というのも、正直ここのところマンネリになりつつある展開だった本編ですが、この巻ではストーリー展開的に読者を楽しませるための工夫がみられたからです。
キーワードとしては、武蔵坊選手による気の治療と、本物の剛球仮面です。
ドカベン ドリームトーナメント編(22) [ 水島新司 ] |
前巻の終了時に延長11回裏で、スターズが一点負けている状態でワンアウト1塁で打席には4番・ドカベン太郎選手というところで終わっていました。
自分の予想としては、サヨナラホームランで終了、というところでした。
もしそうなるとすると、実にこれで3試合連続のサヨナラホームランであり、いくらなんでもやりすぎ・・と思いつつも、まあ99%その予想は当たると思っていました。
結果は・・・
連続ファールで2ストライクと追い込まれたところで、水原勇気投手の渾身のドリームボールになんとかバットを合わせ、ライト線ギリギリに落ちるポテンヒット・・
・・・となったところで、ああ、マンネリなサヨナラホームランにならなくてよかった・・と思ったのですが、結局そのボールはライトフェンスの一番深いところまで転がっていき、赤青黄の3兄弟の活躍もむなしく結局ランニングホームランになってしまいました。
なんだ結局はこうか。。とがっかりし、しかも次の試合はもう一つの準決勝、京都ウォーリアーズ vs 福岡ホークス という(この漫画としては)消化試合なので、はやく決勝にならないかな。。と思っていました。
ところが。
ホークスがこの準決勝で大変身、これまで現実のホークスの選手で構成されていたチームだったのですが、一気に先発全員を水島真司先生のキャラクターで埋めてきました。
しかも、埋めてきた選手の多くは、「新・野球狂の詩」で主人公チームとなっていた札幌華生堂メッツのレギュラーたちでした。
「新・野球狂の詩」(2000年連載開始)を知っている人は少ないかも知れませんが、自分は結構好きでした。
主要メンバーの多くは新しいキャラクターではありましたが、なんといってもオリジナルの野球狂の詩の代表的なキャラクターである岩田鉄五郎氏、五利監督、火浦選手、そして投手コーチとして帰ってきた水原勇気選手といった名選手たちが話を引っ張っていましたので、読み応えがあったのです。
ただ、その連載自体中途半端な感じで終わっていたので、残念に思っていたのですが、最後にここで彼らの活躍する姿が見られるということで、楽しみが一つ増えました。
もっとも、この準決勝でホークスが勝つことは100%あり得ず、微笑三太郎監督率いる京都が決勝に進出することは誰の目にも明らかなのですが、少なくともこの準決勝第二試合が単なる消化試合ではなくなりました。
さらに、ホークスの先発が、あの「剛球仮面」の本物の正体である、男どあほう甲子園出身の池畑投手であることも、話を面白くしています。
自分もそうですが、おそらく、オリジナルの剛球仮面が、40年以上前に連載されていた男どあほう甲子園の連載で活躍したところを読んだことがある人は、かなり少ないのではないかと思います。
したがって、何の前触れもなしに剛球仮面の正体にあたるキャラをだしても、それで面白いと思う読者は少なかったと思うのですが、今は状況が違います。
このドカベンドリームトーナメント編の中で、「剛球仮面」というキャラはすっかり定着しました。
しかも広島の先発の仮面の正体が、オリジナルの池畑選手ではなくて、ドカベン出身の渚圭一投手だったということで、逆に読者の興味として、「本当の剛球仮面って、どんなキャラクターだったんだろう?」と思うようになったのではないかと思います。
少なくとも自分は興味が湧いていました。
そして今回、そのオリジナルの剛球仮面がホークスの先発として登場し、どんな投球をするのか興味津々です。
また、元札幌華生堂メッツの選手たちが多数登場しているとはいえ、実はまだ出てきていない、重要な選手たちがいます。
札幌メッツの本格派のエース・青木心太郎投手、水原勇気投手の後継者しかも国立玉一郎選手の娘である国立珠美投手(この人もドリームボールを投げることができます)、それから岩田鉄五郎氏の孫である岩田武司選手あたりです。
おそらく回が進めば、登場してくるのではないでしょうか。
ただ、上記の未登場キャラクターは、ひょっとしたら出ないままかも知れません。
というのも、現在ホークスの先発で出ている野手は、そのほとんどが投手経験者なので、そのままスタメン選手の中で投手をローテーションするという(漫画ならではの)展開をしてくる可能性が多いにあるからです。
もう一つ、どうしても触れなければいけない話題、それはあの武蔵坊選手が、選手としてではありませんが、ついにこのドリームトーナメント編に登場した、ということです。
登場した理由は、山田太郎選手の左肩の治療のためです。
広島戦のサヨナラランニングホームランの際に、左肩を痛めてしまったドカベン太郎選手ですが、そのままでは決勝に出場するのは無理という状況です。
その肩を、あの武蔵坊選手の奇跡の腕力・気力で、昔 岩鬼選手の母の病気を救ったときのように、治してほしいということで駆けつけてくれたのでした。
現在、その肩が治るかどうかについては全くわかっていませんが、自分の予想としては当然先発で出られるレベルになってくると思っておりますが、もう少し深読みするならば、「完治はしていないが、8回までならもつだろう」といった状態となり、それでもきっと彼は無理して9回の打席に立ち、周りがみんな無理だ、バットを振ることさえできまい、と思う中、見事に振り切ってベタにサヨナラホームラン・・・という展開が濃厚でしょうか。
もっとも、決勝は9回ではまず終わらないのではないでしょうか。
「大甲子園」で延長18回同点で翌日再試合となったあの明訓高校 vs 青田高校の名勝負のように、とんでもない長い試合になるのではないでしょうか。
なにしろ、それがドカベンシリーズ最後の試合なのですから。。
いずれにしても、まずはこの準決勝第二試合、ホークス vs ウォーリアーズの一戦の次巻での展開を楽しみにしたいと思います。