3.3 パリ

 

真夜中のシーフード

21時半にケルン・ボン空港出発、23時にパリCDG(Charles de Gaulle)空港着、独と仏に時差はなくて、1時間半かかった。

空港には、一足先に仏に戻っていたDr.Pが、友人ご夫妻と迎えに来てくれて、パリを北から南に縦断してモンパルナス地区(Montparnasse)まで自家用車で移動、この日は水曜日だけど、夏至で市民音楽祭とかで、真夜中なのに街中がごちゃごちゃと賑やかだ。シーフードレストランで夕食、といっても、もう夜中の1時。夏至だと特別なのか、結構ほかにもお客さんがいて、真夜中という気がしない。これがパリなのか?気持ちが高ぶって疲れも忘れるほどだが、この時間に夕食とは?

フランスでは乾杯するとき、チンチンと言うのだそうだ。グラスをぶつけ合いながら大声で言うもんだから、どうも気恥ずかしい。シーフードは、50cmくらいありそうな大きな脚付きの皿に氷の山、表面に蠣とかムール貝とか海老とか、魚介類が散らばっていて、超豪華。その時の写真を見ると、みな長袖だし、自分はスーツだから、そう暑くなかったんだと思うが、氷の山に乗っかってる具はみなとても冷たくて、ただ冷たいだけの淡泊な味だった記憶がある。

ホテルは更に15kmほど南のオルリー空港(Paris-Orly)の近くのHotel Mercure、車で送ってもらって、ホテルにチェックインしたのが、午前4時過ぎ。パリ初日にこんなのあり?ホテルもよく入れてくれたと思うが、Dr.Pには夜中まで付き合ってくれて感謝だけど、驚きました。ホテルは、廊下も部屋もすっきりして、英独のホテルとは違う仏流のセンスを感じた。

 

 モンパルナスのシーフード

 

 Hotel Mercureの部屋

 

 パリ近郊地図

 

個性溢れるアパート

オルリー空港のすぐ隣はちょっとした工業団地みたいで、数百メートル圏内にホテルとオフィスビルがある。翌朝(といってもチェックインした木曜日)、ホテルで朝食を摂り、10時には事務所に行き、Mr.T、Dr.Pと打ち合わせ、19時半に終わった。Dr.Pがパリの街を案内してくれる、と言うので、車でパリ市街まで送ってもらった。Dr.Pがちょっと自分のアパートに寄る、というのでご自宅も拝見。どこかは分からないが、パリの街並みに居並ぶ、旧いけれど洗練されたお揃いの建物の階段を何階分か上って、屋根裏みたいな一番上の狭っ苦しい扉を開けて中に入るや、これは広い、というか間仕切りがないからなのか、様々な調度品がごちゃごちゃと(本人に言わせると整然と)置かれていたが、伸び伸びと感じる。扉の外はどこも同じだけど、部屋の中は個性が溢れていた。

 

パリの有名どころとカルチェラタン

Dr.Pが、エッフェル塔(Eiffel Tower)やノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame)やパンテオン(Panthéon)といった有名どころを案内してくれた。自分で行き先を意識しているわけではないので、どう移動しているのか分からないが、言われるままに地下鉄に乗った。時間が遅くて、エッフェル塔もノートルダム大聖堂も上ることはできなかったが、地下鉄には何回か乗ったのでだいぶ慣れた。パリの地下鉄はメトロ(Metro)という。ロンドンのように縦横に整然と走ってるという感じではなく、路線が複雑で乗り換えも多いが、どの駅も乗り換えは簡単、確実、行き先の駅名が分かっていればよい。パリの地下鉄も慣れればとても便利だ。

有名どころを回った後で、雑然とした庶民的な界隈に連れてってくれた。ここはカルチェラタン(Quartier latin)。軒並み並んだレストラン街は、どの店も、それほど間口が広くないし、豪華という感じでもないが、きれいで、どこに入っても楽しそう。日本のような料理のサンプルはなく、店の前に看板や脚付きの台が置かれ、文字だけのメニュが広げられている。もう21時過ぎというのに、通りは結構人が多く、メニュを覗き込んでいる。そういう光景もパリを実感させてくれる。

