日頃の岸田首相の国会答弁。

これまで、首相答弁の中でこれほどわかりにくい言葉で話す答弁に出会った記憶がない。説明文の骨子である「5W1H」どころか1W「What 」でさえおぼつかない。いつも通り、議論の進展もなく時間切れとなり、岸田首相お決まりの「様々な~」で答弁が締めくくられる。無回答のまま繰り返される答弁、質疑者のいら立ちと失望がよく分かる。

 

それにしても、この”様々な”という言葉は事案そのものを曖昧にする点で岸田首相にとって便利で使い勝手がいいのかもしれない。

国会議員にとっての議論力は国会議員のクオリティそのものであるはず。”質疑者に対処”するだけの議論では肝心の国民への説明もおろそかになる。答弁に求められるのは国民との信頼関係を裏切らないことに尽きる。

 果たして岸田首相と国民との信頼関係はあるのだろうか?

言うまでもなく、答えは「NO 」である。 

 

5月3日。憲法記念日。

いつものように定番の憲法改正についての首相メッセージ。

3日、KYODO配信。「首相、改憲『党派超えて議論を』 先送りできない重要問題と訴え」の記事。

 *記事から岸田首相のメッセージ抜粋。

「社会が大きく変化し、憲法改正はますます先送りのできない重要課題となった」と述べ、改憲の必要性を訴えた。さらに自民派閥の裏金事件を改めて陳謝したうえで「信頼回復のためにも政治改革と併せて、憲法改正にについて党派を超えて連携しながら、真摯に議論を行う」と強調。

 

自民党の信頼回復と政治改革のための憲法改正?!!!

改めて言うまでもなく、

裏金も政治改革も自民党の自民党による裏金事件であり政治改革は自民党の問題である。

 政治的「自律」ができないまま20年。自民党派閥の裏金事件と政治改革まで織り込み憲法改正に滑り込ませる。「党派を超えて」という言葉はこの時のためにあるのではない。だんだん腹が立ってくる。実際、岸田首相は憲法条文の何が不足で先送りできない条項と捉えているのだろうか?本当に憲法を理解しているのかさえ疑わしい。

 

4月28日の朝日新聞、朝刊。鷲田清一氏の「折々の言葉」が目に留まる。

先日、4月18日の憲法審査会での石破氏の言葉とも重なる。

「コンセンサスによって意思決定する社会では、採決は最悪の選択になる」松村圭一郎氏による。

「多数決よりも高度な政治的技量」「対立を煽らない思慮深さ」ー『人類学者のレンズ』から。

どの言葉も含蓄に富み考えさせる。

 

民主的ルールさえ身についていると思えない政治家。

せめて国民は流されずしっかりと自分の頭で考えることが必要になってくる・・・次世代のためにも。