立憲民主の基本理念(綱領)の土台は、日本国憲法が掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という点で、自公は勿論、すべての野党、維新、国民民主とも共有する理念である、、、と信じている。しかし、改憲へのスタンスは改憲勢力とされる維新、国民民主と立憲とは自ずと違うのは当然だと思われるが、これら2党は、立憲のスタンスについて「改憲の議論もしない立憲」として批判している。9日の参院代表質問で立憲・小西氏がこの憲法問題に触れ、「国民にとって真に必要な憲法論議ならばそれを行う用意がある」と述べている。岸田総理の答弁では、「国会の議論と国民の理解は車の両輪であり、広く国民の議論を喚起し理解を深めていくことが重要」と答えているが、国会議員が国民に理解を求める構図は、決して車の両輪ではない。ここ数年で国会の機能は失われ、総理はじめ、まともな議論ができる国会議員はどれほどいるのだろうか。憲法53条、総議員の四分の一以上の要求で開かれるはずの国会の召集さえ安倍政権から何度も破られた。このような議員を選んだ国民に責任の一端はあっても政治があまりにも劣化している。国会議員の質の低下も。

 今回の文通費問題においてこれらの政治家の質の低下が裏付けられたように思う。事実に基づく議論よりもイメージが先行し、相手を叩くことで日頃のうっぷんを晴らす。しかも国会議員が主導した結果である。このコロナ下、このような現象がよく見られるようになった。透けて見えるのは、ポピュリズム。いわゆる一般受けしやすいストーリーを政党が提供し政党の後ろ盾によってますますフエイクが幅を利かす。

ホントに、政党も国民もおかしくなっている。

 

茹で蛙の状態ともいうべき昨今。

様々な政治とカネが横行し、時に法務大臣まで。森友、加計、桜で地縁血縁は言うに及ばず、国民の税の行方がうやむやにされ国会審議まで時の総理が嘘を重ねる。それを批判する野党にむしろ批判の矛先が向く。茹でられ途中で何度も冷や水をかけてくれるな、という事なのかもしれない。

文通費で国民の味方かのように振る舞い税の無駄遣いを言い立てても肝心の時には疑似冬眠状態だった政党。これから諸悪の根源に目をつむることなくきちんと批判ができるかは疑わしい。茹でガエル状態から抜け出す勇気?が果たしてあるかどうか?口だけ番長(古~い言い方)が幅を利かしている間は民主主義の果実は望めない。

 

9日、参院本会議での立憲民主・小西洋介氏の代表質問。

テレビの前で思わず手を叩いてしまった。やっと、立憲らしい主張が聴けたことに思わず手を叩き、「いいぞ!」と叫んでしまった。

 

新型コロナウイルス感染症対策、新しい資本主義、子供政策、災害対策、外交・安全保障、政治改革、憲法問題など様々な問題について述べる中、政治改革の中で、小西氏が触れたのは、自主返納に関する維新の一部政治家等の誤った主張についてで、小西氏はこうした苦言は代表質問の場で述べるような事ではないと断りつつ、根本問題として“ポピュリズム”についての見解を語った。

「日本政治がポピュリズムに陥ることを阻止しなければならない。戦前の教訓を筆頭にポピュリズムほど国民の皆さんに最大の不幸をもたらすものが無い。私たちは、堂々たる民主主義を守らなければならない、そうした信念で皆さまに申し上げさせていただいた」と述べた。

そして、

さらに、印象的だった言葉として、

「安保法制以降、日本政府の法の支配が完全に崩壊している。子供たちにまともな民主主義を取り戻さなければなりません。まともな民主主義の元でなければ、正しい命の尊厳を信念と執念を持って救う正しい政策は実現できません。そうでなければ、私たち国権の最高機関、立法府の責任を果たすことができません。どうか良識の府の議場に集う先輩、同僚の皆さまにどうかこれからの時代、この8年間の安倍政権と、一年間の菅政権、そして今、始まっている岸田内閣、残念ながら法の支配と立憲主義の否定は続いています。これを再生して、その同じ土俵の下で堂々と政策議論をして国民の皆様のための政策を実現していく。その立法府を取り戻すための取り組みを皆様にお願いしたいと思います」

 

代表質問の最後に小西氏は立憲の理念を語っている。

「私たち立憲民主党は子供たちにまともな民主主義を取り戻し、命と暮らしを守る政策を実現する新しい政治を作る、その決意を申し上げて私の代表質問を終了させていただきます」。

 

コロナで貴重な子供時代をのびのびと過ごせなかった、、、あるいはせっかく受かった大学で友達と語らう事も出来なかった、せめてこれらの子供たちが安心して暮らせる社会の実現に政治の力を発揮してほしい。地球温暖化、気候変動、これからの子供たちの未来は私たちが経験したことのないような時代に直面する。

今、米中の対立軸は民主主義。せめて、日本は日本国憲法の3原則、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を基調とする、まっとうな民主主義社会の実現を目指し続けてほしい。