昔々の船橋サーキットの逸話 ”生沢徹vs浮谷東次郎”にインスパイアされ、
昨年から始まった”エスロクヨタハチ”シリーズ。
スロットカーで勝利の栄冠は ホンダかトヨタか?
共通している構成は、明治屋のアルミ製インラインシャーシにFT-16青線モーター。
< 明治屋ユニバーサルシャーシ >
明治屋ユニバーサルシャーシは見かけ以上に剛性も強度もしっかりしている。
エスロクヨタハチには関係ないが、左右幅アジャスト可能なサイドボディマウントまで付属しており、
それは即ち、明治屋がクリヤボディも見据えていた事、初期のクリヤボディに最適だと私は思っている。
クリヤボディで性能追及しだすと軽量ハイパワー、低重心でワイドトレッド,etc.. 没個性の同じようなルックスになってしまう。
勿論、車体性能に差のない状態でウデを競うのも悪くはない。
しかしそれでは、60~70sテイストを知る者にとって今日のF1同様、退屈で物足りない。
この明治屋ユニバーサルシャーシーは、単純画一的なイコールコンディションでなくPUに合わせたバリエーションが それぞれの個性を生かしながらも似たようなラップタイムになるのが楽しい。
例えば、FT16をマウントし小径タイヤを使うと、重心が下げられ適度な剛性と相まって素晴らしいコーナーリングマシンになる。一方、付属の専用パーツでFT36を使うとパワフルなダッシュと余裕のスピードが味わえるが、フレーム巾の制約でサイドアップマウント、即ち天地寸法が高くなり必然的に大径タイヤを使わざるを得ず、ロールセンターは下げられない。
それもフルワイズ80㎜でなく65~70㎜程度の当時のクルマには ”テンプク”のリスクを高くする。
黎明期のスロットカーサーキットは(30m前後の小規模だったせいもあり) パワフルな36に対し、非力に思える16モーターで走っても一周するとあまり変わらない、などと云われたゆえんなのだ。
そう、むしろ16車の方がバンクもバンプのないテクニカルサーキットでは速い位なので、16信奉者もおられた訳だ。
勿論、豪快なストレートや高速で走れるバンク、軽量車がハネるバンプや荒れた路面のあるトコロでは36モーターが有利なのは言うまでもないが、こと明治屋シャーシは(イイトコ取りした26Dを使わない限り)PUの違いは個性の違いとなって楽しめるものだろう。
< 黎明期の国産クリヤボディ >
60年代クリヤボディと云えば、先ず最初はエナメルメーカーのパクトラ製(世界のタミヤモも初期のエナメルは”パクトラタミヤ”だった)や、デュブロ、ランサーの舶来モノから始まり、見様見真似でサクラ商事やミドリ、ゴーセン等の国産製品が続いた。
話は少し脱線するが、60年代中期以降はライト工業とクライマックス製品ばかりになったのはややオーバーサイズ(≧70㎜)で作られていた事とGT≦80㎜・フォーミュラ≦75㎜の連盟ルール、AYK(青柳金属工業)のクリヤボディ用軽量シャーシに合致していたから、他メーカー製品がなくなったのも当然だったろう。
(そして70年代、国産はクライマックスとミニオートの2社のみでF以外は全てW80㎜、レギュもMAX83㎜に拡大)
たが、それまでのプラモデルに範を取った60~70㎜程度の東京プラモ、ミドリ、タイメイなどの製品の味わいと云ったらない、Nothing More!
↑ 黎明期のクリアボディ、左より東京プラモ、タイメイ、クライマックス製品
東プラはパッケージにブルーキング(=米国の標準レイアウト)の写真、
タイメイは街中走る実車ではありえない憧れのレースカーのシェイプを。
.. そんなアピールは、当時たまらなく魅力的だった。
↑ タイメイだけでもフォードGT、デイトナコブラ、フェラーリGTO、スカラブが販売されていた
いつの日にか、この明治屋シャーシにフルワイズでない(=70㎜程度) デイトナコブラ、フェラーリ、スカラブ、エルバ、ロータス、ローラ等々纏って皆で走らせたら楽しいだろう.. 未々ビンテージスロットの夢は尽きない。
< 童友社製 トヨタS800 >
さて本題のヨタハチ製作。
昨年作ったホンダS800が手持にあるが、レーシングパラダイス廃業前に古いストックに息を吹き込んでみたい。
スロットカーの制作と実走、即ちそのPDCA(近年ではOODAなんぞとも云うが、江戸っ子にはObserve-Orient..観察-状況-意思から行動なんてまどろっこしい。PlanしたらDo-it!そしてCheck&Actionこそ昭和から実在するスロットカーにはピッタリだ)は、ビデヲゲームでは味わえない悦楽だ。
勿論、スケールモデルカーなのだからコストもセンセーションも実車とは違うが、そのプロセスと目標達成の満足感は実車の24分の1ではないスケール以上のもの。それこそが ビンテージスロットカーの醍醐味だとも言えるだろう。
↑ (左)か細いウィンド取付枠はポッキリ折れてしまった.. (;^^)ノ
(中)実車同様ルーフはデタッチャブル=取外し可能。組説には”接着しないでください”とある。
(右)レザートップ的な黒ルーフはレーシングっぽくないので、サーフェイサー塗装。
童友社のボディは、軽く出来ているのは良いのだが強度に気を付けないといけない。
が、レギュではオープン不可だしスロットカーには強度も必要なので加工必須。
またこの童友社製品は、ボンネットもトランクも開閉可能なように予め丁寧なるスリット加工が施されている。このままでは弱すぎるので、溶かしたスチロール材を押し込む。
モノグラムのデューセンバーグみたいに開閉機構を製作したら、みんな驚くだろうな..と思いつつ、
ワンクラッシュでお釈迦にしたくない。
ボディカラーリングは青系でいこうと思ってストックをチェック。
ふと気になったのはハンブロールカタログに標記ないNo.221。
スロットカーが隆盛を極めた60年代に販売された”racing colours”もカタログにはない。
あまり突き詰めて考えても仕方ない。もうここは現物現実優先、実存は本質に先立つのだ。
<ハンブロール、サテンタイプ>
試しにNo.221を塗って乾かしてみると(中)サテンタイプ、艶消しではない俗にいう七分ツヤ。
艶出しのコンパウンドで磨いても(右)う~んシブ過ぎる!
