2.2 メンロパーク

 

だだっ広い道路とリゾート気分のホテル

午後も遅くなり、サンフランシスコから50kmほど離れたメンロパーク(Menlo Park)に、駐在員が車で送ってくれた。ホテルも翌日の仕事もここ、1kmも歩けば鉄道の駅があったらしいが、車がないとどこにも移動できない感じだ。エルカミノリアル(El Camino Real)という幹線道路は、だだっ広くて、歩いている人なんかまったくいない。駐在員が帰ってしまうと、ポツンと取り残されたような孤独感に襲われた。日本や英国では、絶対味わえない、淋しいというわけではないが、妙な気分、これがアメリカなんだ。

そのだだっ広い道路に沿って100m以上ありそうな、これまた広大な敷地のホテル(Stanford Park Hotel)、ちゃんと門があって、ヤシの木が茂り、コテージ風の古風な建物で、部屋は広くて快適、中庭もあり、ちょっとリゾート風の佇まいだった。

   

 El Camino Real

 

 Stanford Park Hotel

 

 メンロパーク界隈地図 

 

冷や汗の打ち合わせ

翌日から2日間、研究委託先の先生との打ち合わせ、日本人の相棒がもう1名合流して、3人で会議というより、ホワイトボードの前でマンツーマンで講義を受けるような感じで、なかなか得難いものだった。忘れられないのは、議論が白熱して、私が Don’t you think~ と先生に確認したとき、先生が Yes~ と仰って、私が得たりとばかり頷いたとき、相棒が慌てて議論を遮って「違う、違う、頷いてちゃいけない」と言いだした。その場は、曖昧に進んでしまったが、後で相棒が言うには、私が否定疑問の形で確認して先生がYesと仰ったのを、私が反対に捉えて頷いたので、ヤバイと思ったそうだ。幸い議論の大勢には影響なかったが、英語のYes/Noは白黒つけてしまうので、そう言われて気が付き、冷や汗が出た。

午後は委託先の先生の自家用車で、サンタクルーズ(Santa Cruz)へ、70kmくらいあったと思うが、山越えのような森の中の道を1時間ひたすら走り、14時に訪問先の大学に着き、3時間ほど大学の先生方とお話した後、委託先の先生ご夫妻と一緒に近くのレストランで夕食。この先生の自宅はサンタクルーズなんだけど、奥様が同席してくださるなんて、感激しました。翌日はまた朝から打ち合わせなので、その日のうちにタクシーでメンロパークに戻った。

 

街のようなショッピングセンター

ロンドンと違って、どこにも歩いて行けそうもない、と思ったが、ホテルの角に信号があって、だだっ広い道路を渡ると、大きなショッピングセンター(Stanford Shopping Center)があった。日本でも、今はアウトレットとか小売店が広い敷地にまとまって何でも買い物できるところは珍しくないが、当時の私にはとても珍しかった。メイシーズ(Macy’s)とかエルメス(Hermes)とか、聞いたことのあるような有名店もあって、ホテルに負けない中庭もあって、まるで公園と一体化した一つの街のようだ。これは飽きない。メイシーズに入って、アクセサリー売り場で、子どものお土産に、と思って、あれこれ物色。広いフロアに店員が一人だけで、御用があれば声かけて、という感じ。それほど高価ではないが、クリーム色のちょっといびつなハート形のブローチに決めた。子どもの喜ぶ顔が目に浮かぶ、、、帰国後、子どもの第一声は「変な形」だった。がっかり、、、

   

 ショッピングセンターの中庭

 

リムジンもアメリカもでかい

最終日、朝早くにホテルで朝食済ませ、8時にリムジンでサンフランシスコ空港へ。渋滞で1時間かかった。それにしてもタクシーも大きいが、リムジンはでかい。ロンドンのブラックキャブも後部座席はずいぶん広かったが、リムジンは全体に大きくて、日本人には広すぎる。こんなでかいのを、私より背の低い小柄な女性が運転するんだから驚き、よくこんなのでバックできるねえ。

11時ちょっと過ぎにUA(ユナイテッド航空)で、サンフランシスコを出発、日付変更線を越えて、翌日15時ちょっと過ぎに成田着、都合11時間かかったことになる。西周りは大気の流れに逆らって飛ぶので遅くなるんですね。現在も同じくらいかかるらしい。

成田で帰国ラーメン食べて、今回の出張は終わった。ちょっと西海岸行っただけだけど、やはりアメリカは広い、でかい。狭い国土で肩寄せ合って生きる日本人とは、考え方も違ってくるだろう。

 

 リムジンと運転手(中央)