クラブのビジョンは誰が決めるのか | 我らが徳島ヴォルティスと共に

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新監督となり、来季に向けたクラブが実質的にスタートした形となった。長島新監督の就任会見で、目指すサッカーについての言葉があった。コレクティブで攻守にアグレッシブな、切り替えの早いサッカー」とのこと。ただ、これを見て少しばかり違和感があった。


そもそも、クラブのビジョンは監督が決める事では無い。クラブが、強化部がどういったチームにしたいのか方向性を決め、それに合った人選を行い監督を決めるのが本来の姿だ。そのビジョンに長島新監督がマッチしたからこその人選であれば、小林元監督の後押しがあったという話は聞こえてこないだろう。ただこの場合、質問者が長島新監督に向けて質問しそれに答えた形だろうが、そもそもそこもおかしい。


小林前監督の推し進めたサッカーは何だったのか。それがクラブのビジョンに従った形だったのか。その後任である長島新監督は内部昇格という形だ。その背景にあるものはなんなのか。同じ道を進むのか、そうでは無く全く違うサッカーを見せてくれるのか。いずれにせよ、クラブがどういったチームにしたいのかを説明しなければ、クラブ主導のチームとは言えない。このクラブにはビジョンがあるとは思えない。

クラブが、強化部が監督を決め、その監督が自身の思い描くチーム象に当てはまる選手を強化部に伝える。それではいけない。監督のビジョンがクラブのビジョンではいけない。そうなれば、クラブの方向性は監督が替わる度に二転三転する。クラブが掲げるビジョンこそが重要で、それを理解した監督がチームで機能するであろう選手のスタイルを提示する。その形に合ったタイプの選手を強化部が探すのだ。それには強化部が有能で無ければならない。同じタイプであっても能力は選手個人で大きく違うからだ。クラブのビジョンと監督の意向を理解し、有能な選手を獲得する手腕が必要だ。徳島の強化部にそれはあるだろうか。


そもそも、強化部からは将来の目標であったりビジョンは聞かれただろうか。J1を目指すなどといった当たり前の言葉などは聞き飽きた。そうではなく主導権を持ち、毅然とした対応を現場サイドに指示する事も強化部には求められる。今の強化部にそれだけの力と権限があるとは思えないが、そうでなければクラブとして何も変わらない。強化部が監督の舎弟では話にならない。


これは一個人の勝手な見解ではあるが、徳島で守備的サッカーは受け入れられない。徳島が一喜一憂し、湧いた時代がある。それは蔦監督率いる池田高校の全盛期だ。攻撃に重点を置き、取られたら取り返す。取られる以上に点を取る超攻撃的な野球で徳島県民の心を鷲掴みにした。


徳島のサッカーもそうあるべきだと思う。徳島のホームであるポカリスエットスタジアム。ホームのサポーターで満員になった事は無い。特に守備的なサッカーを見飽きたという声は多く、観客動員数は減る一方だ。勝つ事でも観客は増えるだろう。だが、それだけではダメだ。例え負けても常に得点を奪いに行くスタイルがあれば、それだけでワクワク感は止まらない。先制点を取られたら、更に攻撃力の増すようなチームであれば、試合の最後まで席を立つ人はいないだろう。先制点を取られたら終わりでは話にならない。1点を守り切るサッカーを楽しむといったスタイルでは観客は呼べない。


観客動員数は少なからずチームのモチベーションにも現れる。いや、大きく影響するだろう。昨年、徳島はJ1に挑戦した。残念ながらホーム開催で勝利は無かった。なぜ未勝利に終わったのか。それはスタジアムの雰囲気にも大きく影響されていたのでは無いだろうか。J1という場所において、対戦するチームは鹿島や浦和などホームゲームを満員にできるクラブと多く当たる。つまり、数万人の観客の見守るアウェイでのゲームこそJ1という雰囲気を味わえ、選手達も高揚してゲームに望めたのでは無いだろうか。そのアウェイの雰囲気と比べれば5000人足らずのホームゲームは練習試合のような静けさにさえ感じただろう。プロである以上、そんな事に関係なく全力を尽くすのは当然の事ではあるが、人間である以上、試合に入るモチベーションの違いは少なからずあって当然だ。


ただ、その状況はサポーターが声を出せば良いといった話では無く、そもそもの観客数動員数の違いに大きく影響される。満員のスタジアムであれば、プレーの一つ一つにスタジアムは自然と沸く。つまり、何よりもクラブに必要なのはスタジアムを満杯にするための努力と方向性だ。その一つとして、チームの戦うスタイルを課題として考えてみたのだ。


徳島ヴォルティスというクラブは大塚製薬という大企業に良くも悪くも影響されている。例え、クラブが進みたい道を掲げたとしても、大塚が乗り気で無ければ達成できない。実際に、大塚が本気で取り組めば超大型補強など容易い事だ。徳島から世界へ羽ばたくというビジョンを打ち出し、それをクラブから大塚へ示し説得することも必要では無いか。ただ、それを聞き入れるだけの扉が開かれていなければ話にもならないが。大塚製薬はサッカーよりも野球がお好きと見える。

まだまだ徳島には課題が多い。クラブに置ける広報活動や、強化部や選手監督の現場サイド、更にはサポーターにも課題はある。だがやはり、スタジアムへまた行きたいと、負けても次は勝つぞと思えるチーム造りを明確に打ち出して欲しい。その根源を担うのは強化部という重要なポジションであると思う。強化部にこそ能力のある人材を置き、結果が出なければそれなりの責任を負わせるだけの毅然とした対応がクラブには必要だ。

これからの時期、契約満了や移籍などのリリースが入ってくる事だろう。来季のチームスタイルがどのようになるのか。若返りを図り、数年先を見据えたチーム造りとなるのか。即戦力を重点に置き、自動昇格を狙えるチームにするのか。強化部のお手並み拝見と言ったところか。
 
 
 
今日、斉藤選手の契約満了のリリースがあった。この時期での発表は、まだ現役に拘るという事なのだろう。納得のいく限り挑戦し続けて欲しい。斉藤選手、ご苦労様でした。今後の活躍をお祈りいたしております。