5. 1996年11月 再び12日間世界一周

 

5.1 3度目のロンドン

 

たいくつエコノミー

1年前に西回りの世界一周出張を経験し、こんなのはまず一生に一度のことだろう、と思っていたが、欧州での技術的打ち合わせに加えて、米国で開催されるコンファレンスも見てくることになり、また世界一周になった。英ロンドン->独ケルン->仏パリ->米ピッツバーグという旅程だ。

成田エクスプレスで東京駅発7時半、成田着8時半、9時には出国手続き。11時成田発のBA(英国航空)で、15時ヒースロー着、夏時間は終わってて時差は9時間だから、13時間かかった。

今回のBAはずいぶん空いてて、エコノミーの3席を占有できた。これはラッキー?いやいや、お隣さんいないとつまらない。真っ昼間なんだから眠れもしない。押しつけの映画はどうも観る気がしなくて、エコノミーで初めて退屈だった。幸先が悪いなあ、、、、

エコノミー大好き、とは言ったけど、例外はあります。隣がいても話が合わない、というときは、やっぱり窮屈には違いないので、いっそ今回のように隣がいない方が気楽。また、どの出張時か忘れたが、一度だけ、ジャンボ機の喫煙席のしかも中央4席の真ん中だった時、これは窮屈を通り越して息苦しかった。新幹線の喫煙車どころではない、空気が灰色に淀んでいる。私も若い頃はたばこ吸ってて、特に禁煙ということもないまま、次第に吸わなくなっていたので、別に嫌煙というほどのことはなく、たばこの煙もたまにはいい刺激なんだけど、この時ばかりは参った。

でもBAの機内食はやっぱりよかった。前年に比べると、メニュが簡素化されて一枚印刷だが、シュリンプカクテルとか牛ヒレ赤ワインソースとか舌平目チーズ揚げとかディルソース添え鯛のポーチとかほお葉包み和風ハンバーグとか、よくわからないけど、ことばだけでも美味しそう。

ヒースローに着いてすぐ、近くにあるMr.Tの事務所で打ち合わせで、22時ごろに夕食、日本時間なら徹夜してしまった勘定だ。その後ロンドンまでタクシーで移動。今回はケンジントン(Kensington)のホテルで、真夜中にチェックインして、夜中の1時半にやっと寝た。

 

 ホテルの部屋

 

ロングランミュージカル

翌朝は5時には目が覚めてしまったので、早朝街歩き。今回は仕事の鞄を持って、6時にホテルを出て、ハイストリート・ケンジントン(High Street Kensington)駅から、£7の一日券切符を買って、途中で乗り換えて、コヴェントガーデン(Covent Garden)駅まで地下鉄で30分ほど。コヴェントガーデンからピカデリーまで、適当にジグザグに歩いた。

コヴェントガーデン駅のすぐ傍には、ロイヤルオペラハウス(Royal Opera House)がある。背中合わせのコヴェントガーデン市場(Covent Garden Market)から西に歩き、レスター広場駅前の交差点でチャリングクロス通り(Charing Cross Rd.)を北に歩くと、パレス劇場(Palace Theatre)で、ミュージカルの「レ・ミゼラブル」の看板が目に入った。そうだ、10年前にここに来た時に、ダフ屋のお兄さんにチケット売りつけられたっけ。日本でも当時有名だったが、10年のロングランで、その後も長い間ここでやってたようだ。さすがに現在は演目が違うようですが。

南に歩いて中華街とレスター広場(Leicester Sq.)を抜けて、トラファルガー広場(Trafalgar Square)から西に歩いて、ヘイマーケット(Haymarket)の大きな通りに出て、北に歩くと、今度はハー・マジェスティズ劇場(Her Majesty’s Theater)で「オペラ座の怪人」をやっている。こちらはもっとロングランで、現在もやってるようだが、同じ演目でよくも30年近くも続きますねえ。ヘイマーケット通りで朝食にマクドナルドのハンバーガー、£1.40だった。

早朝散歩は、数kmを1時間くらい歩き回り、8時過ぎにピカデリー(Piccadilly)駅から地下鉄に乗り、そのまま、ヒースローの事務所に行った。ぶらぶら歩くだけで、どこにも入れない早朝散歩なんて意味あるの?とも思うけど、出張じゃ仕方がない、気ままに歩いて、普通の観光とはひと味違った風景を見るのも面白い。

 

 コヴェントガーデン市場

 

 レ・ミゼラブル

 

 オペラ座の怪人

 

 ロンドン市街地図

 

バーでの一杯

地下鉄は直通でも1時間近くかかって、9時過ぎにヒースローに着き、タクシーで事務所へ。午前は事務所で技術打ち合わせ、午後はお客様のところでビジネスの打ち合わせだった。

19時半に、朝歩いた中華街で、Mr.Tとその他5~6名で夕食。中華街といっても、横浜の中華街のような中国風の建物でごちゃごちゃ、という感じではなく、ロンドンの普通の街並みの一角に中華料理店がかたまってる、という感じだ。

21時半に地下鉄でケンジントンに戻り、Mr.Tと、きょう一日一緒だったアメリカ人と、3人でホテルのバーで一杯。スコッチウィスキー飲みながら、1時間くらい四方山話。仕事の後で、カウンターに肘ついて、3人で同じ方を向いて、ちびちびやる、ってのは、大勢で賑やかに乾杯するのより、しっくりする。特にシリアスな話をするわけでもなく、お互いに口数の少ない会話で、ときどき顔を見合わせて頷き合う、みたいな、男3人で何やってんだ、と思われるようなシーンだが、これがいいのだ。1日の締め括りには最高だ。この日は24時に寝た。

 

早朝のヒースロー空港

翌日、4時に目が覚めた。まだ時差ボケがあるようだが、北京のときと違って、十分寝た気分で、さっさと起きる。5時過ぎにホテルをチェックアウト、深夜にチェックインして早朝にチェックアウトなんて、日本人はなんと慌ただしいんだ、と思われたかも。5時半にタクシーでヒースロー空港へ。6時にはBAの搭乗手続きを済ませた。慌ただしいより驚異的。早朝のヒースロー空港は人も疎らだ。

Mr.Tから、この時期のドイツは寒いのでコートが要る、と聞いていたが、コートなど持ってこなかったので、空港で買うことにした。英国のコートならバーバリー(Burberry)と思ったが、見当たらなくて、ヤッケみたいなのを£170で買った。サイズが合わなくて、膝の下までぞろりと長いが、軽くて折りたためて、とても温かくて、買ったときはこんなので我慢、と思ったが、とても便利。この後の独で役に立っただけでなく、帰国後も普通の重いコートより、よっぽど重宝している。

7時過ぎに搭乗、30分後には離陸した。

 

 早朝のヒースロー空港

 

 防寒コートを買った免税店