朝鮮海峡(KOREA STRAIT)

 

エミレーツ航空(アラブ首長連邦)の成田・ドバイ路線のA380 は,JALが共同運航し,日本人CAが6名ほど勤務している。私は6月5日から16日までエミレーツ航空を利用して,キプロス・マルタのツアー観光に参加した。このツアーは,主に古キリスト教会や修道院,十字軍の遺跡を訪ねるものであった。が,私にはそれとは別に次の目的が3つあった。いずれもツアーの訪問予定地にはなかったが,近くを訪れるため機会を見て写真をとろうとしたのである。
    ①キプロス島トロードス山塊:マントルと地殻の境界面を見ること
    ②同島ニコシアで古代キプロス文字を見ること
    ③A.J.クィネル作『燃える男』の舞台のゴゾ島
 少し専門的になるので,後日その詳しい報告をする予定である。

 

 



成田を出発して約1時間余り,機内のTVで対馬上空を飛ぶ。
すると,対馬海峡がKOREA STRAIT(朝鮮海峡)と表示されているのに驚いた。
帰りの機内でも同じ表示であったので間違いはない。

 


急ぎ日本地図(帝国書院:新詳高等地図,標準高等地図,昭文社:GLOBAL ACCESS地図帳)を見直す。そこには対馬と韓国の間は西水道(朝鮮海峡),対馬と壱岐島の間は東水道とあり,対馬島の南西沖には全体に対馬海峡と表示されている。対馬の東西の水道が東水道,西水道とあるので,これは日本側の表示である。しかし,機内の表示は先の対馬海峡の位置にKOREA STRAIT(朝鮮海峡)となっている。
なぜだろうか,何か政治的な匂いが感じられる。

 竹島問題について,韓国は国際法上の名の『日本海』について,執拗に「東海」単独名あるいは併記を求めている。なぜか? 日本海という地域にある竹島というと日本領の竹島というイメージになってしまうから。だから,独島という異なる名前を用い,位置は東海という呼び名を使うよう世界中に強要している。
 人口5万人の対馬には,現在年間40万人以上の観光客が韓国の釜山から1時間,5千円位のフェリー船賃で来ている。ところが,これらの観光客の傍若無人の振るいは目に余るものがあるという。例えば,神社の境内で大小の排泄をする,酒盛りをしてゴミを散らしたまま,落書き,放火,文化財の盗難・・とやりたい放題である。案内するガイドが,元々対馬は韓国領で日本に盗まれた領土等と現場で事実に反する反日の説明をするという。先日,我慢を重ねてきた史跡の管理者が韓国人立入禁止の宣言した現状がある。仏像盗難についても一向に進展しない。もし,外国人の移住が容易に法改正がなされれば,対馬は住民投票で法的に外国になるであろう。
 そう,対馬海峡を対馬島を含めた東西水道を,KOREA STRAIT(朝鮮海峡)としているのは,竹島と同じ意図が感じられないだろうか?

  ではなぜ,エミレーツ航空の地図にその表示が採用されているのか?
アラブ首長国連邦(UAE)で原子力発電の導入計画は,韓国による原子力発電所の建設によるものである。先だって首長国原子力会社(ENEC)は,バラカ原子力発電所で建設中の3号機(韓国製PWR,140万kW)が初めて臨界条件を達成したと発表した。契約には厳しい長期の点検保守などの条件がついているものの,良好な両国関係が伺われる。
 そうだとすれば,現在の機内の地図表記は,UAEの立場に立てば直接関係しない事項ので見逃されているのではないか。もしやとは危惧するけど,わざわざ国際法上に物議をかもす地図の製作表記は隣国か?とも想像が進む。
 共同運航のJALは,そういう細かい小技に気が付いていないのであろうか?
あるいは気が付いていても,商売のこととて大人の態度を取っているのであろうか?
それとも,色々な場面で苦い経験をした私の思い過ごしであろうか?
                                                        おわり