Dr.Pが、店の前に広げられたメニュを数軒物色した後で、ギリシャ料理の店に入った。海鮮料理だったと思うけど、残念、よく憶えていない。タクシーでオルリーのホテルに戻ったのは1時だった。

 

 エッフェル塔

 

 ノートルダム大聖堂

 

 カルチェラタン

 

一人でパリ街歩き

ここまで毎日、夜遅い割には朝早く目が覚めていたが、ようやくぐっすり眠れた。この朝はホテルでゆっくり過ごし、9時頃Mr.Tの事務所へ行き、午前中はDr.Pと打ち合わせ、午後は自由ということなので、一人でパリ市街へ出掛けた。

ルーブル美術館前でタクシー降りたら、美術館の敷地の中を道路が通っていることにびっくり、ぐるりと見回して壮麗な建物にびっくり。パリはどこもルネサンス様式というのかな、独特の優雅な似たような雰囲気の建物が並んでいて、旧い建物でも、ロンドンのような威厳とか、ドイツのような堅苦しさとは違う、優美さに溢れている。ルーブル美術館はその典型のような建物だ。中世の要塞兼宮殿だったとか、この外観だけでも鑑賞に値する。ところが、広場の真ん中にガラスのピラミッドがにょっきり生えている。賛否両論、ちょっと見た目には不釣り合いだけど、これも芸術の一部だとか。広場には道路を挟んで反対側に凱旋門のミニ版(カルーセル門)がそびえ、素敵。数kmほど西に本物の凱旋門があり、中程のコンコルド広場までは広大な公園になっているらしい。どこも目移りするが、まずは北に伸びるオペラ通り(Av. de l'Opéra)を歩こう。

 

 ルーブル美術館

 

オペラ座

少し歩くと、1km程先にオペラ座(Palais Garnier)の丸屋根が見えた。観光客に人気の通りらしい。でも、このときは日本人をあまり見かけなかった。オペラ座前は人がたくさん、石段に座って日向ぼっこしてる人もいる。改装中でホールは見られなかったが、見学料30Fで館内を見学できた。まずは正面の二股に分かれた階段が、豪華な宮殿のシンデレラの舞踏会みたいで、圧倒された。ホール周りの廊下に展示された数々のアトラクションは、ここで上演されたオペラの名場面が、生々しい蝋人形で再現してあり、気味が悪いほどよくできている。歴代の衣装や小道具なども美術品、こりゃ好きな人にはたまらないだろうね。結構混んでて、ぞろぞろと一列縦隊で見学したから、一か所に立ち止まってじっくり思いにふける、という暇はなかったけど、私はこの時はオペラをあまり知らなかったのだが、どのシーンも迫力があった。オペラ座は世界に誇る大劇場なのに、外観も雰囲気もかしこまったところもなく、実に開放的だった。

 

 オペラ通り

 

 オペラ座

 

オペラコミック座

オペラ座の近くに、オペラコミック座(Théâtre National de l'Opéra Comique)という別の劇場がある。オペラ座より小さいが、アンドレ・クリュイタンス(André Cluytens)がパリ音楽院管弦楽団を指揮してオペラコミック座で録音した、ビゼーのカルメンをレコードで聴いて、モノラルの酷い音のはずなのに、生き生きとした生身の人間らしさを感じて、オペラコミック座を是非見たいと思っていた。オペラ座の前の広い道路から東の方へ数百m歩いて、細い道に入ると、オペラコミック座の建物があった。奥の方にちょっとした広場があって、そちらが正面。オペラ座のような華やかさはないが、落ち着いた雰囲気の立派な建物だ。周囲をぐるっと一周していくと、横側の扉が開いている。おっ、中に入れる。入るとチケット売り場らしき窓口があり、人がいる。思い切って、今日は何かやるんですか?と聞いてみた。すると、プッチーニ(Giacomo Puccini)のボエーム(La Bohème)をやるって。このオペラはレーザーディスクで観たことがある。まだ席は空いてますか?すると、「500Fのボックス席と、50Fの天井桟敷席が一つ空いてます。」これはラッキー、500Fの席を購入。公演は19時半から、ということなので、4時間ほど時間がある。

 

 オペラコミック座

 

 パリ市街地図