これはかれこれ10年近くも前のことになりますが、自分が今の会社に入社した直後に、おそらく最初に上司から指示された仕事は、「・・・これについて、○○さんに質問しておいて」というものでした。
自分は心の中で「え?ただ質問するだけなら、何も自分にやらせなくても、今こうして話している間に直接本人に聞いた方がずっと効率的なのでは?」と思っていました。
とりあえずその時は、半信半疑のまま、言われた通りにメールで質問を投げました。
しかし、自分の質問の仕方が悪かったせいだと思いますが、回答の内容があいまいで、実際にこちらでどうしていいのかわからないようなものでした。
そこで、そのもらった回答に関連することを調べて、それに対するコメントをすることを足がかりに、改めて質問し直しました。
しかし結局、その人はその質問の内容に関する担当ではなかったことがわかり、別の人に質問は回されました。
今度の人は、「それを今明確にする必要がどこにあるのだ?」というような回答をしてきました。
入社して間もなかった自分は、何しろプロジェクトの全体像が見えていなかったので、とりあえず周囲の人たちにその「明確にする必要性」を明確にするための質問(^_^;; を繰り返し、やっとの思いで返しました。
しかしまた、こちらの期待するような回答は得られませんでした。
・・・この時、自分は理解しました。
上司が自分に「この質問をしておいて」と依頼したのは、なにも自分に「伝言ゲームの中継役をやれ」と言ったわけではなかったのです。
そうではなくて、不明瞭になっている事柄を明確にするためのコミュニケーションを開始しないさい、という意図だったのです。
特に組織が大きくなったり、実施しているプロジェクトが巨大なものだったりすると、不明瞭な部分を多々残しつつプロジェクトを進行していくことが多くなると思います。
またこれは、仕事や大きなプロジェクトだけに限ったことではなく、人生のあらゆることにおいて言えることだと思います。
実は人生において、そんなに単純に白黒はっきりつくことというのは珍しく、むしろ不明確な部分を残したまま進んでいくことの方が多いように思います。
ところが当時の自分は、仕事のなかでどんどん山積みになっていく不明確な問題に、押しつぶされそうになっていきました。
結局人間というのはそういう中途半端な物事に弱いものですから、(スッキリしないことに不快感を覚えたりしますよね、)こういう状況になると精神的に参ってしまいがちなのではないかと思います。
しかしながら、うちの会社で働いている人たちは、ほとんど全員「大量の不明確な問題」を抱えています。
にもかかわらず、精神的にテンパっている感じがほとんどなく、地に足をつけて仕事をしている人もたくさんいます。
そういう優秀な人たちに囲まれて仕事をする中で、自分もひとつ学習しました。
その「抱えている問題」を直視することを避けて、引き出しの中にしまおうとするとかえってその問題は自分の脳の中で肥大化し、余計に自分を苦しめるものです。
むしろ、その「抱えている問題」の「本当の状況」を把握することに注力すると、たとえその問題自体はまだ解決していなくても、状況がわかっているだけに安心できる場合がある、ということです。
例えば「今のプロジェクトに、これ以上予算が下りなくなったらしい」という話を聞いたとしましょう。
ここでこの問題を表面的にとらえて「ああこまった、どうしようどうしよう、まだあれもこれもしなくちゃならないのにお金がなくては何もできない・・」と脳内で展開していくと、悪循環のスパイラルにはまってしまいます。
そのようにスパイラルにはまらないためには、その問題をきっちり分析することを考えると効果があるようです。「いったいその話はどこから出たものなのかをまず確認しよう。悩むのはそれがはっきりしてからだ」とか「そもそもこのプロジェクトを達成するのに本当に必要なお金はあといくらなのか、それを計算してから考えよう」とか、とにかく問題の本質を分析していくと、本当にそれを解決するために必要なものが浮かび上がってくる場合もあると思います。少なくとも精神的に落ち着いてきます。
・・・などと言いつつも、自分の場合は、やっぱり想像以上に不明瞭な問題が山積みになると、パニックになってしまったりするのですが。。。
まだまだ、ですね。