日本を変革するために ④
さて、この二つの頂門の一針について、
いままで誰もここに課題を見出して改善しようとしたことは無かったのでしょうか。
恐らく、過去、何度もこの点に挑戦した政治家は確かにいました。
でも、その試みはことごとく失敗。
最近では、みんなの党の渡辺喜美氏が記憶に新しい。
では、その試みは何故、実現しなかったのでしょう。
これは私の推測ですが、以下の三つの理由を挙げたいとおもいます。
① 官僚同士の中で、暗黙の絶対にここは譲ってはいけない、
譲ると自らの存在や組織の将来が危うくなる「一丁目一番地」があり、
その点については、官僚全員が一致団結してその改善を阻止する動きが出る。
優秀かつ実権のある官僚が束になってかかると、その打破は極めて難しい。
② 官僚OBが政治家になっており、その比率が非常に高い。
このため、 改革推進側である政治家側が内部から崩壊させられる。
③ 本当の意味での政治家が極めて少なく、
多くは政治屋(職業として政治をする人)、である。
このため、あえてリスクを負い、自らの政治生命を懸けるような
勇敢果敢な改革勢力がそもそも生まれない。
何度も言いますが、官僚各々は悪人ではありません。
彼らも一度きりの人生を官僚という仕事に捧げる崇高な人達です。
誇りを持ち、正義を信じ、国の為に努力を惜しまない人たちです。
そして、日本の官僚組織は、世界でも類を見ない、
奇跡とも言うべき超スーパー・デキる組織で、
どの先進国の官僚組織よりも優秀で確実でしっかりしている素晴らしい組織です。
だからこそ、これを壊そうなどという稚拙で何も分かっていないボンボン政治家を
看過することはできないわけです。
彼らの強い責任感、日本国家をしっかり運営する責任感からは、
それは見過ごす訳にはいきません。
潰さざるを得ない。
この思考回路が生まれてしまうシステムそのものが、問題解決を難しくしています。
相手が優秀で、しかも私利私欲ではなく、
使命感でもって一丁目一番地の改革を身体を張って、
一致団結して阻止しようとするのだから、事は簡単ではありません。
ちょっとや、そっとのレベルでは、
頂門の一針、一丁目一番地に辿り着く事はできないのです。
日本を変革するために ③
(1) なぜ、官僚幹部の人事権を内閣総理大臣が握るようにすべきか。
まず、官僚幹部の人事権について、現状の問題点を指摘したいとおもいます。
例えば、経済産業省に入省した新卒若手の官僚は、非常に一生懸命働きます。
極めて優秀で、国のために一心不乱。
ところが、年数が経つにつれ、その行動がおかしくなってきます。
いつしか、巷に言われる「省益」を守る行動が目立つようになり、
随分国民の民意とは離れた政策が中心となり、本音と建前が入り乱れ、
税金は本来行くべき所に流れず、彼らの優秀な頭脳は、
不毛で無駄な事にことさら使われることになります。
これは一重に、人事権が(実質的に)経済産業省の中に置かれている為に起こる
構造的問題だと私は考えます。
上司に気にいってもらえれば、しかるべき責任あるポストに就くことができ、
自らの手で政策を作り理想的な仕事をやり遂げる事ができる。
しかし、もし上司に嫌われれば、その夢は果たせない。
どうしても、人事権を持つ人間に迎合的にならざるを得ない。
これは、どの組織でも起こる構造的問題です。
ただ、霞ヶ関の場合、元々組織構造が縦割り型になっている為、
その縦割りの中に人事権を置くと、その範囲から抜け出せなくなる。
その結果、省のために働いた人間が評価され、そうではない人間は評価されなくなります。
もし、人事権を、国民が真剣に選んだ、
骨のある国家観を持つ素晴らしい総理大臣が握っていたら、どうでしょう。
(そのような総理大臣を選べるのか、という点は後述に譲るとして)
総理大臣が、素晴らしい理想と政策を持っていて、それを実現するために働く人を評価し、
そうではない人を評価しない、という基軸が成り立っていたとしたら、
官僚の行動パターンは随分違うのではないでしょうか。
彼らの優秀な頭脳とマンパワーは、その総理大臣が理想とする目標に集約されることになります。
国民は、安心して総理大臣を誰にするか、だけ意識し責任を果たせば良くなるのです。
(2) なぜ、会計検査院を民間監査人だけで占めるようにすべきなのか。
一般的に、監査・検査を行うのは、その組織で不正が起こるのを防ぐのが目的です。
どの国においても、監査側はその会社と利害関係が無い立場を置くのが鉄則。
そうでなければ、容易に不正が行われてしまうからです。
ところが、日本の場合、官僚組織の監査役は、官僚自身が行うシステムを採用しています。
これは国際的にも、常識的にも、あり得ない事ですよね。
この結果、記憶に新しい所では巨額の復興増税予算が、
全く関係が無い事柄に不正に流用された件など、
まったく官僚組織の内部にブレーキやガバナンスが効いていないのです。
この会計検査院の監査能力を向上し、
かつシステム的にも利害関係が一致しない民間外部のプロの監査役を充てる事で、
相当部分が正しい方向に向き直るでしょう。
日本を変革するために ②
頂門(ちょうもん)の一針
人の急所を突いた厳しい戒めのこと(出典:故事辞典)。
鍼灸の世界で、ズバリここだけは全てに効く急所、という頭の頂上の一点を一刺しすることで、
全てが良くなるポイントのこと、と言い換えても良いです。
今の日本の低迷、何もかもが上手くいかない元凶、
これを解決できる頂門の一針を挙げるとしたら、何でしょうか。
私は二点を挙げたいとおもいます。
(1) 官僚の幹部(課長以上)の人事権を、内閣総理大臣が握る事(今はそうではない)
(2) 会計検査院は、外部民間の監査人によって担われる事(今はそうではない)
いずれも、霞ヶ関の官僚に関する事。
一見すると、官僚が「諸悪の根源」と見えるかもしれませんが、それは真意ではありません。
官僚の面々は、極めて優秀な方々がほとんどで、
しかも日本国家の為に人生を捧げる、志士たちでもあります。
私も多くの友人が官僚にいます。
しかし、その彼らも、霞ヶ関の「組織」の中では、
決まって間違えた方向に向かってしまう力学が働いてしまう、悲しい現実があるのです。
つまり、今現在の、官僚制度の設計に重大な欠陥があるわけです。
その欠陥の中でも、あえて頂門の一針を挙げるなら、この二点だろうと考えています。
(つづく)