税制の概要と施行の経緯
2026年5月27日にニューヨーク州議会はpied‑à‑terre税案を可決し、翌日5月28日に州知事Kathy Hochulが署名しました。
施行日は2026年7月1日で、失効日は2031年6月30日と定められています。
目的は、価値5百万ドル超の非居住第二住宅、または価値1百万ドル超の協同住宅・コンドミニアムに対し年次で追加課税し、市の財源を増やすことです。
課税対象は非居住者が所有する住宅で、1‑3戸の住宅(5‑15百万ドルは0.8%、15‑25百万ドルは1.05%、25百万ドル超は1.3%)と、1‑3百万ドルの協同住宅・コンドミニアム(4%)、3‑5百万ドルは5.25%、5百万ドル超は6.5%が適用されます。
2028年から2031年までの第2フェーズでは税率は変更されず、評価方法が「所得ベース」から「市場比較」へと転換されます。
この税は譲渡税ではなく、毎年繰り返し課される追加固定資産税として位置付けられています。
税の制度設計は州知事の提案を基にしており、市長Zohran Mamdaniが実施を開始しました。
2026年初めに市長は税の実施を開始し、動画で「郵便受箱を確認せよ」と呼び掛けました。
税は2027年度予算に組み込まれ、批判を受けた後に免除申請期限を8月末から9月18日へと延長しました。
免除申請の最終期限は9月18日と定められました。
行政実施と財政への影響
NYC財務局は約1百万件の不動産リスト(税名冊)を公開し、17,000通の課税通知を住宅所有者へ送付しました。
価値基準を満たすのは約3%、すなわち約24,000件と見積もられていますが、実際に課税対象となるのは5,000‑6,000件と推計されています。
財務局は州所得税データ等の広範な記録へアクセスし、評価に利用しています。
2026年7月24日に「補足市場価値ロール」を公開し、ほとんどの物件は課税対象外であることを示しました。
通知は2026年8月30日までに郵送され、免除申請の最終期限は9月18日と設定されました。
財務局長Richard Leeは訴訟の被告として名前が挙げられ、副報道官Matt Rauschenbachは情報提供と期限延長を発表しました。
NYC会計監査官Mark Levainの推計では、税収目標は年間5億ドルですが、実際の税収は3.4‑3.8億ドルの範囲に留まると見込まれています。
これは行動変化により約10%の減少が生じたと分析されています。
背景として、NYCの不動産市場は人口減少と家賃高騰が顕在化しており、2023年のマンハッタン平均家賃は87万円と過去最高水準です。
比較事例として、カナダ・バンクーバーが導入した空き家税が参考にされています。
バンクーバーの制度は空き住宅の減少に寄与したと報告されており、NYCの政策評価において参照されています。
バンクーバーの空き家税は2017年から2024年まで実施されました。
訴訟状況と免除手続き
2024年金曜日にStaten Island州裁判所へ提起された訴訟では、住宅所有者Simon Hedley、Rachel O’Brien、Carmine Moranoの3名が原告となり、約90万件の名簿削除、17,000通の通知無効化、課税執行停止を求めています。
原告側弁護士は元副市長のRandy Mastroで、通知の過度性と証拠責任の不当転嫁を指摘しています。
Mastro弁護士は約40%(約6,800件)の所有者が免除申請を提出または提出中であると述べました。
NYC住宅所有者団体は訴訟を通じて税実施の遅延を求めています。
団体は所有者の権利保護と手続きの透明化を主張し、行政との対話を継続しています。
団体の目的は、税の実施を遅らせることにあります。
免除の条件は、住宅が所有者本人、直系家族、または長期リース(12か月以上)のテナントの主たる居住地であることです。
必要書類は最新の連邦・州税申告書、DMV発行の身分証、公共料金請求書、リース契約書、出生・結婚証明書等です。
所有者は2026年9月18日までにDOFポータルで免除申請を行い、期限内に上訴しなければ一次判定が最終判定となります。
免除が拒否された場合は税務委員会へ上訴し、さらに司法審査が可能です。
虚偽情報の提出や分割所有による課税回避が確認された場合、課税額の最大50%に相当する罰金が科せられます。
これらの規定は税の公平性と適正な徴収を確保するために設けられています。