『男の花道』という映画があります。オリジナル脚本は小国英雄,黒沢映画の共同脚本家です。映画は昭和16年12月暮に公開され,監督マキノ正博,メインキャストは中村歌右衛門を長谷川一夫,土生玄碩を古川緑波が演じ,大ヒットとなりました。

     

 

 ストーリーは男の意地を恩人のために捨てる物語なのです。

  上方で人気の役者が江戸に下る途中,宿に自分の失明寸前を見破った眼医者土生玄碩が居いて,無償で治療してくれました。その医者は人気役者の人生を救ってくれたのですが,名も告げず去っていきました。

その人気役者は舞台を見に来てくれるお客様が大事で,権力者の座興の席には呼ばれても行かないという意地を持っていました。

 ここに玄碩を陥し入れて命をとる代わりに,人気役者の意地を失墜させようとする悪者が登場します。

 舞台を務めている最中にその危機の知らせが届きます。役者は恩人の命の瀬戸際に,舞台を投げて座興の席に駆け付けざるを得なくなったのです。舞台の袖で思い悩んだ挙句,恩人のために意地を捨てようと決心し,お客様の前に出て平伏し,率直に状況を打ち明け,しばしの中断を詫びるのです。

 しかし心無い観客の一人が,「だめだ,ならねぇ!普段の公言はどうした!それで済むと思うか!!」 と強く拒絶します。

 その観客に対し,別の客が,「八釜シイ!このオタマジャクシ!!,成駒屋,行ってやれ!,後は引き受けた!,何刻だって待っててやるぞ・・!!」。  大勢の観客 「そうだ!,行ってこい!,行ってこい!!」。
 このクライマックスの劇中劇を演じたくて,多くの歌舞伎役者や商業演劇役者,映画の俳優達が,この『男の花道』を演りたがってきました。

 

 

毛利元就の旧郡山城跡(現安芸高田市吉田町)にある石碑

 

 

 

 土生玄碩は,毛利元就の郡山城下(安芸高田市吉田町)の商家に生まれ,眼科の白内障の名医となり,徳川幕府の御典医迄になった人です。その顕彰碑が郡山城の旧本丸跡に建てられてあります。また生家は老舗の田原菓舗(もなか”毛利公 ”が名産)として現存しています。

 

    

      田原菓舗店

 

  私は広島市在住の時,我が福島県の戊辰戦争の敵『長州』を知りたく,毛利家の本拠郡山城や,一族の吉川,小早川,宍戸等の古城巡りをしていました。その結果,彼らがいずれも鎌倉時代に関東や駿河から流れてきた氏族だと分かり,旧来の長州へのワダカマリが多少軽減したものです。

因みに,毛利は本名大江で神奈川県,吉川は駿河,小早川は伊豆,宍戸は茨城県宍戸でした。
古城としては小早川の旧高山城が好きです。

 

 古高山城(2つの絶壁をもつコの字型の山城で,写真の背後は沼田川の絶壁,両絶壁間の

 鞍部が本丸と馬場)。城の直下を山陽新幹線がトンネルで通っています。

 沼田川の対岸は小早川隆景が築いた新高山城です。

 

最後に,現在2023年,安芸高田市(吉田町が主となり近隣の町村を合併してできた市)の石丸市長の活躍が,全国的にFaceBookに公表され,とても評判になっています。そちらの方もご覧になってみては如何でしょうか。

 

                                                                                        おわり