雪国で学生生活を送っている娘から
突然、電話がかかってきた。
無駄な電話は一切掛けてこない娘なので
一体何かと話を聞いて驚いた。
車で事故に巻き込まれたというのだ。
信号が黄色になったので
停車しようと減速すると
けたたましいクラクションの音とともに
ドンという音がして
追突されたというのだ。
普通は
「大丈夫か?」
「大丈夫!」
で済む話なのだが、その後があった。
こともあろうに当てた側が
そのまま逃走したというのだ。
我が娘は「これはまずい」と
何もなかったかのように車を走らす
加害者の後をつけて、
老健施設に車が入ってゆくのを確認し、
110番通報したそうだ。
親バカを笑うなら笑ってくれてもいいけれど、
「大した奴だ!」と褒めてやるに
値する対応だと思った。
娘は加害者には直接会っていないそうだが、
85歳の老人で
警察の話では
「チョット当たっただけで
そんな事故とか何とかという
認識がなかった。」
とのご本人の弁らしい。
しかも、以前にも追突ではないけれど
事故がらみで何かあったようで、
「その件があったから逃げたんか?」と
疑心暗鬼になってしまった。
大した怪我ではないけれど
少し打撲もあるようで、
電話の用件は
「人身にするべきか、物損にするべきか
どうしたらいい?」というものだった。
色々なケースの話や
対応についてあれやこれやとやり取りし、
最終判断は娘に委ねることにして
電話を切った。
最終的に後腐れのない形で解決すれば
それでいいと思っている。
それはそれとして
今回たまたま高齢者起因の
事故に巻き込まれたわけだが、
最近、高齢者起因の自動車事故の報道を
見ない日はない。
日本のモータリゼーションの普及と
高齢化社会のマッチングが
新たな社会問題を生み出したと言えるだろう。
「免許返上してほしい。」と
先方に伝えた方がいいかも?
と娘には伝えておいた。
軽微な事故で済んだから良かったけれど
死亡事故につながったりしては大変だ。
車が自動運転になる時代が
目の前まで来ているとは言うものの
今すぐにという訳にはいかない。
お年寄りの免許返上について
ご自分の決断はなかなか困難があるだろう。
周囲が背中を押してあげること
そのために代わりの足になってあげること
それが出来れば返上者も増えるだろうが
社会の現状はなかなかそれを許してはくれない。
娘の事故をきっかけに
悩ましい問題の解決策に
妙案はないものかと
ついつい思いを巡らしてしまう
今日この頃だ。