筑波大学ソーシャルメディア利用ガイドラインについて(2021年7月30日加筆) | 平山朝治のブログ

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筑波大学ソーシャルメディア利用ガイドラインをざっと見て一番気になるのは

 4(5)ア「本学の信用又は名誉を傷つけるような虚偽の情報 」

 5「本学の信用若しくは名誉を著しく損なう」

 6「本学の名誉若しくは信用を傷つけた場合 」

と、本学の名誉や信用の毀損について3箇所も触れていることです。

 

法律・判例上は、公共性・公益性があり、真実であるかそう信じるに相当な理由があれば名誉毀損になりませんが、そういう留保が明記されていないので、公共性・公益性があって真実であると信じ得る虚偽(たとえばガリレオのころのカトリック教徒にとっての天動説)であっても、学長や執行部を批判すると調査や処分等の対象になりかねません。

 

網羅的に調べたわけではありませんが、たとえば

明治大学中央大学 のガイドラインをみても、当該大学の名誉や信用の毀損については全く触れていません。

 

このガイドラインが制定されてから、SNS利用に関する情報統制が厳しくなり、教員は戦々恐々としているとも報道されました。

 

 

によれば「ツイッターやフェイスブックなどのSNSを対象にしたガイドラインだが、教員らは『発言自体も危ない』と疑心暗鬼になっていた。ツイッターに鍵を付けたり、アカウントを削除した教員もいる。大学側の管理強化で、確実に教職員が萎縮しているという。」と報道されています(有料記事部分ですが引用なので合法と思います)。

 

筑波大学ソーシャルメディア利用ガイドラインは、令和2年3月26日 に学長決定されたもので、リポジトリからの削除が決定された私の論文はそれ以前に公表されていますので、不利益を与える措置は、法の不遡及という罪刑法定主義から派生する近代法の大原則からして、できないはずです。

 

によれば、「中国の法律は、公には法律の不遡及の原則となっている。どの中国人弁護士に聞いても、遡及適応されるとは解釈されていないと答える。しかし、例外となる「特定事項」が設けられており、何が特定事項かは国家機密として明確になっていない。つまり、特定事項はいくらでも作り出すことができる。」とのことです。これと同じような遡及適用が、筑波大学でも頻発するようになれば、もはや内実は共産圏同様の恐怖政治が横行することになってしまいます。

 

は、「『ガイドライン』とは、自主的に遵守することが推奨されるルールです。日本ではガイドラインの日本語直訳『指針』や『行動規範』と呼ばれることもあります。基準との違いは、義務か推奨かという違いにあります。但し、『ガイドライン』という言葉が普及するに従い、用語の混乱も発生しており、ガイドラインと言いつつ、基準としての運用を要求するものもあるため注意が必要です。」としていますが、筑波大学ソーシャルメディア利用ガイドラインは、5で調査、6(1)で処分に言及していますので、罰則とそのための手続きを定めた規則で、推奨どころか、罰則付きの義務なのです。

 

このようなものが、昨年3月26日に急遽学長決定として決まり、4月1日から施行された背景には、2018年12月13日に制定された『筑波大学における軍事研究に関する基本方針』と防衛装備庁・安全保障技術研究推進制度への応募・採択との整合性が学内外で問題になり、同じ日、「軍事」研究のうち防衛目的のものは容認する(軍事研究ではないと定義する)ということを学長が記者会見で明らかにしたという事情があるのかもしれません。

 

軍事研究を巡る執行部の首尾一貫性の欠如と、罰則法規を自分の都合に合わせて新しく作ったり、遡及適用させたりする、ということとは、執行部の権力を制約する法の支配が筑波大学では失われ、中国とよく似た独裁体制になってきている、ということを意味しているのではないでしょうか?

 

なお、このブログ記事は、公益性・公共性があり、真実性があるとすれば、名誉毀損にならず、国の法は学内規則よりも優越するので、筑波大学ソーシャルメディア利用ガイドラインによる調査や処分の対象にはならないはずなのですが、調査や処分の対象とされた場合には、執行部の違法性の証拠として裁判で使えることになります。

 

(以下は、2021年7月30日加筆)

筑波大学の教員2名が、「筑波大学ソーシャルメディア利用ガイドライン」による表現の自由侵害を抑止するため、加入した労働組合を通して団交を要求したところ、学長名で拒否されました。これは不当労働行為に当たり、労働組合法違反とのことです(筑波大学の学長選考を考える会ホームページ)。

 

 

表現の自由侵害を伴う名誉教授選考(被害を蒙った方は、学長選で学内教職員の圧倒的多数の支持を受けた候補だった方です)、不当労働行為と、大学の不当な言論統制を巡るトラブルが私の論文のリポジトリ削除事件の他にも表沙汰になってきました。

 

団交要求書全文も公表されています。そのなかに学長選対立候補に対する弾圧の詳しい説明があります。

 

 

 

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