年明2日の寒い中、役所広司主演の映画を観てきた。

 

4年前の作品「すばらしき世界」で、戸籍の無い男

を演じた時から とんでもない役者と思っている。

∵戸籍無い..と言うのは、少年の頃から裏社会で

過ごしホステスを守り犯した殺人で長い刑期から

出所したからで、

その時は、決して根は悪くなく寧ろピュアで朴訥

(ぼくとつ)なイイオトコの表情と、

また逆にカッとすると手が付けられない危うさを、

鋭い眼光で演じられていた。

最高リアルに演じられ、作品も素晴らしかったが、

国内で世間的には評価は低かったと思う。

私の勝手な妄想だが、その時の主人公が四年経って、

(死ぬことなく)角も取れたと思うと又ピッタリくる。

 

今回はひとりの中老年男の繰返す日常生活と出来事、

他者との関わりの中で起こる悲哀が描かれている。

 

主人公はスカイツリーの見える下町の木造住宅に住み

TokyoToilet実務スタッフとして、柄本時生の演じる

同僚と渋谷方面を担当。

一寸、異質に見える主人公の職業だが、それ自体に

テーマ性を持たせている訳ではなく、観るものを

その内的な独白に引きずり込むことが作者・監督の

狙いだろう。

毎夜の夢を、木洩れ日のような抽象的なモノクロの

シーンで表現するのも、同じく色々と想像させるため

と思える。

だから、ストーリー性や何か訴えてくれるテーマを

期待する向きには面白くないかも知れない。

あくまでも私見乍ら、数学的正解や統一的解釈に拘る

方にはお勧めできない。

が、ひと其々の多様性と自己の内面を恐れずに向き合える、

あるいは垣間見れるようなヒトには最適な一作だ。

(CG多様のアクションモノやあまりに説明的な映画作品に

 食傷気味の方にはこれ以上ないココロの箸休めだろう

 

仕事も生き様もいテキトーな役の柄本もそれらしいし、

石川さゆりのスナックママも最高だ。

フィクションやアクションに頼らないリアリズムから

逸脱しないで表現された作品なのだが、決して事実ベース

や再現ドラマの類ではない。

例えば、三浦友和演じる人物との出会いから、川辺の欄干

での再会は地理的時間的に無理な偶然と思うも頑固な方も

多いかも知れない。

 

そう、そんな頑固頭さんにエンディング曲の意味を尋ねられた。

最後に役所広司が喜怒哀楽ワイドレンジな表情を見せたから、

何かエンディングソングの感情の変化起伏に合わせたのでは

ないかと思っての事だろう。

私には、それまで叙景詩のように続いていたストーリーが、

最後に叙情詩的に主人公の感情を表現したものと感じた。

その表情の変化で、いままでもストーリーすべて走馬灯の

ように思い出させるのだから、やはり凄い役者だ。

 

ちなみに、エンディング曲は ―

アニマルズの ”The House of the Rising Sun”

思うに ―

妹との会話によって、主人公が家を出た事や、父親とあまり

上手くいってなかったことが分かるのだから、そこから先は

人それぞれの解釈でいいのだ。

歌詞のように主人公が少年院に入った事があるかどうかなんて

私にはどうでもいい事なのだ。

それでも、主人公の気持ちに私のココロはシンクロしている。

たとえ、映画が作り話に演技だとしても最高に称賛したい。

 

 

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確かに昨日は暖かく、私にとって十分パーフェクトな日だった。

でも、寒い今日だってSoso perfect (意味論上ネイティブは

そんな言い回しはしないだろうけど)。

そして、これからも日々の一瞬を大切に生きたい。

日々は繰返しのようでいて、時間の連続はその都度違う。

でも、木洩れ日を理解したヴェンダース監督なら、

日本人的な SosoPerfect、そんなジングリッシュも

きっと分かってくれるだろう。