生涯と学歴
利根川進さんは1939年に名古屋市で生まれ、幼少期は富山市大沢野地域で過ごしました。京都大学理学部化学科を1963年に卒業し、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で分子生物学を学び、1968年に博士号を取得しました。卒業後に渡米し、1971年にスイスのバーゼル免疫学研究所へ移籍し、1970年代を通じて抗体の遺伝子レベルでの多様性に関する研究を進めました。
抗体多様性の発見
1976年、マウスの免疫細胞が遺伝子断片を再編成して数億種類もの抗体を作り出す仕組みを発見し、遺伝子が動的に組み換わることを示す画期的な成果を発表しました。この発見はヒトの抗体が100億種類以上作られるメカニズムを解明したことにもつながり、ワクチン開発にも大きく寄与しました。
受賞と功績
1981年にマサチューセッツ工科大学の教授に就任し、同年に朝日賞を受賞、1983年にガードナー国際賞、1984年に文化勲章を授与されました。さらに、1987年に抗体多様性を生み出す遺伝子再配列の仕組みを解明した功績が認められ、日本人として初めてノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
脳科学への挑戦
ノーベル受賞後も研究を続け、2009年4月から2017年6月まで理化学研究所脳科学総合研究センターの第3代センター長を務め、記憶のメカニズム解明に挑みました。2013年にはマウスを用いて誤った記憶が形成される過程を再現し、2016年には失われた記憶を呼び起こす仕組みを実証しました。
逝去と遺産
2026年7月11日、86歳で逝去されたことが報じられました。逝去に際しては、京都大学総長の湊長博氏や理化学研究所理事長の五神真氏が弔辞を発表し、葬儀は近親者のみで執り行われました。利根川進さんの研究は免疫学から脳科学まで幅広く影響を与え、次世代の科学者育成への情熱も高く評価されています。