バレーというスポーツは、見ていると非常に緊張する競技だと思います。
サッカーで例えるならば、PK戦をずっとやっているような進行形態に近いので、より緊張感が増すのかもしれません。
見ている方でさえついTVの前で声を上げてしまうような緊張の連続の試合展開の中で、実際にプレーしている選手たちの精神力は想像を絶するものがあると思われます。
世界のトップクラスの選手たちになると、もちろんプレーの技術の差が試合の勝敗を決めることも多々あるとは思いますが、実力が伯仲している場合、精神的な強さが試合の勝敗を決定する大きなファクターになっているのは間違いないでしょう。
今日、全日本女子が実に32年ぶりに世界バレーでメダルを獲得したわけですが、その勝因は「精神力の成長」にあったのではないかと、今回見ていて思いました。
もちろん、技術的に彼女たちは大きく成長したのは間違いないと思います。
特にレシーブが素晴らしく、これは決まった、と瞬間的に思うような相手の厳しいアタックを見事に拾い、しかもそれを打って返すように体制を素早く作れる柔軟さは、素晴らしい成長だと思いました。
また、レフトからのアタックの決定力が格段に向上したのも大きかったと思います。結局バレーは、レフト(エース)からのアタックで得点することが基本となる競技ですから、レフトからの決定力の向上は大きかったと思います。
しかし、
そういった技術的な面以上に素晴らしかったのが、彼女たちの精神力の強さだったと思います。
例えば先日の準決勝ブラジル戦の2セット目で、世界バレー史上最長ラリーとなった33-35という長い長いセットを逆転で制するのに必要だったのは、「絶対にとる」という強い意志だったに違いありません。
今日の3位決定戦も、1セット目、3セット目を落とすという精神的に不利な展開だったのですが、見事に逆転、日本に32年ぶりのメダルをもたらしてくれたのでした。
今回、個人的に最も素晴らしかったと思うのは、あまり目立っていませんでしたが荒木キャプテンです。
彼女は、今回はキャプテンでありながら控えになっていました。
普通の人間ならば、それで腐ってしまったり、口にはしないけれども不満を抱えたまま煮え切らないプレーをしたり、また周囲のメンバーたちがキャプテンに対してちょっとなめてかかるような態度になったりいうことがあっても不思議ではないのですが、彼女の場合は全く違っていました。
控えの立場から、誰よりも声を出して選手たちをバックアップして、ピンチの時に自身が投入されるとすぐにムードを変えて豪快なプレーを見せて、流れを変えていたように見えました。
見る限り、荒木キャプテンはメンバーから全面的な信頼を得ており、控えとかスタメンとか、そういう低次元の尺度を超越したところでチームを作っていることがうかがい知れました。
柳本監督が2003年に全日本監督に就任して「オリンピックでメダルを取る」という目標を掲げてから8年、監督は真鍋監督に代わって、キャプテンは3回ほど変わって、今ついに世界レベルの大会でメダルに手が届いたわけですが、これまでの彼女らの歩んできた厳しく長かった道を考えると、涙が出そうでした。
今度はぜひ2年後のオリンピックで、メダルを取ってほしいものです。