17日は、カルナバケーションのレコ発ライヴで汐留の”BLUE MOOD"へ。

 米米クラブ、クレイジーケン・バンド、氣志團など、エンタテインメント系のバンドはいろいろあったが、ラテン、ブラジル音楽をベースにしたバンドではたぶん”日本初”じゃないか。そんな彼らのライブは、間に休憩もあったが2部構成、3時間強となかなか凄いものだった。

 見終わって、思ったのは
「音楽って、楽しいもんだなあ」という、なんともシンプルなこと。

 でも、30年以上音楽業界に身を置く僕みたいな輩は、どうしてもライブを客観的に見る習性が身に染み付いてしまっていて、実は一番”音楽のありがたみ”を忘れがちな人種でもある。だから、そういう感想を持つことはほんとめずらしい。

 じゃあ、どこが良かったのだろう?

 まずは、リズムが多彩で豊かだ。ラテン、サンバだけじゃなくファンクやロック、メロウ・グルーヴ、歌謡など、リズムのバリエーションががこんなに多様なバンドは見たことがない。

 そして、曲が、ちゃんと日本のポップスの歴史の流れを感じさせる王道な作りになっている。コミカルでベタな感じを装いながら、さりげなく80年代JPOPの、”洒落た”コード感、アレンジが垣間見えるところもある。

 ジャンルの幅が広いのにわかりやすい、というのはサザンに近いところかもしれない。

 歌声はいろんな人の意見を総合すると、チューブの前田とポルノの岡野をまぜた感じ、高音をしゃくるときにB’z稲葉が一瞬だけ現れる、といった感じ。いまバンドの男ボーカルといえばハイトーンでナイーヴな声が主流なのでこういう声はまたレアだ。

 でもやっぱり一番の魅力は、バンドの持つ”なんだかいいムード”かもしれない。10人近い大所帯のバンドなのに大学のサークルから10年も休まずに続いていて、リハを欠かしたことがないという、半端ない練習量でかつ毎回無茶苦茶楽しそうに演奏している。この日のライブも、ただ上手いだけじゃなく、バンドの”息の合い方”が尋常じゃなかった。

 日本のブラジル音楽シーンやかなり限定されたライブハウスに棲息していたために、業界の大人たちに発見されず、幸いにも下手にいじられることもなかったので、他に類のない、めずらしいバンドに成長を遂げていたわけだ。

 僕の印象をまとめるなら、
 ”群馬県大泉のブラジル・タウンに行ったら、無茶苦茶美味しい「ラーメン屋」を見つけた(?)"
そんな感じだろうか。

 とにかく一度ライブを見て欲しいバンドだ。






 

 


 

 



 
 以前に一度紹介した、僕の個人的な”推しバンド”カルナバケーションが先月、初めてのアルバムを、しかも2枚同時リリースした。しかも、彼らの自主制作だ。

 カンタス村田とサンバ・マシーンズというバンド名で始めて、今年ちょうど10年目ということで、一つの集大成的な意味合いもあるのだろう。

 なので、アルバム・タイトルもバンド名の元になっている「Carnival」と「Vacation」になっている。

 ラテン・ブラジル音楽をバックボーンにして、エンターテイメント性の高いコミカルな歌をメインのレパートリーにしている彼らだが、こうやってまとめて聴いてみると、音楽性は実に多彩だ。ファンク、R&B、歌謡曲、王道J-POPなどなど、ここまで音楽性の幅の広いバンドは最近聴いたことがない。しかも全曲徹底してわかりやすい。とっつきやすい。それこそ、かつてのサザンを彷彿させるところがある。

 こんなに明快で楽しい音楽なのに、メンバーの習性(?)なのか、ちょっとコアなシーンや限定したライブハウスでのみ活動してきたので、広く聴かれる機会がなかったようだ。”出るとこに出れば”結構ウケそうな感じはするんだけどなあ。

 僕が個人的に好きなのは「Vacation」の2曲めの「哀しい口笛」。達郎、サザンが好きな人は是非。




 この邦題は、あんまりだ、、、CDを手にするたびに思う。フランク・ウェーバーのセカンド・アルバムのことだ。原題は単に「Frank Weber」。セルフ・タイトルだった。

 確かに彼は当時ビリー・ジョエルの対抗馬だったようだ。当時の担当者も安易な気持ちじゃなく、「ストレンジャー」と「ニューヨーク52番街」を買った、数十万もの日本のビリー・ジョエル・ファンの何%かでも聴いてくれれば、という切実な気持ちでつけたのかもしれない。収録曲には”stranger”という言葉も確かに出てくる。実際、興味本位で買ってしまったビリー・ファンもひょっとしたらいたのかもしれない。
 (僕もソニーミュージックの洋楽部にいた頃、売れていないアーティストに限って、嬉々として随分乱暴な邦題をつけていたので、それを悔やむ気持ちも湧き上がってくるのだが)

 だけど、、。


 僕はフランク・ウェーバーのファースト「AS THE TIME FLIES」を偏愛する人間なのだが、彼に会ったこともあって久しぶりにセカンドを聴きたくなってCDを引っ張り出してきた。

 気持ち良く晴れた日やドライブ・ミュージックとして聴くには、ファーストよりこっちがいいだろう。


「すごくいいんだけど、なんか地味なんだよね」

 ファーストの売り上げが思わしくなかったことをうけて、スタッフの誰かがきっとそう言ったのじゃないか。セカンドは一変してノリのいい曲が多くなった。イーグルスの名バラード「Take It To The Limit」を思い切りグルーヴィーにした意表つくカバーでこのアルバムは始まる。アメリカ西海岸、最大のロック・グループの曲を東海岸、NYのピアノマンがカバーするという妙味がすごくよく出ている。

 全体的にリズム重視のアルバムだが、彼らしいバラード「 ONLY FOR TONIGHT」もすごく良くて、悪くないなセカンドも、と思い直した。

 しかし、このアルバムには入っている「You Can Come Home to Me」がアダルト・コンテポラリー・チャートにちょっと入った以外は、ファースト、セカンド共にチャートのリアクションはなかったみたいで、後年ささやかながら彼を”再発見”した日本の音楽ファンのセンスというのはなかなかなものじゃないか、と思った。