関税の概要と導入の背景
2025年に米国が発動した「相互関税制度」は、従来の最恵国待遇を大幅に変更するものとされています。
この制度は、米国が輸入品に対し国別に関税率を設定し、対象は鉄鋼・アルミニウム・自動車など幅広い分野に及びました。
関税率は日本向けに自動車完成車で25%、部品で15%、電子機器は30%、精密機械は20%と高水準に設定されたといわれます。
導入直後、米国株式市場だけでなく世界の株価が大幅に下落したことが報告されています。
米国政府はこの措置を貿易赤字の削減や製造業の再生を目的としたと主張しています。
日本企業への具体的な影響
帝国データバンクが実施した調査では、全国の25,111社を対象に1,427社から有効回答が得られ、回答率は41.5%でした。
調査結果によると、33.4%の企業が2025年度に減益を見込んでいると回答し、うち5%未満の軽微な減益を予想する企業は18.3%、5~10%程度の減益は12.1%、10%超の大幅減益は3.0%に上ります。
製造業では42.9%が減益予測を示し、特に輸送用機械・器具製造業では55.2%が減益と回答しています。
運輸・倉庫業や卸売業でもそれぞれ37.6%、37.0%が減益を見込んでおり、金融業でも19.5%が同様の見通しです。
増益を見込む企業はわずか0.7%で、影響がないと答えた企業は31.5%、影響が不明とした企業は34.4%に上ります。
企業の対応と今後の展望
米国向け輸出比率が高い企業ほど関税の影響が大きいとされ、トヨタ・ホンダ・日産など自動車メーカーは合計約2,800億円の追加関税負担が発生しました。
同時に、米国内での生産拡大が進んでおり、トヨタはメキシコ工場の生産能力を45万台から65万台へ、ホンダはオハイオ州工場への投資を前年比40%増の12億ドルに拡大しています。
ソニーはテキサス州に約18億ドル規模の半導体工場を建設し、パナソニックはネバダ州の電池工場に8億ドルを追加投資する計画です。
米国への直接投資は前年に比べ32.1%増加し、製造業への投資は約420億ドル、現地雇用は約18万7千人が創出される見込みです。
米国運輸省の調査では、日本企業の約67%が調達先の変更を検討または実施していると指摘されています。
これらの動きは、関税が単なる貿易障壁に留まらず、投資やサプライチェーン全体に波及していることを示唆しています。
今後、関税水準が継続すれば、ブルッキングス研究所は2030年までに対米輸出額が約25%減少すると予測しており、企業はさらなる現地生産化や第三国市場へのシフトを検討せざるを得ないでしょう。