創業と現在の規模
チェン・ポン・ジャオ(CZ)は2017年に暗号資産取引所 Binance を創設し、創業約8か月で世界最大の取引量を誇る取引所に成長しました。初期資金はイニシャル・コイン・オファリングで 1,500 万米ドルが調達されています。急速なユーザー獲得と取引高拡大が特徴です。
2023年11月に米国当局との和解が成立し、CZ は 43 億米ドル(約6,800 億円)の罰金を支払いました。その後、CEO を辞任しカリフォルニア州の刑務所で4か月間服役しました。服役中に「刑務所カウンセラー」を雇用し、出所後は経営復帰の予定がないことを表明しています。
Forbes の推計によれば、CZ の純資産は 1,100 億米ドル(約17兆円)に達し、世界で17番目の富豪となっています。2026年8月時点で保有するビットコインは約1,400 BTCで、過去12か月で25%下落し約1億米ドルに減少しています。CZ は同年に自伝『Freedom of Money』を出版し、全収益を慈善団体へ寄付する旨を記載しています。
Binance の市場シェアは約38%で、企業価値は約1,000 億米ドル(約15兆円)と見積もられています。2024年から2025年の推定売上高は160億〜170億米ドルで、Coinbase の約2.5倍の規模です。年間取引高は現物とデリバティブを合わせて30 兆米ドル超を扱い、BNBチェーン(時価総額880 億米ドル)を運営しています。2026年7月1日以降、EU 市場での新規口座開設・入金・スポット注文・ステーキングが停止され、出金は引き続き可能です。
ビットコイン供給と市場動向
ビットコインの総発行上限は21,000,000 枚で、2025年9月8日現在の採掘総量は約19,900,000 枚です。未採掘ビットコインは全供給量の約4.4%(約930,000 枚)で、最後の1枚は約2140年に採掘される見込みです。
CZ は全ビットコインの10%〜20%が永久に失われていると推定し、実効循環供給は約16,000,000〜18,000,000 枚と算出しています。オンチェーン分析では失われたビットコインは230万〜370万枚(全体の約11%〜23%)とされています。
2025年10月に史上最高値126,080米ドルを記録した後、価格は50%超下落し、2026年初頭の取引価格は約60,303米ドル(46%下落)となっています。2026年5月15日から6月3日の13日間でビットコイン現物ETFから約44億米ドルが流出し、ブラックロックのIBITでも約33億米ドルが減少しました。サム・キャラハンはこの現象を「最悪の強気相場であり、最高の弱気相場」と評価しています。
全世界の富裕層人口は約5,750 万人で、米国は約2,360 万人です。富裕層全員にビットコインを平等配分した場合、1人当たり約0.35 BTC(約2万米ドル相当)になると算出されています。Binance が保有するビットコインは2026年初頭で約2,670,000 枚であり、全世界の富裕層人口で割ると1人当たり約0.046 BTC(約2,925 米ドル)に相当します。
非流動ビットコインは14,000,000 枚超と見なされ、実質流通供給は約1,700 万枚前後です。Chainalysis の分析は、失われたコインが市場流動性を低下させ、ボラティリティに大きく影響すると指摘しています。
規制リスクと将来展望
2023年11月に CZ は米国でマネーロンダリング違反を認め、43 億米ドル超の和解金を支払い、4か月の禁錮刑を受けました。和解後に CEO を辞任し、経営復帰の意向は示していません。米国内の規制強化は暗号資産市場全体に影響を与えています。
EU の MiCA 認可が未取得のため、2026年7月1日以降 EU ユーザーは新規取引が不可となり、サービス提供が制限されています。Binance はフランス経由での認可取得を模索していますが、具体的な取得時期は公表されていません。EU 市場での制限は取引量の減少リスクを伴います。
米国のビットコイン現物ETF からは2026年上半期に約44億米ドルが流出し、金利据え置き(3.50%〜3.75%)が市場の不透明感を増幅させています。ETF の資金流出は価格下落圧力の一因となっています。
CZ はビットコインが20万米ドルに到達すると自信を示していますが、達成時期は不透明であり、規制緩和と機関投資家の参入が鍵になると指摘しています。半減期後の2026年は下落期と見られ、10月頃にサイクルボトムが来る可能性が示唆されています。失われたビットコインの減少傾向にあることが報告されており、供給減少ペースは緩やかになる可能性があります。
長期的には暗号資産を「金融版インターネット」と位置付け、伝統金融との統合を予測しています。Binance の「スーパーアプリ」戦略と BNB チェーンの安定的成長がエコシステム全体の持続可能性を支えると主張されています。これらの要素が今後の市場環境を左右すると考えられます。