私の投稿は,出会いとめぐり会いが一つのテーマです。

  コロナが始まる2,3年前,市の中心街にある毎度の小料理屋で高校19回卒の幹事会がありました。そして在郷幹事会主催で「隅田川船下りで花見をやろう」と話が決まりました。古希の年を迎え,しばらく会っていない在京の卒業生達と懇親会をやろうという企画なのでした。

集合は浅草の花川戸の船着き場。

 

                               花川戸の船着き場の春

 

いわきからの参加同級生は10名でした。小料理の女将さん(我々と同じ年齢)と店を切り盛りしているお嫁さんも参加してくれました。いわきからは観光バスを貸し切り,添乗員は崔という韓国の好青年でした。バスの後部が車座の形をしているので,出発当初から宴会になり,早速会長がカラオケで歌い出しました。

現地に着くと,在京の参加者14名が出迎えてくれました。その年は暖冬で桜の開花が終わってしまい,残念ながら葉桜の川下りでしたが,屋形船の料理は,江戸前の揚げたばかりのサクサクした美味しい天ぷら料理,刺身と美酒,船の外の都会の景色も素晴らしく,それぞれ近況報告などをして盛り上がり,時間を忘れさせてくれました。突然私の隣の友人が,引き付けを起こし倒れてしまいました。医療従事者が応急手当をして,時々,皆が心配そうにコズいたり,ビンタをして反応を見たりして,心配していました。優しい人たちです。幸い下船の時はフラフラだったけど回復し,帰宅していきました。

 

         

        船内の懇親状況         隅田川風景

          
       ベイブリッジ         解散前の集合写真(写真左端が私)


  その2年後,コロナの最盛期に隣組のお葬式がありました。当時,自粛で家族葬が始まりつつあったのですが,コロナの病死ではないので普通に執り行いました。神式による葬儀の前に参列者の控室で料理を頂こうとすると小料理屋の女将さんがいました。どこかでお会いしましたねと私が恐る恐る尋ねると,むこうも同じ思いだったらしく,確か隅田川の船下りで一緒でしたと言い,故人の姪だというのです。故人の連れ合いは私の母の従妹なので,いわば義理の親戚にあたります。驚きました。住んでいる場所を聞くと,私の祖先の集落というもので,二重の驚きでした。
 冠婚葬祭にはよくある話ですね。早速,高校の幹事長に話しました。
 その彼女も最近病を患い,店には通えないという。残念です。回復を願うばかりです。

 

 

          

      退社の階段と奥が幹事長の会社     土手は桜並木  
 

  2021年師走。暮れの忙しい夜,会社の仕事が一区切りついて退社しようとすると,暗がりの出口でマスク顔の男に呼び止められました。
 自分はこのビルの社長と友達なのだが,先日建物の脇の土手で小用をたしていたら,駐車場のこの車にライトで照らされ,チビってしまった。移動して別の所でやろうとすると,ライトをつけながら車が追い掛けてきた。追い掛けたおまえの会社の奴は,とんでもない奴だ,と息まいているのです。今から行くから名前を教えろと。
 自分が悪いのに何ていう奴だと思ったが,亡くなった先代の社長(前のオーナー)の友人は亡くなった後も会社周りの世話をしてくれるので,そういう人の関係者かもしれないと思い直し,一応会社に戻り調べました。あまりにバカバカしいので,適当に引き取ってもらおうと『運転していた人は帰ったので今は居ない』と方便を使いました。
 そしたら,怒り狂って,『明日出直すから会社に言っておけ,俺はこのビルのオーナー社長と高校の同級生でこういう名前だから覚えておけ!』と,上から目線で携帯電話の名前を私に見せ威嚇するのです。『社長の仲良し~!,それがどうした! これはあんたの問題であって,俺の問題ではない。文句を言うなら自分で言えに行け!』といって,帰ってきました。
 自宅で冷静になって考えると,4年前亡くなった社長は享年84歳だったから,同級生というには口調が若すぎる。もしかして,雑居ビルに入っている別な会社の社長(高校の幹事長で現オーナー)を言っているのでは? 見せた名前もどこかで聴いたような名前だったし,と思い当たりました。もしかして,店子のおまえの会社の社員が,オーナーの友人の俺様に恥をかかせたのは怪しからんと,私にくってかかったのかもしれない。そう思い,急ぎ高校の卒業写真を調べたら,何と私のクラスの同級生でした。あいうえお順で席はずっと離れていたけど。
 暗かったのでマスクをして顔は分からないうえ,卒業してから,もう50年以上も経っていて互いに顔は変わっているのだろうし,明るい所でみても恐らく互いに同級生と分からなかったでしょう。
 翌日(私は定休日),彼は本当に会社に怒鳴りこんできたそうです。
追い掛けた社員は会社の役員で,最近頻繁に出没する不審者に対し,正体を明らかにしようと追い掛けたというのです。会社は「暗い土手の夜の散歩は何かと不審がられるし,付近に明るい散歩道があるので,そちらで散歩をしたらどうですか」と丁寧に説明し,大人の対応をしたとのこと。その後,幹事長に確認したら確かに彼を知っているとのことでした。

  最近,起きた,高校に絡む出会いと,苦笑いのめぐり会いでした。
                                                                                    おわり