がたくさん並んでいますね。ルイヴィトン(Louis Vuitton)とか、エルメス(Hermès)とか、シャネル(Chanel)とか、ジバンシィ(Givenchy)とか、こういうブランドにまったく興味のない私でも、名前は聞いてるから、実際にで~んと構える立派な建物を見ると、ロンドンでバーバリーの建物に遭遇したときほどではないけど、ちょっと感激。シャンゼリゼ通りの南側だけだけど、1時間程歩き回り、コンコルド広場から地下鉄でモンマルトルに戻った。

 

 アベス駅入口

 

 シャンゼリゼ通りのレストラン

 

 パリ市街と地下鉄路線図