ご訪問ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。 | まいどーおおきに 河内の樹々の独り言
一年の締めくくりに思う

年頭に今年こそはといくつかの計画を立てた。
しかしあと一日で新しい年を迎えようとしているが、頭の中で描いた事や、メモ帳に書き留めた事などほとんど成し遂げていない。
年が明けるとまた例年のごとく計画なるものを思い描き、成し遂げられない事をメモ書きするのだろう。

ブログネタに関しては、“旅” “木版画” “物語”の三つとその他の項目に分けているが、二つの項目にまたがっているブログもある。

その中で旅の日記を整理していた時に見つけた文章を紹介しておく。

湯治の宿に来て六日目、原稿用紙の前で固まってしまい筆が進まない。
それではと、川端康成著 【眠れる美女】の文庫本を開いてみた。
この文庫本は、

新潮社 新潮文庫 定価90円
昭和四十二年十一月二十日印刷、
昭和四十二年十一月二十五日発行

たぶん初版本であろう
この本は私が20歳の頃購入したので、かれこれ五十数年のお付き合いになる。本の周りは手垢で汚れ赤茶けている、頁を捲ると更紙特有の匂いがする。この匂いが私を物語の中に引きずり込む。
一気に百頁をを読み終えた。この集中力は何処に隠れていたのだろうか?

【眠れる美女・その一】を読み終える頃には、私が‘江口老人’になったような感覚を覚える。
老人と少女の一夜、枯れ果てた「老人の性」は好奇心の他は何も無い。
しかし‘性’への願望は永遠の物である。

ここ久しく純文学は元気が無くなり、本屋の店頭に山積みされた新刊本にはうんざりさせられる。タレント、有名人の著書には(ゴーストライター)の影が感じられる。
一度大賞をとった作家の、次々と出版されるハードカバー・・・
その一つの作品を図書館に出向いて読んでみたのだが、脈絡がなく面白くない。次に刊行された本も店頭で品切れになったと聞く。
かーるい乗りで書いたら次々売れる、出版社の思惑どおり、商業主義のお手本である。

話しはずいぶん遠回りしてしまった。

山中の秘湯に籠り、ひたすら“桝目”に向かい、疲れば、温泉に浸かる。
「老人の性」をテーマに深く、重たく、奈落の底まで落ちる、練りに練ってねばねばと糸を引くような作品を書きたい。

年が明けて命あらば、旅の回顧録、木版画、物語等ブログにアップしていきますので、よろしくお願いいたします。      樹々