自分はこれまでに15回以上も引っ越しをしています。
なので、賃貸物件の仲介業者さんには大変お世話になってきました。
以前は、不動産の賃貸物件探しというと、我々探す側よりも不動産業者側の方が強かったものでした。
物件の案内にはいいことしか載せず、都合の悪いようなところは空欄になっていたりその項目自体を削除したりして、誤魔化そうとしているものが多々ありました。
若くて弱そうな、いわゆる「カモ」の客に対しては、なかなか借り手のつかない不良物件を押し付けたり、お金のありそうな人には賃料の高いものしか紹介しなかったりといったことも普通に行われていたように思います。
自分の場合も、賃貸物件探しに関しては何度も嫌な思いをしてきました。
20年くらい前に、家賃4万円以下でバストイレ付の4畳半程度の部屋を探していました。
不動産屋さんにそのように伝えると、彼が最初に紹介してくれたのは月極の駐車場でした。
「この辺は、舗装なしの駐車場でも3.5万円、舗装付きだと4万円以上します。」
と、自分の探しているワンルームの物件とは何の関係もない話を散々した後で、やっと6万円以上するワンルームの物件を持ってきました。
「あの、私が探しているのは4万円以下の物件なのですが・・・」と言うと、不動産屋さんは
「だから、この辺は駐車場でさえも4万円くらいはするって言っているでしょう?駐車場なんて、専有面積2坪以下ですよ。そんな状況で10坪の部屋が6万円なんて、激安でしょう?」
・・・完全にナメられていました。それは用途が「駐車場」ということで、その需要があるからその値段なのであって、一度建ててしまったアパートは、人気のない間取りであっても、壊すだけでもかなりの費用がかかってしまうので壊すに壊せず、家賃を下げてなんとか貸すしかないといった事情を読めるわけがない、と思われていたのでしょうね。
また、こんなこともありました。
予算は月家賃11万、間取りは2LDKくらいで探している、という旨を不動産屋さんに伝えました。
すると、最初に紹介された物件は家賃34万円の、豪華な一戸建てでした。
それに対して自分がコメントを入れる隙を与えず、即座に次に家賃20万円の3LDKのマンションを紹介されました。
それに対しても、自分がコメントを入れる隙は与えられず、さらに続けて家賃18万程度の2LDKのマンションを紹介されました。またも自分のコメントを入れる隙は与えられませんでした。
そして、やっと自分の希望する予算の物件・11万台の物件を紹介してくれました。しかしそれは、「11万にしてはちょっと狭いのでは・・・」と言いたくなるような物件でしたが、おそらく不動産屋さんの狙いは、34万->20万->18万->11万と間合いを入れずに見せることで、最後の11万にお得感を植え付けようとしたものと思われます。
やり方があまりにも幼稚だったので、そこでは契約しませんでした。
こんなこともありました。
休日に私服姿で物件探しに行き、名刺も出さずに普通に「物件を探しています」と言って希望を伝えたところ、不動産屋さんは「今はこんなのしかないんですよ」と言って、ろくな物件を紹介してくれませんでした。
ところが数日後に仕事帰りにスーツ姿で「先日お伺いした○ですが、あれから新しい物件は入りましたでしょうか?」と言って名刺を出すと、条件にぴったりの物件を4つも5つも出してきてくれました。
あれは間違いなく、その数日で入った物件ではなかったと思います。
いずれにしても、当時の不動産屋さんのやり方は「そのとき強引に契約させてしまえば、後で顧客が満足しようがしまいが知ったことではない」という感じだったと思います。
うがった言い方をしてしまえば、「その物件の弱点は隠してでも、とにかく契約してしまえばこっちのもの」という考え方さえ持っていたような気がします。
しかし、今では随分事情が違っています。
今は、物件のもつ欠点は包み隠さず説明して、その代わりに家賃を抑えているとか、逆にこういう理由で家賃を高めに設定しているとか、現状をきっちり伝えてくれる傾向にあるように思います。
したがって、賃貸業者さんの仕事は「借りる方の妥協点とゆずれない点と、貸す側の設定とがぴったりはまるように仲介する」という、本来あるべき姿になっているような気がします。
もちろん、そのように物件の欠点もすべて伝えることで、契約しないで帰ってしまうお客さんもいると思いますが、長期的に見ればこの仕事のやり方は、不動産屋さん側にとってもいいことだと思います。
顧客はすべてを納得したうえで契約するわけですから、入居後のトラブルも起きにくいでしょうし、長くそこに住む可能性も高まります。長く住んでくれれば大家さんも助かるので、仲介業者さんは、その大家さんからも信頼されることになるはずです。また当然、借りた顧客の信用も勝ち取ることができますから、もしもまた別の物件を借りる、ということになった場合同じ系列の不動産屋さんを最初に訪問する可能性が高くなります。
したがって、今は賃貸物件を探す場合でも、以前に比べて嫌な思いをすることが少なくなったのではないかと思います。