半艶カラーも今日では、実車でもヒネクレモノ達に愛されそうな表現だが、60sにはありえないからパス。
グロスのフレンチブルーで塗ることにした。
(左)フロントバンパーは凹部に接着すべきだが、そのままだと(実車通りのシェイプだが)出っ張ってしまう。
クラッシュが日常茶飯事のスロットカーには強度不足なので、
(中)凸部挿入個所の凹部は穴を開け貫通状態にして挿入後ウラから強力に接着。
(右)バンパー中央はナンバープレート部なのだが、ガイド隠しのプレートをポリカボで制作。
(昔、クノーのヘルメットにも使われたポリカ-ボネイトだが、ピストルに勝った?と云っても爪で傷ついてしまうので再制作)
<セメダインハイグレード模型用>
(左)童友社のキットに入っていたメッキパーツは2種類のツヤ、エンジン等内部は半艶..60年前なのに。
(中)新製品セメダインハイグレード、メッキパーツとクリアパーツが曇らずにつけられる。
勿論、通常は接着強度確保のため、ボディ本体とメッキ部の接着はメッキをナイフで落として付ける。
だが、ウィンカーやリヤブレーキランプなどの下地のメッキの反射が得られるトコはメッキを落しては台無しになる。
そんな時にはピッタリの接着剤だ。唯、水性という事もあり他の強度が必要なトコロには流用できないだろうと思う。
(右)メッキベースの上にクリアレンズを付けてクリヤレッドやクリヤイエローを塗った。
ところで、ビンテージスロットカーにドライバ―人形は、マナーにしてマストモノ。
先日Y氏からの頂いたモノがジェットヘル、ちょうど雰囲気に合うので削って調整。
PUはFT-16青線、とても綺麗なミントコンディション品をU氏からお譲り頂いた。
年代に鑑みれば当然だが、ペーストかフラックスの影響でハンダ部根元が腐食している。
そのグズグズしている腐食部は削り取った。
小学生の虫歯じゃないがこれ以上のプラの劣化進行させたくないからだ。
シャーシ付属の軸受メタルは、前回同様サイズが合わない(2.5㎜程度しかない)のでテーパーリーマで3.1㎜程度に拡げる。
ピニオンギヤ歯はストレートの伸びを求めて13t(前作HONDAも、また皆さんも12tを使用)を挿入。
そのためフレームを削りクリアランスをギリ確保。
白いシャフトはAYKのセラミック製、ヤワなヤスリが負ける位ポキポキに硬いがクラッシュとネジ緩みには要注意。
<AYKホイル 2本線タイプのR2 >
(左)前輪は、当時の明治屋製を使ったHONDA同様に60sモデルホビース製を使うつもりだったが、劣化したゴムタイヤはハメる度にヒビが入る。
(中)上段~無理やり押し込んだものながら軽くていい。が、僅かにサイズが合わない。
下段~AYK製タイヤ付ホイルを引っぱり出したが重量不揃い..偶々か2個が0.5g近くも違っていた。
まあ、どちらにしてもホイルインナーは装着不可だが、この形状こそが60sテイスト。
(右)ラジアル方向の厚み違いが分かったので、片方を研磨して誤差0.01g以下(つまり秤で表示されないトコ)まで揃えた。
仮面ライダー1号ではないが(一文字隼人=2号ライダーは1本ストライプで、本郷猛=1号が2本線)、前輪リムのエッジがが2本線になったので、後輪ホイルも加工したプラインナーホイルでエッジ部ぶ厚くして2本線にして、60s再現!
<スプリングピックアップコレクタ >
当時の、スプリングで上下動作するガイドシューをアクティブにするため、φ3の真鍮棒を加工しガイド支柱を製作。
M2ダイスで先端をネジ状にしてキツく挿入して支柱にした。またガイド先端も4㎜程度カット
<手描きゼッケンの誘惑 >
エナメルは経年劣化(色ヤケ)は避けられないが、薄いデカールと違い剥がれず強度もある。
一般的なラッカースプレー+デカール+クリア仕上は、勿論ツルツルしてキレイだと思う。
だがエナメルとは組合わせられないし、またハンブロールはキズがついても修正が効く。
ナンバーデザインもお仕着せのデカールと違い好き勝手に描ける..
そんなメリットとエナメル独特のセクシーな質感の誘惑に負けて今回も手描き。
白いゼッケンサークルの外周にカラス口でスミ枠を入れると引締まって良い。
レース当日の9月14日、ようやく完成。
さあ、走らせるゾ!



















