ある人に、私が軽く指摘した時、その人が、ものすごく恐い形相で私を睨んだ。
その場は、お互いのスキル向上のための場であり、あえて、相手の不足している点を指摘し合う場であったから、私は、その前置きをした上で指摘をしたのに、そのように、鬼の形相で睨まれたので、驚いたし、その原因が分からず、困惑した。
後日、原因が分かった。
その人は、人生に、とても大きな悔しさを抱えていたのだ。
その人は、元々、キャリアウーマンとして、バリバリ仕事をしていた。
その後、結婚、出産を機に、会社をやめた。
その後、同じ業界の会社に入ったのだが、以前と同じレベルの仕事を任せてもらえず、とても悔しい想いをしている。
そのような気持ちの人に、私が指摘したことで、その人の心に、悔しさ、怒り、やるせなさの炎が燃え盛ったのだ。
その炎が、鬼の形相になったのだ。
人の心の底には、マグマのような、また時には氷河のような、外見からは分からない底流が渦巻いている。
人と分かり合う上で、相手の心の奥底に流れる底流を理解することは、とても大切なことだと思う。
離婚されてしまった元妻は、自己肯定感の低さ、自信の無さを自分で自覚して、私にもそのことを話していた。
元妻の心の奥底には、とても繊細な底流が流れていた。
しかし、私は、自分の不安や恐れでいっぱいで、妻のそうした繊細な心の底流に配慮することを怠っていた。
自分優先であった。
だから、自分のストレスを、妻にモラハラという形でぶつけて、妻を追い詰めてしまった。
人に何か言う時には、外見だけでなく、心の奥底に流れる底流に配慮するようにしたい。