今一つ、分からない。

腰の周りに最新モデルの兵器をジャラジャラ装備したところで防衛についてわが国独自のポリシー、深い知識に基ずく知恵が無ければ所詮それは小国の虚勢、あるいは、もっと言えば「虎の威を借る狐」の類になるのではないか。

 

今回のG7の5か国訪問で岸田首相は何を訴えてきたのか?中国を除く国々の連帯を求めたそうだが、わざわざ分断を強調する外交の為に各国を回ったのか?

防衛とは力ばかりではなく付随する知恵、知性の裏付けが無ければ、隣国の軍拡のチキンレースにのみ込まれてしまう。米国に防衛装備とも依存することで得られるメリットとは?根本的な疑問が解けない状況で増税を打ち出し、国民に理解を求めることなどできるはずがない。

 

1月15日、TBSNEWS DIG 配信。【速報】岸田総理、❝防衛増税❞の議論「自民党の伝統を背負う決定」…の見出し。

 G7の5か国訪問を終えた岸田総理は、会見で「侃々諤々の議論を行ったうえで一つの結論をしっかりまとめていくのが責任政党、自民党の伝統だ。今回もその伝統を背負った決定ができたと思っていると、昨年末の与党内の議論を振り返り感想を述べたという。

また、

野党との活発な国会論戦を通じて防衛力の強化の内容、予算、財源について国民への説明を徹底していきたいとの意欲を示したという。

 

つまるところ、与党内で喧々諤々の議論をしようが所詮同じ方向を向いた議論にしか過ぎず、国の安全保障の大転換ともいうべき重要事項を、野党どころか国民への報告は後回しというのであれば民主主義国家を名のる資格がない。後付で国会論戦といっても岸田総理の聞いた振りだけのレベルの低い議論では時間切れとなるのがオチではないか。

是非とも岸田首相に問いたいのは、根本的問題として日本の地政学的状況把握、沖縄本土についての懸念事項の明確化。防衛装備を丸ごと米国に依存することのリスクなど・・・くれぐれも防衛装備さえ整えば安全保障上万全であるかのようなポーズで国民を欺くことはないように。

 

+++3年前に、「日本の安全保障政策とは何か」というブログを書いた。長くなるがここに再発信したいと思う。

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「日本の安全保障政策とは何か」2020年1月14日のブログより

トランプの一言で他国の気に喰わない人間がピンポイントで殺害される。そんな国との安全保障を金科玉条のように追随するだけの日本の行く末を考えると寒々しくなる。

 

自衛隊派遣が、防衛省設置法とやらで「調査・研究」を目的に閣議決定だけで派遣される。この決定理由も米国主導の有志連合に参加しない代わりに派遣を決めたという。そして、中東情勢が激変した今、いや、今だからこそ米国の顔を立てて、装備、法的な対応も含めおぼつかない自衛隊派遣を遂行しなければならなくなっている。安倍総理が中東訪問で果たす役割についてよく言われているのは、「トランプと親しい安倍総理の役割として、イランと米国の間に立ち仲介役に努めるべきだ」というもの。

 本当にそう考えているのであれば、義理で自衛隊派遣などしない。正々堂々と「調査・研究」について国会で訴え、委員会で野党の質問に説明にならない説明を繰り返すことも無いはずだ。

 

わが国は、過去、現在を通じて自前の安全保障政策というものがあっただろうか?

 

この問いに、必ず帰ってくる答えは、日米を基軸とした安全保障である。この条約について、私たち、国民は本当のところ理解しているのだろうか?5,6年ほど前、安倍総理も、防衛政策に詳しいとされる政治家でさえ、アメリカの兵隊が血を流しても日本の若者は血を流さない。あるいはつい最近もトランプ大統領が、「日本が軍事攻撃された場合、アメリカは第3次世界大戦を戦うことになるだろう。だが、アメリカが攻撃された場合、日本はソニーテレビでそれを見ている」と述べたという。このトランプ氏の言葉は、日本の政治家が不用意に言った言葉からトランプ流にアレンジしたのではないかと思っている。

  特に、「アメリカの兵隊の血、、、云々」は、特に日本の若者に、安全保障が片務的であるというイメージだけが植えつけられたと言ってよいと思う。米国に追随するあまり条約の中身を誇張して伝えた政治家、あるいはメディアの責任は重い。

 

条約を理解し、条約における解釈は時代によって変化することも理解したうえで、日本独自の安全保障政策についての経験値をより深化させていくことが必要だと思う。

その場その場の米国に対する対応にふりまわされ米国のご機嫌取りに費やされるのであれば、日本の安全保障政策はいつもゼロ地点でとどまり、問題の対処だけで消耗する。

消耗的な対応を、「現実的な対応」と勘違いする政治家が多い事も現実であるが・・・

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