エムズシティの誕生と開店当初の盛況

エムズシティは、1981年5月に「寿屋水俣店」としてオープンしました。

開店当日は約2600人が300メートルの列を作り、同日約3万人が入店したと記録されています。

開業時点で近隣には、1868年創業で1978年に「水俣ファミリーデパート衣屋」と改称した「衣屋」や、1920年に日本窒素肥料の消費組合として発足し1977年に売り場を拡張した生協「水光社」が存在していました。

寿屋水俣店のオープン3日間の売上は、水光社の半分にとどまったというデータも残っています。

価格競争と経営悪化の経緯

1982年、寿屋と水光社は価格競争が独占禁止法違反の不当廉売疑惑として公正取引委員会に事情聴取されました。

その後、寿屋は2001年12月に民事再生法を申請し、2002年2月に水俣店を閉店しました。

同建物と土地は2003年3月に水光社が買収し、リニューアルして「エムズシティ」と名称を変えました。

リニューアル後は、1階に西松屋とカーブス、2階にダイソー、5階にNPO法人が入居し、5階はレストランに変更されました。

しかし、エムズシティは安売り合戦によって売上が低下し、競合企業に買収された後も来客数は減少したままで、閑散状態が続きました。

また、生協水光社は老朽化のため一時閉店し、2022年12月に新店舗をオープンしたものの、エムズシティは生協との競争に敗れ、施設の約半分が閉鎖されました。

半閉鎖化の現状と要因

現在、エムズシティの建物の約半分が閉鎖されており、3階・4階・地下1階はベルトパーテーションで封鎖されています。

フードコートは全て閉鎖され、専門店エリアには多数の空き区画が残っています。

この半閉鎖化は、競合施設の存在、モータリゼーションの進展、アクセスの悪さ、動線設計ミス、施設規模の不適合、運営会社の破綻、核テナントの撤退という7つの要因に起因するとされています。

エムズシティは熊本県水俣市にあり、県境付近の国道3号沿い、徒歩圏内に水俣駅が位置しています。

同地域では、生協(コープ)などの大型店舗が進出し、価格競争を激化させました。

結果として、エムズシティは価格競争で疲弊し、買収後もテナントが埋まらず、来客数が伸び悩んだまま半閉鎖状態が続いています。

同様に、熊本県内のイオンモールでも建物の半分が閉鎖され、競合企業に買収されたものの来客が減少し、フードコートが全て閉鎖されたという事例が報告されています。

これらの事例は、地域の商業環境変化と価格競争の影響が大きいことを示しています。