八咫烏が泣いている

 私はその時マルタ発エミレーツ空港EK110便を乗り継いで,ドバイ発成田空港行のエミレーツA380,EK0318便 エコノミーに乗り換えた。私の座席は68G(図の赤席) 右通路側席である。
 程なくして,両腕と両足に3本の白のストライプのついた紺色ジャージを着た若者の一団が乗り込んできた。胸に『JJAPAN』と金文字を縫い付けてある『八咫烏(ヤタガラス)』のワッペン,その下に横長で白色の長方形に赤文字で『KIRIN』と書いてある。一見して若手のサッカー日本代表のメンバーであることがわかった。若者達も凛々しく頼もしく見えた。彼らが坐ったのが私の前の列の67列のD,E,F,G(左右両側の通路の内側4人)である。席の間から彼らが操作する携帯電話のサッカーユニフォームでの集合写真や,交流チームとの集合写真が見える。

 

            赤が私の席,前列DEFGが若者席


 さて,67列はエミレーツ航空A380の席を図示したが,トイレボックスを前にした席で前に席はないのである。なお,公表された図はトイレの配置とCAの席が若干異なるので配置を加え直している。この席の前に置く靴などのことで,CA達が選手達に何やら意見をしていたが,後ろの席の私には分からない。

  離陸後1時間過ぎると,機内食が配られ,食事後彼ら4人はトイレの壁に足を投げだして眠り出した。
 この便の食後,トイレ利用者(殆ど外国人)は往路より多めに感じられ,利用予定者が両方の通路に並び始めた。各通路2個室のトイレがある。ランプは赤と緑で使用中かどうかが分かる仕組みなので,空きが出来れば片方の通路に移り,タイムリーに使用できるのである。しかし,この時,選手達の投げだした足が通せんぼとなって出来なかった。並んだ人達の不満が顔に現れ,通せんぼをしている若者の顔を睨みつけたり,胸のワッペンを覗いて居たりした。
何度か通り過ぎる女性のCA,男性のパーサーも注意しない。
キャビンの円滑のために,注意するのが職務ではないか?

 

    投げ出した脚の通せんぼ(最大4人の足が並んだ)

 私は,足の通せんぼをやめた前席67G の若者に,『トイレに行きたい人が並んで,タイムリーに空いた個室に入れないで皆困っている。仲間の足を下ろさせ,通れるようにを席の前を開放してやれよ!』と注意した。67Gは意味が分かったのか,仲間に伝え足を下ろした。それで両方の通路が行き来でき,トイレのしようがスムーズになった。
 67列の席に何かの特典があったかどうかは私は知らない。しかし,サッカー選手なのだから周りの状況に気を使ってもいいのではないか?

 

   

    上に『JAPAN』

    下に『KIRIN』

    間は,『八咫烏』 

自分だけの都合で,4人ともだらしない格好で足をトイレの外壁に投げだして,無関心でいる。そんな日本代表では金文字の『JAPAN』と『KIRIN』が情けないではないか。
そして,そんな日本代表には胸の『八咫烏』が泣いているよ。
JFAも,日本代表の名に恥じないような若者の『しつけ』もすべきではないか?

そんな気がした,帰国便でした。
なお,写真は彼らの名誉のため,後からの足だけ(2人の時)にしました。 
                                                                    おわり