平山朝治のブログ

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中東依存度と米国産石油・ガス輸出増

出所:「中東情勢に高まる懸念 米関税に続く『頭痛の種』―東アジア」、『JIJI.COM』2025年06月22日、https://www.jiji.com/jc/article?k=2025062100355&g=int、「シェール革命とは 米、石油・ガス生産急増で輸出国に転換」『日本経済新聞』2025年1月15日、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1434K0U5A110C2000000/

 

 

米国はイラン攻撃をイスラエルとの集団自衛権の行使であるなどの理由で合法としている[1]ので、国際法違反という批判はベネズエラ侵攻と比べて成り立ちにくいと思われる。

 

戦争反対として批判する場合、同じ先進国・地域でも欧州と東アジアでは見方に違いが出てくるだろう。たとえば、わたくしたち東アジア人としては、それが中国の台湾侵攻という戦争の可能性を高めか低めるかが、最大の考慮事項になる。それを低めるのならば、米国のイラン攻撃は東アジアの平和維持にプラスとなる戦争であるから、戦争反対を唱えることは困難であり、原油価格上昇などのコストは東アジアの平和のための税金として甘受しなければならないだろう。

 

米国の軍事力がイラン攻撃に集中しすぎて東アジアが手薄になることは、台湾有事リスクを高める要因として誰もが心配するが、問題はそれほど単純ではない。

 

まず、トランプ政権の海外侵攻の特色は地上兵力の中長期的駐留を伴わない点にあり、イランも今のところそうであるから、台湾を巡って緊張が高まれば米軍の再配置は比較的容易にできる。

 

また、イランによる湾岸諸国への報復はあっても、中国がイランを支援する兆候はなく、戦火が広がる可能性も低いようだ[2]。

 

なかでも中国はイラン以外の湾岸諸国からの原油輸入にも大いに依存している(カバー画像左)ためこれまで湾岸諸国とイランの和解を仲裁して両者への影響力を拡大してきたので、イランと湾岸諸国の対立は中国外交にとって打撃である[3]。日本の高市首相がアメリカとイスラエルのイラン攻撃については論評をさけながら、イランの周辺諸国への報復攻撃を非難した[4]のは、中国外交の窮地に乗じたものと評価できるだろう。

 

また、米国はシェール革命によって原油・天然ガス・石油関連製品の輸出国に転じ、中東の原油への依存は無視しうるほど低下したので、ホルムズ海峡封鎖などによって中東の原油供給が低下してもたいした悪影響はなく、逆に輸出国としての地位が高まる。

 

以上のように、米国とイスラエルのイラン攻撃は、中国外交に打撃を与え、台湾問題をめぐって米国は原油、LNG、石油関連製品輸出を取引材料として中国の譲歩や他の東アジア、東南アジア諸国との結束を促すことに資すると思われ、台湾有事リスクの低減をもたらすと評して良いように思われる。

 


[1] 「トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)に投稿し、イランで『大規模な戦闘作戦』を開始したと表明した。『われわれの目的は、イラン政権による差し迫った脅威を排除し米国民を守ることだ』と説明した。/トランプ氏は、イランが核開発計画の再構築を試みたと指摘。米国などを脅かす長距離ミサイルを開発していると主張し、イランの核保有を防ぐこと、イランのミサイルと関連産業を完全に破壊することを訴えた。」(同)今回のイラン攻撃はトランプ氏によれば「米国民を守る」という自衛権の行使であり、攻撃のあった日のうちに安全保障理事会の緊急会合が開かれ、「米国とイスラエルは攻撃について『合法的な措置だ』と正当性を強調した。」「米国のマイク・ウォルツ国連大使は『イランが核兵器を保有すれば世界に深刻な脅威となる。核兵器を持たせるわけにはいかない』と強調。イランがミサイル開発や武装勢力への支援で地域を不安定化させてきたとした上で、攻撃は国連憲章や安保理決議に基づく『合法的な措置だ』と説明した。」(「国連安保理が緊急会合、アメリカとイスラエルの攻撃正当化にイラン『侵略行為だ』…グテレス事務総長は即時停戦呼びかけ」『読売新聞オンライン』3月1日、https://www.yomiuri.co.jp/world/20260301-GYT1T00113/#google_vignette。)

[2] 「イラン攻撃、戦火が世界に広がらない理由は 河野克俊・元統合幕僚長」『朝日新聞』2026年3月6日、https://digital.asahi.com/articles/ASV354JT5V35UHBI031M.html。ロシアについては「ロシアがイランの戦争を支援、米軍の位置情報提供で 関係筋」『CNN co.jp』2026年3月7日、https://www.cnn.co.jp/usa/35244726.html、「『イランの次はわれわれだ』ロシアでプーチン批判が表面化 / 対トランプ協調路線に保守派から異論相次ぐ」『東洋経済オンライ2026年3月7日、https://toyokeizai.net/articles/-/937079?display=b

[3] 「イラン報復攻撃が湾岸全域に 対立の時代に逆戻り、中国外交に打撃」『日本経済新聞』2026年3月6日、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05BQ90V00C26A3000000/

[4] 「高市首相、イランを非難 日独首脳が電話会談」『JIJI.COM』2026年3月5日、https://www.jiji.com/jc/article?k=2026030501222&g=pol。