調布空港を飛び立つと、眼下に市街地が広がります。
(旋回しながら高度を上げる。)
無事に出発できて、ようやく一息つけた。
離陸の瞬間って、
何度経験してもなかなか慣れないんですよ。
滑走路を走り出しスピードが増すにつれ
徐々に高まる緊張感は、
タイヤが地面を離れる瞬間にピークを迎えます。
無意識ですが、
けっこう強めに握りこぶしを作っているもんだから、
手のひらが汗でじっとり。
平静を装い、表には出さず、
毎回ひそかに不安と闘っています(苦笑。
(座席は全部で19席。)
客室はこんな感じで、まぁコンパクト。
通路を挟んでシートが2列に並び、
最後部にのみ横一列の3席があって、そこに、
家族3人で座らせてもらえました。
(地面には雲の影。)
プロペラ機だから、ですね。
高度が低くて、街並みがよく見えるんです。
電車や車の走る様子をうかがえて、
現実なのにジオラマのよう。
5歳の息子も、窓から見える景色に夢中でした。
(彼方に水平線。)
この日は本当に天気がよかった。
東京から神奈川上空を経て相模湾に達すると、
三浦半島と、
夏の青い海が現れました。
窓のふちに肘をのせて頬杖をつき、
景色を眺めつづけます。
地形を俯瞰する機会なんて、普段はないですもんね。
飽きることはありません。
…。
…とは言いつつも。
陸地と違って海面には変化が少ないので、
さすがにちょっと退屈してきた。
そんな、集中力が切れてきたタイミングで、
ちょうどよく、伊豆諸島の上空を通過しました。
(伊豆大島を雲が覆う。)
大島は、スッポリと雲に隠れていましたが、
利島はバッチリ。
(まるで秘密基地。)
サンダーバードが発進しそうだ(笑。
(お次は新島。)
遠くに三宅島、さらにその奥には御蔵島が見えます。
次は式根島だな、とカメラを構えていると、
耳が痛いと訴える息子の声。
そういえば、まだ耳抜きの経験がなかった。
あくびや唾を飲みこむ対処法を教えようとしましたが
上手くいきません。
気持ち悪さが先に立って、試すことが出来ないよう。
そりゃそうだ。
苦しんでいる最中に、
経験したことがない新しい行動をとる余裕なんて、
大人にもないですもんね。
大丈夫かな。
これがトラウマになって欲しくはない。
と、つい大げさな心配をしてしまいましたが、
杞憂でした。
復路も同じ飛行機だったのですが、
子供の適応力は、
大人の想像を軽々と越えていきましたよ(笑。
(40分間はあっという間。)
ふて寝する息子の背中をさすりながら外に目を向けると、
すぐそこに神津島がありました。