オサマ・ビン・ラデンの最期の隠れ家
マルタの本屋で私は驚くべき記事が掲載されている本（本名は後記）を買った。
その表紙には，オサマ・ビン・ラデン（以下，OBL)殺害の作戦を見守るホワイトハウスに集まった米国首脳たちの，厳しい表情の写真が大きく載っていた。作戦は一部始終中継されていたのだ。
OBLへの襲撃は「ネプチューンの槍」作戦として実施された。
その追跡は執拗で，OBLがTORA BORAからの脱出後，パキスタンのペシャワールへ，すぐにアルカイダにより守られるスワット・バレーに場所を移したことが知られている。その後，イスラマバードの北アボッタバード市にある特別な造りの隠れ家に移動した。隠れ家の近くにはパキスタン国の軍官学校があり，市の官庁近くの中心地である。2011年当時は現在ほど家屋が密集していない。
隠れ家の位置は，OBLがアルカイダへの通信に使用した急使の同定と，急使が使用する携帯電話などの通信の傍受と追跡から確定され，作戦が実施された。
アボッタバードはイスラマバードの北
隠れ家を建てる前 2011年当時の隠れ家
アボッタバードの隠れ家の位置（Google Map）
右上にミリタリー・アカデミー，直近に市役所がある。
2011年時は，現在のように街区が密集していなかった。
現在の隠れ家の跡地（Google Mapに記述があり本物らしい）
襲撃された隠れ家の写真
襲撃された隠れ家の説明図
以下は，記事にある「ネプチューンの槍」作戦の概要説明である。拙い訳で誤訳が多いと思われるがお許し願いたい。
【見出】「ネプチューンの槍」作戦 アボッタバード，パキスタン
そのミッションを達成するために，SEALSチームの「赤中隊」から選別されたベテランシールズの１グループが，マクラ―ベン海軍大将によって選ばれた。
シールズは，その作戦が殺人のミッションであることをハッキリ認識していて，ビンラディンはその襲撃で彼の両手が付いて全く降伏しないならば撃たれるだろう。
空母 カール・ビンソン
【本文】
ビンラディンの隠れ家に達するためには，シールズはパキスタンの空域を特殊化されたステルスヘリコプターブラックホーク（MH-Xと呼ばれる）で飛行して通過することになろう。
敵のレーダーを見つからないように飛ぶことは可能であるとはいえ，ヘリコプターで行くのはある程度不安定であり，飛行は困難である。
各ヘリコプターはミッションに選ばれた23名から１ダースの要員と1名のCIA確認者，１匹のカイロという戦闘犬を運ぶであろう。
2011年4月1日真夜中前丁度，これらのヘリコプターとサポートしているチヌーク大型ヘリコプター（CH47）はジャララバードを離陸し，アボッタバードに向かった。
ヘリコプターでの接近時，電子戦の網をもつことは，シールズが真っ暗闇でアドバンテージを持つことになる。
OBLの隠れ家の中に早くロープを送るシールズがホバーを試みている時，１機のブラックホークに特異で危険なトラブルが発生した。’settling with power’とよばれるもので，ローターがボルテックス・リング・システムに巻き込まれたときに発生し、揚力が極めて減少し，自力で機体を上に上昇させることはできない。
そのMH-Xsが隠れ家の壁の内側にハードランディングするような災害から，ミッションを救ったのはパイロットの技術だけだった。過去のミッションで同様なクラッシュを経験しているので，シールズたちがヘリを上昇させミッションを続行した。
戦闘員は各ゲートを吹き飛ばし抵抗を最小にし素早く沈黙させながら，隠れ家を掃除した。
あるチームが，CIAがビンラディンが見つかるであろうと示した母屋の最上階に注意深く移動した時，ドア側から出た頭に照準を合わせた。そのシールはアサルトライフルHK416カービンから2発の弾丸を撃った，そしてその頭は消えた。
部屋をクリーニングをしたその時，OBLの左目を貫通した弾と一緒に床にビンラディンが発見された。
シールズが急いで情報のために探索を始めたので，そのニュースはジャジャラバードでラジオ放送された。ペンタゴンとホワイトハウスのシチュエーションルーム（ジェロニモEKIA)には，CIAのOBLに対するコードネームを使いながら（戦闘行動で敵を殺した）ことを伝えた。
結局10年の追跡探査はパキスタンの地で僅か38分の作戦で終わった。
彼の遺体はシールズとともにパキスタンから持ち出され，空母カールビンソンに運ばれる前に，戦闘員によって抽出されたDNAサンプルにより公式にOBLと同定された。
彼はサウジアラビアは彼の遺体を引き取らないので海に葬られるようになるであろう。
（別な文には神格化されないように海に葬ったとある）
オバマ大統領は，今日合衆国が実行したある作戦がアルカイダのリーダーオサマ・ビン・ラディンを殺害したことをアメリカ国民と世界に報告することが出来る。
近代の歴史上最大の人狩りが最終的に終わった。
9/11事件を計画したオサマ・ビン・ラデンは死んだ。
詳細は，出典の「SPIES＆SECRET WAR 副題THE UNTOLD HISTORY OF ESPIONAGE」（PP.104～111，20ユーロ弱）
の記事なので，興味がある方は購読してみたらどうかと思う。
おわり